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自分たちでゼロから結婚式を創った夫婦の話し。~Ep2.青山アイビーホール~

Ep2.青山アイビーホール

 僕には4歳離れている姉がいる。表現するなら正に女王。(注:弟から見た姉)。


 世間一般からすると気が強い方だと思う。両親は自営業だったこともあり家に居ることがほとんどなく、兄と姉と僕の3人のみで過ごすことも少なくなかった。そして、何を隠そう僕は厳しい姉にしつけられた(もとい、育てて頂いた)。箸の持ち方から言葉使いに至るまで、当時は本気で姉の中に鬼が憑依していると思っていた。


 そんな厳しい姉にも彼氏ができ、入籍をし、結婚式を挙げるという。旦那さんは名古屋産まれの優しい人で、パティシエとして働いていた時の同僚だった。


 姉はもともと、青山学院大学に通っていたこともあり結婚式は青山アイビーホールで挙げることになった。一般には使わせてもらえないが青学の卒業生は文化財の教会を使えるらしい。

 僕は上下黒の礼服に身を包み、結婚式場へ向かった。久々にいとことも再会し、「お前、テツか!あんなに可愛かったのに変わったな!」と驚かれた。喜んでいいのやら、悲しむべきなのか。そりゃ10年も会ってなければ人は変わるものだ。

 教会での誓いも終わり、披露宴会場へ。会場はやたら天井が高く広い。さすが青山、金をかけているだけある。内容は一般的な結婚式とだいたい変わらなかった。新郎新婦が後方から入場し、2人のプロフィールムービーを見て、上司と友人代表のスピーチを聞いて、フレンチを食べる。僕はじっとしているのが耐えられない性格なので自分のテーブルを離れいとこやおじさんのところをウロチョロしていた。おじさんからは「テツは上手いこと皆と話してるな。」と褒められた。別のいとこからは冗談だったのかもしれないが「お前、社交的過ぎてなんか胡散臭いな」と言われた。


 披露宴でたらふく食ったあと、2次会の会場へ。事前に姉からカメラマンを指名されていた僕は2次会の間ほとんどカメラ片手に会場をぐるぐると回っていた。みはるも2次会のみに招待されていて、その時に初めて姉とゆっくり話せた。正直、どちらかと言えば2次会の方が楽しかったことを覚えている。

 披露宴と2次会とセットで参加した僕は満腹感と疲労感を感じながら帰宅した。ただ、家路に着く途中ずっと得も言われぬ違和感と、いとこから言われた「お前、胡散臭いな」がグルグルと頭の中で回っていた。

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