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変化にまみれたサッカー環境づくり。

46年の人生の引越し回数17回。

親が転勤族というわけではなかったので
回数的には多い方かなと思います。

親が離婚した後
ひと部屋のアパートに
親子4人で住んだこともあったし
ブラジルで2段ベット4つの8人部屋に住んだり
コスタリカで日本人の家に居候させてもらったり
帰国後の30歳以降で友だちとひと部屋で住んだり
家賃18,000円のキッチンもない4畳半に住んだり
風呂なしトイレ共同の歴史的アパートに住んだりと
まぁ、いろいろなところに住んできました。

その環境の中で、どう楽しく生きていくのか。

それをずっと考え繰り返してきたので
今となってはどんな環境でも
それなりに楽しく生きていける自信はあります。

将来の夢はもちろん
住所不定のキャンピングカーライフ!


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東京オリンピックのサッカーメキシコ代表に
西村亮太さんという日本人スタッフがいました。

主に相手チームの分析が担当で、現地にも帯同。

その方のインタビュー記事で
東京オリンピックで2回対戦した日本代表について
とても興味深い言葉が紹介されていました。


『 たぶんメキシコの選手って、日本の選手みたいに“しっかりとした環境”で育てられていないんです。つまり、彼らは子どもの頃からピッチの中で、自分で生き残る方法を考えて問題を解決しながらトップまでたどり着いている。そうした経験がベースにあるので、枠組みを少し与えてあげるだけで、彼らの良さが勝手に引き出されていく。そういった印象があるので、僕らもそれを狙っていました 』


『 スタッフ間でも話していたんですけど、チームの平均を出したら、日本のほうがメキシコより上だったと思うんですね。一人ひとりの能力を足していって平均を作ったら、日本のほうが上だと。でも、メキシコはピンポイントのポジションで日本より強いところがあって。それプラス選手が連係したり、チームとして攻撃・守備をしたときにメキシコのほうが強い、というのが僕らの感覚でした 』


この中の
「しっかりとした環境で育てられていない」
「そうした経験がベースにある」
を読んで真っ先に思い浮かんだのはやはり
「 エコロジカル・トレーニング 」のこと。



エコロジカルトレーニングの根幹にある


「 制約を設計して
 その環境を操作し続けることで
 選手たちの行動を自然と引き出し
 その結果、能力をも引き出していく 」


この自然と引き出される能力の中には
「 解決能力 」「 適応能力 」
もあるんじゃないかなと思っています。

マッチアップする相手が
思っていたよりスピードがあって
主導権を握られたとき、どう解決していくのか。

新しいチームに移って
知っている選手が誰もいなかったとき
どうやってそこに適応していくのか。

そんな解決能力や適応能力のことを考えるとき
いつも思い浮かぶのがブラジル人選手たちで。

なんであんなにも
ハッキリとした個性を発揮しながら
チームにも適応していける選手が多いんだろう。

しかも、世界中のあらゆる国で活躍していて。

ひとつ思っているのは
小さい頃からの「移籍の多さ」が
影響してるのかもなということ。

ブラジルでサッカーをしていたとき
昨日までいた選手がいきなり来なくなったり
新しい選手が突然やってきたりということが
プロだけでなく、育成年代でもよくありました。

移籍をすると
監督が代わるので求められるものが変わり
仲間が代わるので関係性も変わっていく。

それ以外でも
練習場、スタジアム、チームスタッフ、練習時間
ありとあらゆることが変わっていくんですよね。

その新しい環境の
様々な変化に自ら適応していかないといけない。

そして適応するだけでなく
自分ならではの価値を
チームのやり方の中で発揮もしないといけない。

解決と適応を迫られる日々の始まり。

サッカー自体が
ボールを足で扱うという
身体操作的な難しさのなかで
瞬時に意思決定をし続けていきながら
仲間とは状況に合わせてイメージを共有して
相手とは逆をとるための駆け引きをしていく。

変化ばかりというか変化しかないともいえる
変動制にあふれまくったスポーツなので
解決能力や適応能力は必須な能力なんですよね。

特にこれから先
様々なやり方の監督の元でプレーしたり
様々な特徴を持った仲間とプレーしたりするだろう
育成年代の選手たちにとっては。

日本ではまだ
移籍の文化が根づいていなく
ひとつのチームとひとりの指導者との関わりで
何年もプレーするのが当たり前な環境なので
そういう部分での変化が少ないのが現実。

じゃあ
そんな日本で変化にあふれた環境を
どうやって作っていけるのか?

いま自分が指導をしている
「エリア伊都フットボールアカデミー」の
ジュニア年代・ジュニアユース年代での試みは
年代ごとのメインとなる指導者は決めるものの
練習やトレーニングマッチなどではあえて
指導者を固定しないようにしています。

週3回すべて違うコーチの練習だったり
先週の試合とは違うコーチが指揮を取ったり。

チームとしての理念などの大枠はあります。

でもそれ以外は
それぞれの指導者が
それぞれのテーマで練習をして
それぞれの基準で選手選考をして
それぞれの考えでアドバイスをしていく。

指導者から言われることが違ったり
評価されるポイントが違ったりで
選手は混乱することもあるはず。

でも、いいと思っています。

選手の中の引き出しを
増やしていくことが一番の目的なので。

そのためのきっかけを
たくさん作ることが目的なので。

つい先日
あるJリーグチームのアカデミー統括をしている
とても魅力的な人との会合でこの話をすると
「もうまさに」なこんな話しをしてくれました。


「 いやぁ、そういう能力って
 すごく大事なことだと思いますよ。
 だって、つい最近の冨安選手は
 W杯予選の中国戦に
 センターバックでフル出場した2日後
 移籍したばかりのアーセナルで
 1回しかトレーニングしていないにも関わらず
 違うポジションのサイドバックで出て
 素晴らしいパフォーマンスを披露しましたよね 」



「 海外に移籍することが
 当たり前な時代になってきた今
 ますます求められる能力になっていくはずです 」


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最後に、もうひとつだけ。

移籍をしたり
様々な指導者が見たりする
変化にまみれた環境の中だからこそ
育んでいけるだろう能力が
もうひとつあるなと考えています。

それは「 自問自答する力 」。

周りの新しい選手を観察したり
指導者からのアプローチが違うことで
今の自分に何ができて、何ができないのか
それをどう生かしていくのか
自分自身に問いかける回数が増えると思います。

1年ほど前の
「サッカーで比較され続けてきて、今思うこと」
というnoteの記事に、こんなことを書きました。


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自分の強みも弱みも
他者と比較することでわかってくる
わかってくるというか、ハッキリしてくる。

だから
比較すること自体が悪いわけではなくて
比較ばかりをしてしまうことで
自分自身に目を向けられなくなってしまうことが
問題になってくるのかなと。

他者という「外側」との比較で
自分の強みと弱みを見つけ出しては
自分自身という「内側」に目を向けて
強みを磨いていって、弱みを自覚していく。

「外側」と「内側」を行き来すること。

それが大事なんだろうなぁと思います。


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外側と内側を行き来しまくることで
「キャプテン翼」のような
わかりやすい特徴を持った多様な選手が
育っていってくれたら本当に嬉しいよなぁ。


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じつはつい最近
17回目となる引越しをしました。

これまでの人生で初となる2階建ての家。

自分がどんな風に変化していくのか楽しみです。


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