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青空と出会い「自分をがんばること」を思う。

空が青く澄んでいると
それだけで機嫌が良くなってきて
何かいいことが起こりそうな気がしてくる。

いつからかそう思うようになり
で、実際、いいことが小さく起きることが多い。

コーヒーの味が染み渡ったり
本の言葉から想像が広がっていったり
お店の人と気持ちよく言葉を交わせたり。

よくよく考えたら
機嫌が良くないときには
いいことってほぼ起きていないんじゃない?

ご機嫌かどうかって
じつはスゴイ大事なことなのかもしれない。

で、自分の機嫌がどうしたら取れるかは
やっぱり自分にしかわからないんだよなぁ。

なんてことをぼんやり考えながら
iPhoneの中のメモ帳を整理していると
ご機嫌MAXになってしまう文章を発見。
 
大好きな絵本作家・五味太郎さんのお話です。


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絵本の仕事が軌道に乗った37歳の頃
ある整体師のもとに通った。

最初の時は
「いい仕事をされていますね」と言われた。
2度目に「どういうお仕事ですか」と聞かれた。

仕事の内容も知らなかったのに
なぜ「いい仕事をしている」と断言できたのか。

3度目の時に
その疑問を口にすると、整体師はこう話した。


「『疲れた』と訴える人は多いが
  あなたのようにエネルギーが抜け切って
  空っぽになっている体は初めてです 」


「 こういう疲れ方ができるのは
 自分のエネルギーを出し切った
 いい仕事をしている人だけ。
 理想的な疲れ方をされていたので
 何をなさっているのか尋ねたんです 」


その言葉を機にこう思い定めた。


「 いい作品を作るとか
 世の中とのバランスとかを考えて
 やるのが仕事じゃない。
 自分の体が『よーし、できた』と納得するまで
 自分が空っぽになるまでやればいいし

 それ以外のやり方はできない 」


と。
整体師は天才的な整体指導者
野口晴哉(1911〜76)の直弟子だった。

野口が目指したのは
病を治して長生きすることではなく
「全生(ぜんせい)=生を全うすること」
ができるよう体を整えることであり
風邪などの病も整体の好機と捉えた。


「 溌溂(はつらつ)と
 生くる者にのみ深い眠りがある。
 生ききった者にだけ、安らかな死がある  」


とし、生のもたらす充実と心地よさを説き続けた。
102歳の母も野口から整体を学んでいた。

実際、絵本を描くことはいつも心地よい。
できあがった本も「はつらつ」という言葉が
ぴったりとくる作品ぞろいだ。


「さる・るるる」(79年)は
シャワーの最中に思いつき
そのまま作業に入って2日で完成させた。

友人のアーティストからは


「 五味さんは『即今(そっこん)』ですね 」


と指摘される。

過去にも未来にもとらわれず
「今この時」に体から出てくる声に耳を傾け
一心になって空っぽになるまで
エネルギーを出し尽くす――。


その快感が
作品を通じて多くの読者の身体をも共鳴させる。
読者の子どもからは


「 五味太郎さんは
 『五味太郎さん』をがんばってください 」


というファンレターをもらった。

この世界には「五味太郎」という
おもしろいジャンルが存在すること
その魅力が唯一無二であることを
子どもはちゃんと理解しているのだ。


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あー、ほんとそうだ
自分はもっと「有坂 哲」をがんばろう。

ご機嫌を目指すことは
自分をがんばることなのかもしれないね。

よし、ブラックで飲むのに飽きてきたので
コーヒーにちょっとミルクを入れることにしよう。



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