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雑記:ダム湖の散策 ~相模湖から宮ケ瀬湖へ。

4600字くらいです。いつも長くてすいません。

ワクワクの相模湖へ

昨日は相模湖に沈んだ村「勝瀬」について話を聞きたく、中央線「藤野」駅近く(徒歩20分)の資料館「吉野宿・ふじの」へ赴いた。
先週も訪れたが「勝瀬」についての情報は皆無。資料館の人にいろいろ聞いてみると、「来週の日曜日に詳しいものが来ますが」とのこと。
僕は「じゃあ、来週も来ます!」と予約をとるように答えた。

同時に先週は、本来「これまで津久井湖をいろいろ探ったためそろそろ宮ケ瀬湖に行こう!」が最大の目的だったが、津久井湖(3回目)を復習し三ケ木バスターミナルからバスで行こうと14時に到着したが、バスが15時台しかないという「交通の便」が悪いため断念。その代替案として「日曜日だからかねて赴きたかった吉野宿・ふじのが開いている!(土日のみ開館)」と三ケ木から近い藤野へ飛びついたのがきっかけだった。
吉野宿・ふじのはかつて相模原市博物館とコラボして、相模湖に沈んだ勝瀬の講演会を行ったことがあるので、何かしらの手がかりがないものか少しでも探そうと思い、先週初めて吉野宿ふじのへ訪れた。
つまり、今日の目的は「吉野宿ふじの」と「宮ケ瀬湖」のリベンジ戦であった。

甲州街道、吉野宿の模型。

津久井湖記念館には、沈んでしまった沼本や三井・不津倉・荒川などの集落の写真が展示されていた。奥多摩湖には水と緑のふれあい館にて沈んでしまった小河内村の写真や映像があった。狭山湖には山口民俗資料館にて沈んでしまった勝楽寺村の写真があった。
しかし、勝瀬はそのような資料館が見つからない。中央線相模湖駅前の観光案内所に、勝瀬の村の全体像の写真が1枚飾られているだけ。

僕は以前、相模原市博物館にて、かつての勝瀬のことを記録した本「湖底への追憶」を閉館間際の短い時間で目を通し、何枚かコピーもさせてもらった。しかし、もっと写真がないものか、探ってみようとしていた。

つまり勝瀬について知っているのは、観光案内所にある全体像の写真と、「湖底への追憶」にある村の建物の配置図など、それぐらいであった。
したがって、いろいろ話を伺いたく楽しみにして本日赴いた。

10時開館だが、藤野には11時過ぎに到着。ほとんど来ないバスがたまたま駅前にいたので乗り込んだ。11時半に出発。徒歩20分だがバスは10分もかからず到着。
先客がいた。その勝瀬についてよく知っているご老人は小さい子2人を連れた母親にていねいに展示品について説明していた。

吉野宿・ふじのは、甲州街道の宿場町である吉野宿についての展示。
メインは、昔の道具が並べられていることと、当時の相模湖周辺の人々の仕事だった養蚕・機織・炭焼きの道具や写真の展示だ。


2階の4部屋に、縄文・弥生土器らとともにずらりと並べられている。10~20分ぐらいで見れる小さな部屋。ちびっ子への説明というのもあり、20~30分は案内してたかな。
僕はずっと待っていた。変な中年のおっさんがひたすらうろついていたのは怪しい感じだったろう。

ひとしきり案内をすませ、僕は「すいません、勝瀬についてうかがいたいのですが」と切り出した。
しかしながら、僕は予め質問を絞っておくのをサボってしまっていた。漫然とした質問になる。とりあえず、「湖底への追憶」の建物の配置図が、相模湖のどのあたりなのかわからないためにそこから聞こうとした。
あとは、当時の人々の産業や生活のようす。そこからいろいろ疑問に思ったことを聞こうかなと。

しかし、僕がポイントを絞ってないのをしっかりとそのご老人は指摘した。
「何を話せばいいの?」「キリがないよ?」と。
しどろもどろの僕にも、ご老人はていねいに答え、さらにいろいろ写真や講演会に使ったと思われる資料を持ってきてくれた。

やはり、鍵になるのが「海老名市の勝瀬」のようだった。そこに勝瀬の人々が移住した。いろんな資料があるらしい。
僕に必要な資料もコピーしてくれた。「これを一通り読んでから行ってみてください!」と僕の不勉強に対して的確に手順を示してくれた。

圧倒されたのは、勝瀬の村の物語である。相模川の舟運の中継地点として栄えながら、洪水の危機を村人全体で乗り越え、さらに堤防をつくり。
江戸時代には甲州街道と宿場町が山の上のほうにつくられ、さらには明治時代に中央線もでき。舟運がおとろえ(津久井湖もそうだった)仕事が失われる中、彼ら村人は巨大な水田の整備をはじめた。
さらに近代化に向け、インフラを整備して発展していく中で。ダム湖に沈むのが決定した。
しかしながら、一般的に「県から補償金が多く出るのではないか」と思うだろう。だが、昭和19~20年の終戦の時期、貨幣の価値も大きく変化した時期だ。そのご老人いわく「ほとんど役に立たなかった」らしい。

だが、村人は遠い海老名市に移住し、そこに勝瀬と名をつけて、かつての村の建物、さらには石碑なども移した。
町や村に対する思い、ドラマティックだ。僕は約1時間に正座した足がそろそろ痺れかけている中、必ず資料を読み尽くして海老名市を散策することを決めた。「また、ここに来ていろいろお話を伺うかもしれませんが」「ぜひぜひ!来てください!!」 いろんな学芸員さんたちのお話を聞いたが、残そう、伝えようという情熱を改めて感じます。

絶望の宮ケ瀬湖へ

さて。時間は13時過ぎ。12時55分ごろの藤野駅行きのバスは通り過ぎていった。ちなみにそれ以降のバスはほぼない。
先週の失敗の再来を感じた。宮ケ瀬湖「水の郷交流館」が閉まりそうだ!

やや速足で藤野駅へ戻る。暑い! 
藤野駅から相模湖駅、そこから三ケ木へのバスがあり、三ケ木から宮ケ瀬湖へ「一応は」バスがある。
だが本数が少なく、三ヶ木からのバスは14時以降は15時15分しかないのが先週の失敗だった。これ以降は「水の郷交流館」が16時に閉まるので、タイムオーバー。
てか、この15時15分のバスに乗ってもふつうは間に合わない。夕方は水の郷交流館は見せないというのか、三ケ木のバス!!

さて、ここからは時間との戦いになるのでそういうふうに書いていく。
まあ実際絶望的なので、戦いといっても虚無との戦いとなるが。

藤野から相模湖への電車は13時半ごろ。僕はネットで水の郷交流館の開館時間を念のために調べた。16時半までとあったのを見て、完全に間に合うと思い安堵して、電話で確認した。
「16時までです!」「16時半まででは?」「日曜日などは変更がありまして」再度、絶望。

とりあえず早く三ケ木に行けば、早いバスがあるかも。14時から無いのであって。相模湖駅に着き、三ケ木行きのバスを確認。13時45分発。
三ケ木のバスの時刻表を確認。12時35分以降は15時15分からしかない。
これに乗れば宮ケ瀬湖の近くの「鳥居原ふれあいの館」に15時35分に着く。そこから、徒歩36分。はい、終了のお知らせ…

ではない。先週も失敗したから、何としてでも到着したい。なので、最終手段、ダッシュやタクシーだ。

14時15分ごろ、三ケ木へ。ここから徒歩だと2時間かかる。距離にして10kmくらい。
僕の歩く速さと、たまにのダッシュを使えば、何とか数分でも入れるかも!
最終手段はタクシーだ。
僕は三ケ木から、未知の領域、厚木方面の道を駆け出した。果たして無事帰れるのか!?

トイレをすませ、坂道を上る。通り過ぎるはバイクや自動車、さらにバイク、自転車… 徒歩は僕くらいなもんだ。誰か、乗せてくれ。自転車、ないかな…
時刻は15時近くになってきたころ、そろそろタクシーというカードを使うか。僕はタクシー会社に連絡した。しかし、宮ケ瀬湖方面は行ってないてことだ。そりゃそうか。こんな辺鄙な山奥。
地図を見ればタクシー会社、この辺に全くないし。

坂道をのぼっていくと、川沿いの下り坂。やや涼しくなった。ふつうは心地よい散歩道だろう。しかし、僕は焦るのか絶望するのかよくわからない状態でタクシーという手段を諦めはじめていた。
走ると死にそう。精一杯の全力競歩で歩き進め、どうするか計算する。

…もう、水の郷交流館は今度のリベンジ戦にして、周辺を散策するだけでいいのでは。夕暮れの宮ケ瀬湖も美しかろう。

いや、まだチャンスがある。15時15分に出発したろうバスに乗る。
35分に鳥居原なんちゃらに到着し、そこから猛ダッシュで駆け込む。

近くでようやくバス停が見えてきた。チェックするとあと3分、15時25分にここにバスが着く!(僕が1時間歩いてきたのをバスは10分で来るのか!)

待とう。25分、来ない。27分、来ない。
29分になり、ようやくバスが来た。客は僕一人。宮ケ瀬湖へは、あくまで車なのだろう。

34分、時刻通り鳥居原なんちゃらに到着。猛ダッシュで3kmくらい先の水の郷交流館を目指す!
地図を見ると、最後は何かをグルリと周りこむような、不思議な迂回をしている。ここでショートカットができないものか。
宮ケ瀬橋を超えると、そこには上り坂。死ぬ、よし、速足だ。
だんだんと、近づく。周り道をスルーしてショートカット…

できねえ! フェンスがあり、崖の下に交流館らしきもの。
どうやら、道路の右下にある駐車場のトンネルを通らないと、崖の下の交流館に入れないようだ。時刻は53分!

トンネルを通り、わけのわからない施設の建物の階段を下り。建物を通過すると、視界の奥に交流館!
56分、まだ時間がある!!
57分、交流館入口へ。「本館は16時で閉館です」と看板が目の前に立っていたが「まだ57分!」と入り込んでいった。
するとフロアーは照明が落とされ、掃除のおねえさんがスタンバイしていた。
見ると、ただの1フロアーのみの展示。「すいません、ざっとだけ見ていいですか?」「どうぞ!」
僕は一通り展示物の写真を撮った。実に数が少ない…

16時、退館。「写真、じゅうぶん撮れましたか?」と声をかけてくれた。「はい、じゅうぶんです。」
外で写真チェック。ああ、けっこうブレているなあ…

けど、やっと宮ケ瀬湖へたどり着いたのだ。

湖畔は広い遊び場。ほぼほぼ芝生だが、吊り橋みたいな橋に遊覧船。多くの観光客やカップルや家族連れが楽しんでいるよう。
「ちゃんと帰れるのだろうか」と調べる。実は本厚木駅からも行けることを知っていたので、そのルートを調べると、すぐ近くにバス停があり、さらに1時間ごとに毎時間出ている。

10時くらいに朝ご飯を食べて以来なのを思い出し、近くの店へ食事。
奮発し、イワナ定食1300円、瓶ビール800円。
すると、店の人が「たくさん食べますか? イワナ2匹いけますか?」と。
ああ、辛いの乗り越えると、何かこうご褒美があるのだなあ。
ビールの突き出しには、ゴボウの煮つけやレンコンと人参のなますなど、小皿が3皿ついた。イワナにビールが進む。

湖畔の周りは商店街。お店で買い物しようとしたが、キリがなさそうで辞めた。鳥居原ふれあい館には、地元野菜が売っててそこで買いたかった…

本厚木行きのバスは30分以上乗る。トイレをすませ、ぼんやり右手側、丹沢大山のほうを眺めていた。やがて四人しかいなかったバスも混みはじめる。外国人のおしゃべりがうるせえ。

帰宅。糖質ゼロの安焼酎のストゼロ割りで祝杯。
アテは、ピーラーで削った山盛り茗荷と、梅水晶、モズクと鶏胸のスープ。ソバをぶちこんだためたぶんカロリーオーバー。
アニメはゾンビランドサガ「リベンジ(2期)」。
やっぱ12話でフランシュシュが歌った「リベンジ」には魂が震える。

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