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まちづくりビジネスの事業規模や所得設計の考え方について(私見)

こんにちは、らしく社・税理士の堀です。

前回の続きで、自分自身の経験に基づいてまちづくりを事業として捉えた場合の事業規模や所得設計の考え方について書きたいと思います。

具体的に書く前に、誤解をまねき易いので前提にふれます。

以前に書きましたとおり「まちづくり」「地域活性化」という言葉はなかなかに抽象的なだけに危険なワードでして、その言葉を聞いた人によって本当に色んな視点があり、誤解を招きやすい単語だと感じています。

今回、「まちづくりビジネス」として捉えているのは

・一過性ではなく、持続的にまちが元気になり、面白くするためのチャレンジをしている人を応援する小規模な事業(ケースに応じて自らも実践)

・自治体や中央官庁からの補助金はあまり受けず、かつ、自社について融資による資金調達も極力せず、基本的に自己資金と自身の強みを基にスタートする事業

・サービスの提供先はまちで事業を営んでいる中小企業、個人事業主、地主さん、NPO法人や社団法人などで、事業を通じた小さなまちづくりのチャレンジを大切にし、将来的に豊かなまちを築いてための礎となる事業

・全てが完全な営利事業という訳ではなく、地域イベントのボランティア、地域経済循環の現状把握と改善のアクションなど、無償による業務も一部含まれる(「金銭」以外の報酬を受領しているイメージ)

・自社の売上や事業規模の拡大よりも、本当に地域が面白くなる、元気になるためのお手伝いを仕事にし、理解頂ける方からは適正な対価をいただく

とこんな感じの事を想定して書きたいと思います。

例えば、大手企業(および自治体)が実施するマンション開発・駅前再開発によるまちづくり、中央官庁の補助事業や自治体との随意契約がメインの地方創生案件、まちづくり系補助金全般の手続代行、シンクタンク等による各種リサーチ業務などは今回書く内容とは「だいぶ毛色が違う話」だとご認識ください。

まちづくりに関与する会社の事業規模って?

これはもちろん全ての会社で事業内容は異なり、また、時代のトレンドなども影響はするため一概にはいえずなかなか数字で言い切ることが難しい部分ではあります。

ただ、おおよそ言えることは「周囲の人が思っている以上に小規模なのかな?」ということは間違いないように思います。

事業支援がメインのコンサルティング形態の会社だと、年間売上(年商)でも200万~900万ほど、1人会社か社員がいてもパートさんが数名程度だったり、案件ごとに組むパートナーが外部に多少いたりして若干の外注費が生じる程度かと思います。(NPOや社団などの場合、補助金・寄付・会費の収入がないと200万未満の法人も多いと思われます)

例えば飲食であればカフェやコーヒー、パンなどの飲食店だったり、マルシェなどのイベント運営や支援をする会社、デザイン系の会社、WEBや原稿などの情報発信を手掛ける会社など色々ありますが、まちづくりに完全に限定した売上だけだと、2,000万以上の年商を安定的に出せる事業者は少なく、ましてや1億円以上の年商をまちづくりの案件だけで構築することはかなり至難の業だと感じています。

もちろん、全国的には漁業や農業、林業などの一次産業で地域資源を巧みに活用し、外部に付加価値を的確に伝え、商流も整備して順調に業績を伸ばしている会社があったり、先駆者的に日本のローカルの素晴らしさを発信し続けているメディアなど、売上や所得、持続性などの点から見ても一般の事業会社に引けを取らないような本当に素晴らしい方々もいます。

ただ、それが全国どの地域でも実現できるかというと、それは現時点では難しいと思います。

個人的には、まちづくりの事業は少し独特なところがあって、持続していけるだけの最低限の売上や利益は求めるべきですが、あまり年商の大きさや規模にとらわれ過ぎる必要はないのかなと考えています。

まちづくりに関与し続けるための所得設計の考え方

この点も完全にボランティアではなく、あくまで一定の対価を頂いてまちづくりに関与する際の所得設計の考え方について私見を書きたいと思います。(まちづくりにボランティアの方々による支援は必須であり、それを否定するものではありませんので悪しからず・・)

・パラレルワークの思考

これは、まちづくりは単独の事業だと確実に生計を立てるためには厳しいため、もう一つの「事業の柱」を立て、その柱となる事業と融合できる部分でまちづくりに携わり、そのまちづくり案件からも対価を頂く考え方です。

例えば、建築士の方が自身で建築設計事務所をしながら空き家などのリノベーション案件も手掛けているケースなどが分かり易い事例です。

同様のケースで、「飲食店×まちづくり」「不動産業×まちづくり」、「デザイン×まちづくり」「情報発信×まちづくり」なども各地で見受けられます。

ちなみに、かなりレアケースですが自分の場合も「税理士×まちづくり」という掛け合わせです(^^)

・柱となる事業とまちづくり事業との所得バランス

まちづくりは特に補助金案件ではなく民間から対価を頂く設計にすると最初は悲しいくらい売上はあがりません(-_-;)

柱となる事業とまちづくり事業との所得バランスなんて、最初は

「100:0」

が多いのかなと思います(*_*)

でも、最初はとにかくガムシャラでも何でも良いので色んな場に行って色んな人と出会ってインプットも幅広く重ねてトライしていくと、少額ですが何かしらの売上も少しずつ生じてきます。

・柱となる事業とまちづくりとの接点を思考する

個人的には、まちづくりの案件で少しずつ対価を頂けるようになった辺りから「柱となる事業と自分が関与したいまちづくりとの接点は何か?」という点を深く思考していくのが良いと思っています。

この部分の思考整理ができると、今まで本業であった仕事のうちまちづくりに還元できる部分が明確になり、本業のうち一部の強みを生かして社会課題を改善できるモデルが少しずつ見えてくると思います。

周囲からの理解や共感

まちづくりに対する自分自身のスタンスや柱となる事業とまちづくりの融合ができてくると、自然にその考え方を外部に対して上手に伝えられるようになってきます。

一見、捉えどころのない「まちづくり」を自分なりに咀嚼して説明・発信できるようになると、周囲、特に家族や友人、仕事の取引先からの理解や共感・賛同を得やすくなります。(逆に考えがクリアになることでの別れもあり得ますが、それは建設的な考え方として捉えて良いと思います)

周囲の大切な人達に自分の考えを理解してもらい、その想いを表現し続けてていくことで応援者も多くなり、まちが少しずつ面白くなる。

それを仕事とし、想いを同じくする仲間と一緒に充実した毎日を過ごせる。

今のところ決して大きく儲かるビジネスモデルにはならないし、所得設計についてはかなり入念な思考整理が必要だったりもするけど、まちづくりに関わる仕事には確かな幸せがあって、だからこそずっと関わり続けたいです。

ここ2週、現実的な話が続いたので来週は違う感じのことを書く予定です。

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