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【連載小説】優しい人類が作っていく優しい世界①

【連載小説】優しい人類が作っていく優しい世界

なんなんだこの世界は、臭い排気ガスを出す車が走り、電車や車の騒音、外に出ればマンションや家が並び、人がいっぱい歩いている。僕はずっとこの世界に違和感がある。何のために勉強しなければならないのか?何のために働かなきゃならないのか?死ぬのを待つだけのために生きるみたいで、この世界が終わって欲しいといつも思っていた。だからといって自殺する勇気はなく、対人恐怖症で外を出歩くのも苦手なので、なんだかんだ理由をつけて20歳で引きこもりをしている。
人生でやりたいことなんてない、ただ親に言われるがままに高校までは卒業した。だけど卒業の時に就職をするのが怖くなった。社会に出ると人格がなくなるような気がしたんだ、高卒の僕なんて工場で働き、ベルトコンベアーで単純作業しかできないのだろうと思っていた。高卒である時点で負け組なんだ。
工場で大量生産することにより、地球の資源が無駄使いされているし森林が伐採され、公害も発生しているのだろう。僕は環境破壊に加担したくないんだ。なんて働かない理由をいつも考えていた。
でも本当は働いてみたい気持ちもある、何か才能があったならいいのになっていつも思っていた。だけど家を出たくないから無理なんだ。実家にさえいればお金は使わないし、ずっと生きていけるんだ。
そんな時にコロナ禍になった。外出自粛、リモートワーク、異常事態宣言。引きこもりの罪悪感が薄れて、僕にとっては良い時代がやってきた。

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