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何を言うのか ≦ 誰が言うのか。

Facebookの思い出で
4年前のこんな懐かしい投稿が出てきました。


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少し前のとある日
小学生の練習を終えバスに向かっていると
6年生のモトキが1人で近づいてきました。



「 ありさかコーチ、これあげます… 」



すごーく照れくさそうに。



「 家にあったので…どうぞ 」



それは、マンチェスターシティ所属で
スペイン代表ダビド・シルバの写真でした。



「 おおお、ダビド・シルバだ。
  すごい嬉しいよ、ありがとう。
  でもこれはモトキが持ってた方がよくない? 」



すると、モトキはさらに照れくさそうに。



「 大丈夫です、うちにも1枚あるので… 」



ありがたくそれをもらうことにしました。

モトキは左利きで
小柄なテクニシャンタイプの選手。

試合だとまだ相手のフィジカルに
自分の特徴を消されてしまうことが多いのですが
味方や相手の動きを見極める目と
スペースに出すパスのセンスは抜群。

そんな特徴を見つけてから
こんな話しをしたことがありました。



「 モトキのプレーってさ
  ダビド・シルバみたいだよね 」



すると
見たことのないような晴れやかな顔で



「 コーチ、僕じつは
  ダビド・シルバが一番好きなんです… 」



モトキが世界のサッカー選手に
めちゃくちゃ詳しいのは知っていましたが
まさかダビド・シルバが一番好きだったとは⚽️

ということでこれ以降
彼の名前は " モトキ・シルバ " になったのでした。

そんなこんながあっての写真のプレゼント。
めっちゃ嬉しかったなぁ。じんわり、じんわり。

中学はエリア伊都のジュニアユースで
プレーすることを決めてくれたので
どんな選手に成長していってくれるのか楽しみです🌞

モトキ・シルバ、グラシアス🇪🇸





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その後、モトキ・シルバは
エリア伊都ジュニアユースの3年間で
目とセンスをさらに磨いていき
今は福岡県内の高校で頑張っています。

そして、本家のダビド・シルバはというと
今年7月に残念ながら現役を引退。

久保建英の今シーズン大活躍の理由に
「レアル・ソシエダ」で1シーズン一緒にプレーした
ダビド・シルバの影響があることは
間違いないでしょう。

今シーズンが始まる前
久保選手はダビド・シルバについて
こんなことをインタビューで語っていました。



「 元々選手としてのレベルが高いですけど
 自分にも他人にも要求する、すごく良い選手でした 」


「 僕が学んだのは
 スペースの使い方だったりとか。
 彼も含めて自分もですけど
 ドリブルした時に相手を引きつけられる選手は
 当然周りにスペースが生まれてくるので
 たまに僕がボールを持って相手を引きつけた時に
 『自分を見てくれ』
 『自分のところにスペースが空くから』って。
 『そこにスペースが空くから
  1対1で仕掛けるのも良いけど
  1対2、1対3ってなった時に
 周りにフリーの選手がいるのを忘れるなよ』
 ってことを言われました 」


「 やっぱりそれを他の選手に言われるのと
 ダビド・シルバ選手に言われるのとでは
 説得力が違うので。
 僕も落ち着いて、最後のほうは特に
 カットインとかをする時に
 シルバ選手の位置を把握しようと努めていましたね 」



ダビド・シルバだからこその説得力。

コミュニケーションって
「何を言うのか」はもちろん大事だけど
「誰が言うのか」はさらに重要かもしれない。

自分が中学1年生だったとき
そう感じされてくれた出来事がありました。

中学校のサッカー部に入部して少し経つと
練習や試合で同じ1年生の仲間がミスをすると



「 おいっ!ふざけんな!
 ミスしてんじゃねーよ!! 」


「 何なんだよ!
 同じミスしてんじゃねえかよっ!!」



と、罵詈雑言を浴びせまくっていたのです。
しかも、自分の中ではかなり無意識に。

正直、貶している自覚がありませんでした。

そんなある日の練習後
ひとつ上のキャプテンにこんなことを言われました。



「 テツ、気持ちはわかるけど、
 言い方をもうちょい考えた方がいいよ。
 テツの言葉でビビっちゃって
 ミスを繰り返してるやつが多いからさ 」



ハッとしました。
あ、ほんとにその通りだって。

それから言い方を考えるようになりました。

自分が言いたいからと
一方的に言うのではなく、かといって
言いたいことを我慢するわけでもなく
お互いがよりハッピーになるためには
どんな言い方がいいのか
どんな「 伝え方 」がいいのか。

その楽しさや喜びを知れたからこそ
サッカーコーチや接客業を仕事にしたり
人のコミュニケーションの取り方に
興味津々になれたのかもしれないです。

そう、これはすごく覚えているのですが
あのときの自分に対してのキャプテンの言い方は
まったくもって説教じみた感じがなくて
本当にサラッと普通に言ってくれたんです。

もしこれが
怒りの感情を込めて言われていたら
無意識に反発していたんだと思います。

そして
これがやっぱり大きかったなと思うのは
自分がそのキャプテンを心から尊敬していたこと。

身体は人一倍小さく
身体能力も高くはなかったですが
正確な技術・豊富な運動量・インテリジェンスの高さと
いつでもみんなのことを考えている人間力の高さ。

本当に、憧れのキャプテンでした。

そんな人が言ってくれた言葉だったからこそ
何の疑念もなく、何の反発もなく
そのまま受け入れられたんだと思います。

久保建英が
ダビド・シルバの言葉を素直に受け入れたように。

で、思ってしまうのです。

サッカーコーチ、園長先生、父親という
周りの人たちに伝える機会の多い今の自分は
そんな存在でいられているのだろうか?
そんな関係性を築けているのだろうか?

めっちゃヒリヒリしてしまう問いですが
目を逸らすことなく向き合っていかないと。

だいぶ昔「ダウンタウン」の松ちゃんが
親に対してこんな疑問を投げかけていましたね。



『 百歩譲って
 オレの番組が子供に悪影響だったとしよう。
 でも、それなら親であるあなた方が
 「マネしてはいけませんよ」と言えばいい。
 たかだか1時間の番組の
 ほんの数分間の1コーナーの影響力に
 あなたたち、親の影響力は劣っているのか? 』




影響力を持つことは
もちろんすっごく難しいことだけど
やっぱり諦めたくはないんだよなぁ。


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