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中判フィルムカメラと『Kodak PORTRA160 120』で撮る自然な景色

プラウベルマキナ67と『Kodak PORTRA160』のコンビで色々な景色を撮影してきました。

ブローニーフィルム(120フィルム)で撮ると、単純にフィルムサイズが大きいので高画質なのは当たり前ですが、立体感とボケのまろやかな感じはこれしかない!と思わせてくれます。

今回は日々の何でもない自然を、中判フィルムカメラで撮ってきました。


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友人と登った中国山地の低山、ポートラ160はごらんのようにちょっと黄色っぽい色になりますね。

ポートラらしく粒子の細かい滑らかさ、そしてプラウベルマキナ67のニッコールレンズのカチッとした写り、やっぱり立体感がたまらんな~と思うわけです。

プラウベルマキナ67は中判フィルムカメラにしては軽量・コンパクトなので登山には最適です。


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中国山地の山並み、せっかくマムシの日向ぼっこ場と化した登山道を潜り抜け、なんとかたどり着いた景色がこれもんですからね。

あたり一面、緑の低山。これぞ中国山地の準平原!

ですが、新緑の5月の中国山地は自然過ぎて癒やされます。眺望は悪いですが、日本アルプスに比べて圧倒的に生物と植物に満ち溢れていますからね!

高度が違うって?


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ボカしてシダを撮ったんですが、ちょっと白飛びしたかな?

プラウベルマキナ67の露出計は、それはまあ微妙なんです。こういった登山道の暗がりだと特に。

デジタルカメラの露出とダイナミックレンジに慣れていると、露出計を使ってもなかなかうまくいきません。

が、これが楽しいんだからしょうがない!なんせ撮ってから確認するまで1週間位かかります。現像所に送ってますからね。

このタイムラグが楽しめるのであれば、中判フィルムカメラはおすすめです。

それだけの価値がありますからね。


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登山の帰りに寄った渓谷。

ちょうど夕暮れ時、このような満遍なく西日な光の中であれば、ご覧の通りの描写力です。

中判フィルムの良いところは、この写真のように極端な破綻がないところでしょう。

ちょっとオーバー気味ですが、手前の水の流れの描写、そして奥の木々の間の暗闇、そのすべてが均質に写し取ることができます。

風景写真に中判や大判フィルムカメラが未だに使われるのはここでしょう。単純な画素数ではない、フィルムの極小の粒子だからこそ写すことができる光。


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変わって家族でキャンプに行った時の写真。

早朝、まだ子どもが寝ている間にコーヒーを淹れました。

手前には昨日、子どもが大量に集めてきた松ぼっくりがあります。

コーヒーを飲み終えて少しくつろいでいる嫁さんを撮りました。

開放にするとより立体感が増しますね。鈴木理策の写真集を見て、この開放時のピント=視点という感覚が気になり始めました。

絞って高解像度=中平卓馬的なあるがままの世界の入り口だと思っていましたが、写真への主観論が同じゴールに向かっているのに手法は変わる点を知ることができましたね。

やっぱり写真は面白い。


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それを踏まえて、朝日の中の常設テントを撮りました。

こういった光のコントラストが激しい環境は、フィルムカメラだとかなり緊張します。

とにかく露出がわからない、まだ修行不足なのもありますが、それでいて失敗できない緊張感があります。

この写真はうまくいったかな。手前ボケがまったりなのに、奥の木々の枝まできっちり写っているのが本当にすごい。

周辺光量落ちや収差がほぼ無いさすがNikonのレンズなので、逆に失敗が目立つというね。

だからこそ、会心の出来だと嬉しいんですよね。デジタルカメラだとこうはいかない、その場で修正しながら撮りまくることが出来ますから。

これってデジタルカメラが良いに決まってます。でも、撮影行為の主体性という僕のテーマでは、やはりフィルムカメラなんですよね。

フィルムカメラだと失敗も失敗ですが失敗とは思えない。なんせ1フィルム10枚の世界、そこに込めた思いというのは非常に重層的な意識の集まりです。

ここに記録と表現の境界があるように思います。極端な結果を求めがちな現代において、その曖昧な境界を楽しめるカメラを愛しているわけです。

というわけでfpも買っちゃったのよね。これはデジタルカメラですが、フィルムカメラに近い、そしてカメラの死を宣言した新しいカメラです。


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5月末の美しい快晴、透き通った空気と強烈な光、とことん絞ればこのゴリゴリの記録写真にもなります。

明るい屋外だと、このフィルムの特徴的な黄色っぽさをさほど感じませんね。

よく写るだけではなく、そこに空気感が残っているような感じがします。


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そして止まらない我が子。

父親の血を色濃く引いているのか、山に行くとひたすら歩き続けます。

ここは島根県の三瓶山。この写真は牧草地として利用するために、火入れが行われたあとになります。

中判フィルムカメラで撮るとなると、けっこう気合いが入るので一枚一枚慎重に撮っています。

この写真は咄嗟に撮ったものですが、楽しい写真になりました。

こういう写真を中判フィルムカメラで撮れるようになれば面白いんですがね。

だんだん慣れてきたので、中判フィルムカメラでしか撮れない写真、そして中判フィルムカメラと思わせない写真、そんな酔狂な写真を追い求めていきたいと思います。


同じ三瓶山、初春に登ってます。

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