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その舞台に自ら立つこと。

めちゃくちゃ熱い大会だったからこそ
最後にどうしても伝えたいことがありました。



中学3年生ラストの大会となる
「福岡県クラブユーストーナメント」。

1回戦8-0、2回戦12-0
3回戦3-1、準々決勝3-2
準決勝は2-1 と逆転勝ちをして
初となる県大会のファイナルまで進みましたが
決勝戦は 1-1(PK4-5)で敗れ
準優勝に終わりました。

まずなにより
3回戦と準々決勝が土曜日にダブルヘッダー
準決勝と決勝が日曜日にダブルヘッダーという
2日間で公式戦4試合という過酷な日程を
たくましく戦い抜けたことが素晴らしかった!

クラブとして大事にしている
「球際での戦い」と「ゴールに向かっていく姿勢」
この2つに関しては全試合を通して
思いきって表現できていたなと思います。

まぁ、その分
意識的に緩急をつけられた回数は少なかったですが…

ちなみに
その2つを大事にしているのはこんな想いから。

エリア伊都ジュニアユース監督になってすぐ
「大人になってから学ぶサッカーの本質とは」
の今井くんからのインタビューに答えたものです。


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自分自身を解放すること。

様々な環境を経験していくなかで
気づいたらそれが
僕のサッカー人生でのテーマになっていました。

一番大きな影響を与えたのは
ブラジルとコスタリカでの経験。

日本では体験したことも見たこともないほどの
とんでもなく激しい球際の戦いが
練習から当たり前に繰り広げられていて
しかもその熱いバトルだけではなくて
どうやって相手の裏をかいてやろうかという
遊び心から生まれる駆け引きもあちこちで発生していて。

そのとき
サッカー人生で初めて怖さを感じたんです。

それは失敗したら怒られる
とかの外圧による怖さではなくて
「隙を見せたらやられる」
という内側から湧き上がってきた恐怖感。

剣道や柔道やボクシングで
相手と向き合ったときの感覚に近いのかもしれません。

ただそんな怖さがあった反面
ワクワクした気持ちも湧き上がっていました。

言い方は変ですけど「命を使ってる!」って。

で、そのとき
自分も周りも「動物みたい」って思ったんです。

頭で動いてるというより
感覚に動かされてるというか
身体が自然と反応しているというか。

人間がもともと持っているはずの「野性」が
思いっきり解放されていました。

だから自然と、ごく自然と
すべてのプレーに感情が込められていたし
動きにはダイナミズムがあって、力強くもあった。
しかもその中には、繊細さとしなやかさだってあった。

野性の窓が開いてることで
その選手が持っているありとあらゆる能力が
総動員されて(もちろん知性も含めて)
プレーとして表現されているように感じました。

じゃあ、どうやったら日本で
子供たちの野性を解放できるんだろう?
それが指導をする上での大きな問いになりました。

「それをやっちゃダメだろ」「こうしろよ」
という禁止や命令が溢れすぎてる今の日本では
小さい頃は全開だった子供たちの野性の窓が
残念ながら閉じられていることが多いと思います。

で、頭が主役になっていき考え過ぎてしまうことで
知らないうちにその窓にロックまでかけてしまっている。

だから日本で指導する場合にはまず
そのロックを解いたり、窓を開けることが
必要になるなぁと思っています。

自分が発想したことを素直にやってみる
そんな自分事だと感じられる体験を重ねていくこと。

成功や失敗そのものではなくて
そこで生まれる自信や発見やエネルギーが
窓を開けていくのに必要な安心感や勇気に
つながっていくはずだから。

そうして「自分自身を解放すること」が
できるようになっていったら人間として
そして選手としての個性もまた
自然と立ち上がっていくんだと思います。

ボールを扱うこと。
相手と駆け引きすること。
自分の武器で表現すること。
そして、自分自身を解放すること。

ジュニアユースの3年間で
そのことに大きな喜びを
感じられるようになっていってほしいです。

で、そんな自分でユース年代のサッカーに
思いっきりチャレンジしていってほしいです。


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今大会を通して
自分を解放できている選手が多かったことは
本当に嬉しい出来事のひとつでした。

野性も溢れ出て、個性も発揮できていて。

スマートや洗練という言葉とは程遠いですが
相手が嫌がる戦いはできていたと思います。

準決勝&決勝の会場となった
八女東部スポーツ公園は
(天然芝の超綺麗なグラウンド!)
ベンチのすぐ横にスタンドがあって
横を見ると応援メンバーや
保護者の人たちの一喜一憂が見えていたのですが
劣勢な状況での積極的な前への仕掛けや
身体を投げ出してのスライディングなどに対して
みんながそれこそ一斉に拍手を送ってくれていて。

してるではなく、思わずしちゃってる、そんな拍手。

そうさせてしまうプレーを見せてくれた選手たちにも
熱い思いを抱いて応援してくれた人たちにも
試合中にも関わらず、感動してしまいました。


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決勝戦は
個性×個性で生まれた
素晴らしいゴールで先制できたものの
後半途中に追いつかれ
その後は一進一退のまま終了し、PK戦に突入。

ベンチに戻ってきて
ひと息ついた選手たちに質問をしました。


「 PK蹴りたい人いる? 」


周りの様子を窺う選手はいませんでしたが
誰ひとり手を挙げることはありませんでした。


「 じゃあ、オレが決めていい? 」


みんな頷き、1番から順々に指名。

彼らは中学生になって初めてのPK戦でしたが
思っていたより不安感が表には出ることがなく
蹴るときも自分のペースで蹴ることができていました。

もちろん内心はドキドキだったとは思いますが。

特に外したら負けたという状況で
5番目に蹴ったキャプテンこうきの
PKスポットまでゆっくりと歩いていってから
ボールをセットして蹴るまでの一連の動作が
あまりに堂々としていて
風格すら漂わせていたことにビックリしました。

こりゃ絶対に決めるだろ、って。
で、実際に決めて、その後の喜び方にもまた貫禄が。

彼は小学生時代に
PKをよく外してきた選手だったので
あそこまで心と身体が
ブレなかったことに心底驚きました。

間違いなく、あのときがあっての今なんだ。


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表彰式が終わって全体で集合した後
3年生だけに集まってもらい話しをしました。

これだけはどうしても伝えたくて。


「 サッカー選手にとって
 PKを蹴ることはすごいプレッシャーだと思う。
 世界のトッププロでさえ
 蹴りたくない人もいるくらいだから 」


「 だから
 めちゃくちゃ難しいのは承知の上で言うよ。
 高校生になったら自らPKを蹴りたいって
 言える選手になっていってな。
 そんな選手を目指していってな 」


「 決めるかもしれないし、外すかもしれない。
 それはやってみないとわからないよね。
 でもひとつだけ確かなのは
 試合を決める舞台には立てるということ。
 それはサッカー選手にとっては幸せなことだよね 」


「 でも緊張はすると思う。
 だから、自ら試合を決めに行こうとする
 自らそういう舞台に立とうとする
 勇気を持った選手になっていってください。
 外しても大丈夫。
 その舞台に立った時点で勝ちだから 」


めちゃくちゃ悔しい経験は
めちゃくちゃ嬉しい経験につながっていく。

めちゃくちゃ嬉しい経験も
めちゃくちゃ悔しい経験につながっていく。

今回の大会で勝ち上がっていけて
めちゃくちゃ嬉しかったからこそ
決勝戦はめちゃくちゃ悔しかったんだと思う。

次は「めちゃくちゃ嬉しい」が待ってる。

だからこれまで通りまた
めちゃくちゃ楽しむことから始めよう。

めちゃくちゃを行き来できる人生に。

3年生たち、ひとまずお疲れさんでした。また!


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