一級建築士が広告営業をマネージメントする方法
約3年ぶりにnoteを書いています。
なぜかというと最近、妻がnoteを書き始めて自分の想いや考えを残しておくことって大切だなと感じたからです。
3年間の大きな変化としては管理職になったこと。
異業種で管理職を勤める苦労と工夫について書いてみます。
一級建築士が広告会社の部長になる
noteを書いていなかった3年間で順調に出世し、地方都市の中小企業ではあるが部長とい役職に就きました。
役職というものをあまり意識したことがないですが、給与規定を確認するとこれ以上の出世は役員しかないらしい。
過去のnoteを読んでいただければわかるが、私は元々設計事務所や住宅会社で建築設計の仕事をしていた一級建築士です。
キャリアの中で色々と思うことがあり、自分のやりたいことが「家づくりに関する教育」だったので、住宅会社をクライアントにしている広告やメディアを運営している会社に転職したのが2019年秋頃。
そこから建築士のプロジェクトマネージメント能力や、文系的思考の営業職の中で異質の理系人材として論理的思考が評価され、気付けば部長という人を管理する役職に就任していました。
私のように想定外のキャリアを歩んでいたり、管理職という人をマネージメントする役割で戸惑い、つまずく人は少なくないでしょう。
ここで私のマネージメントに関する考え方をまとめておきたいと思います。
感情論の営業という職種
マネージメントとは状況を正確に把握することから始まります。
いわゆる中間管理職なので、部下からの情報で状況をなるべく正確に把握し、その状況を元に役員を含めた経営会議で方針を考えます。
まず「状況を正確に把握する」というのが非常に難しいという壁にぶち当たりました。
私は工学部の建築学科卒で設計事務所や住宅会社で働いていたので、周囲には理系的な論理的な思考をベースとする人ばかり。
1の出来事を1、正しく1と説明する人たちばかりです。
その常識が営業という職種の人たちは違っていました。
営業は1の成功体験を10と説明し、-10の失敗を-1程度でしか説明しないのです。
要は成功は誇張し、失敗は隠す傾向があります。
これをされてしまうと、課題や問題の本質がぼやけてしまい、対策が後手に回ってしまいます。
そこで私が取り組んだのは、1の出来事を1として説明させる工夫です。
部下が中間管理職の上司に失敗を言えない理由
学生も社会人も上司や先輩に失敗を言えないのは、シンプルに怒られるのが嫌だからです。
特に会社となると、部下が失敗を報告する相手は中間管理職である上司で、その中間管理職はさらなる上長に報告しなければなりません。
そこで中間管理職は何を思うかです。
指示や管理をしたけど、成果を上げられなかったのは部下の行動に問題があった可能性があるため、失敗の報告をされても困るし、それを更なる上長にどう説明していいのかわからないと考えてしまいます。
あくまで中間管理職なので、更なる上長がいて当然です。
そこで自身の保身に走ってしまう中間管理職は、部下になぜ目標達成できなかったのかや、失敗の責任を追求してしまいます。
要は、自分の責任ではないという理由を探しているだけです。
こういった中間管理職は失敗します。
部下からは失敗の報告をしにくい人になり、報連相が破綻し、何か起きた時の発見が遅れてしまうでしょう。
更に自身の保身が優先になってしまい、部署の失敗を部下に押し付けてしまい、部下からは嫌な上司となってしまいます。
そうなるとチームとして破綻してしまい、益々チームのパフォーマスは低下してしまうでしょう。
本来、風通しの良い上司と部下の関係は、成功も失敗もフラットに相談できる関係性のはずです。
上下関係ではなく、役割の違いと認識するのが良いと思います。
数値化して管理する
私がフラットな関係性を目指すために行ったのが、行動の数値化と変遷的に追える仕組みづくりです。
大手なら当たり前かもしれませんが、地方の中小企業だとできている会社は少ない。
数値化という共通言語がないから、1を10で表現する感情論が通ってしまいます。
そうさせないために、成果までのプロセスでいくつかのチェックポイントを設け行動を記録。
視覚的に認識しやすいようグラフでまとめます。
例えば、一般的な営業の場合は下記のような数値が想定されるでしょう。
アタック件数(テレアポ、DMアポ等の数)
商談率=商談件数/アタック件数×100%
提案率=提案提出件数/商談件数×100%
受注率=受注件数/提案提出件数×100%
平均受注単価=売上/受注件数×100%
リピート率=複数回受注社数/既存顧客件数×100%
これら業種業態によって設定すべき数値は異なりますが、フローとして見える化しておけばどこに問題があるのか明確にわかります。
要は異常値が問題だからそこを改善するだけです。
注意点としては、管理する側は細かくしたくなりますが、管理される側は入力手間が嵩むとストレスに感じること。
だから対話の中で最小限の記録を探していきます。
私の場合、Googleのスプレッドシートを用いてチェックシートを作成し、案ができたら部下にチェックしてもらいます。
そうすることで入力する側から見たエラーを見つけ、また逆に承認をもらうことで、暗喩的に記録の徹底が伝わるはずです。
その後、定期的な面談で共通言語である数値化について定量的に議論し課題を見つけ、深掘りする時に感情論のような定性的な話も交えるようにしています。
関数はChat GPTを用いる
スプレッドシートで複数の数字をまとめて管理するには、関数の利用が不可欠。
私は学生の頃からレポート作成等でExcelの表計算を利用していたので慣れていますが、それでも組み方がわからない関数もあります。
そこで役に立つのがChat GPTです。
従来はGoogle検索で関数を探していましたが、複雑な関数になると検索キーワードがわかりません。
それを文章で伝えて書き出してくれるのがChat GPTをはじめとしたAIの力です。
AIは指示さえしっかりすれば代わりに考えてくれるツールなので、使い方次第で強力な味方になってくれます。
まとめ
部長に取り組んでみてわかったのは、マネージメントは職能の一つだと言うことです。
従来のキャリアでは、平の営業が出世してプレイングマネージャーになることが多いですが、求められるスキルは別物。
特にプレイングマネージャーだと、自分ならできるみたいな発想になってしまい、部下との溝が深まってうまくいかないケースが多いです。
これを別の職能として割り切って考えれば、きっと取り組みやすくなるはず。
ポイントは部下の行動の何が問題か把握し、論理的に説明することです。
そのための数値化、仕組み化に是非取り組んでみましょう。
私もまだまだ至らないことばかりなので、引き続き頑張ってマネージメントしていきます。
建築と写真で素敵な生活のサポートをしたい