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グローバルに拡大していく組織においてカルチャーとどう向き合うか/キャディ創業5周年note

キャディ株式会社の桒野(くわの)と言います。
創立5周年記念noteの9日目を拝命しました。

なお、これまでの創立5周年記念noteは以下にまとめられています。

このnoteでは事業のことではなく、キャディの"カルチャー"について、書き下ろしてみます。最初に定義をすると、カルチャーとは「組織が持っている価値観や、それらを体現した行動や思考方法」です。組織のよいと思う考え方や、実際の行動の積み重ね=カルチャーという訳です。

「カルチャーを作っていく」ことは当然難しく、自分ひとりが頑張るだけで実現できることではありません。しかし、大切なのは組織を良くしたいと思って、実際に「行動」に移すことであり、それらの行動が促進される「仕掛け」ではないかと思っています。加えて、500人を超え、グローバルに展開が進んでいるキャディの今のphaseでは、「もともと存在しているカルチャーをアップデートする」というまたちがう難しさもあります。

実体験として語りますが、組織のカルチャーは事業に対して、良いも悪いも影響を及ぼします。キャディが目指すVISION 2030を実現するには、事業とカルチャーの両輪が必要不可欠であると私自身は確信していますし、このnoteでその点を伝えていきたいと思います。

参考:VISION2030について(5周年記念 Landing Pageより)

参考:私自身の自己紹介(2021年7月の入社前日に書きました)



1.カルチャーがなぜ大事と思ったのか、という桒野個人の原体験の話

(1)前職:アメリカでの経験

自動車部品の営業をしていた前職の話ですが、長く働いていたベテラン社員の定年退職等をきっかけにアメリカ事業会社の生産管理オペレーションが機能不全を起こしていて、納期トラブルが多発していました。

「アメリカ事業会社の営業課長をやってほしい」と打診受けたのはそんなタイミングで、「正直仕事は相当厳しいと思うがいけるか?」と言われたのを覚えています。

その打診を受け、アメリカに行ったときに私自身が感じた課題は下記。
① It's none of my business(それは私の仕事じゃないよね)という文化
② 社内外のバリューチェーンの分断、サイロ化

本筋ではないので、詳細割愛しますが、赴任早々に自動車メーカーの製造ラインを立て続けに止めてしまいます。そんな状況でも、アメリカ社内には「いや私は悪くない」みたいな、責任を自部署以外に求める雰囲気はたしかに存在していました。言葉を選ばずにいうと、文字通り”カルチャーが崩壊していた”と思います。

(2)Change the CultureとWe need "Player"

これはもう会社のカルチャーを刷新しなければならない、ということで、"Change the Culture" = 組織を作り変える、ということに着手します。多種多様な改善施策を打ちますが、「カルチャー」という軸で実行したことをまとめると下記の通り。

  1.  会社の存在する意味はなにか、そのために何をしないといけないのか、という推奨する行動の定義。

  2. 組織に存在するPlayer, Prisonor, Passengerのなか、必要なのはPlayerであるというマインドセットの変革

  3. 推奨する行動やマインドセットを実現した社員に対して、トップマネジメントからの表彰とEncouragementの実施

行動の定義だけないしマインドセットだけでは不十分で、それらをきちんと評価する仕組みとセットになっていることが重要であると、いまになって思います。当時は本当に必死で、「このアメリカの会社をなんとかしなければ!」という使命感だけで動いていました(笑)

”We need Player”というのは実際に当時使っていた言葉です。組織には以下の通り、3種類の"P"がいるというもの。
 Prisoner(被害者意識、他人への批判、否定)
 Passenger(みているだけ、目の前の課題を無視、指示を待つ)
 Player(当事者意識を持つ、現場を見る、リーダーシップ)
このPlayerが持つマインドセットが私個人は非常に好きです。

2年というアメリカ駐在期間中に、私個人がどれだけ組織改革に寄与できたかは正直分かりません。ただひとえに一度組織に行き渡ったカルチャーを変革することの難しさと、それらを変えていくために必要な要素を学んだと思います。そして私自身はアメリカから帰任と同時にキャディへ転職します。

2.キャディに入ってから

なぜ最初にキャディと関係ないことを書いたかというと、前章のアメリカでの原体験が、組織づくりに対する自分の姿勢にまっすぐつながっていると感じているからです。

(1) 入社初日のMVCセッションでの衝撃

キャディは入社初日に3時間を掛けて「MVCセッション」を受けます。
MVC=Mission Value Cultureについて、既存社員のファシリテーターを受けながらメタ的な議論をしていきます。

キャディ:MVCセッション資料より

入社初日にこんな問いからスタートする会社はなかなか ないと思います。既存社員が一方的に話をするのではなく、複数の問いかけを新入社員とファシリテーターが一緒なって考えます。

以下、セッションの問いの一部に触れてみましょう。

「キャディが掲げているValue=大胆、卓越、一丸、至誠について、どういう行動がこれらのValueを体現しているか。」

この問いに対し、参加者の過去の経験を掘り下げていきながら、その強度の目線合わせをしていきます。まさしく、「推奨される行動はなにか」を議論するわけです。

このMVCセッションを運営しているのが、「ICHIGAN委員会」という有志の組織体であることも知ります。(いちがん委員会と読みます)

(2)ICHIGAN委員会への参画、二代目委員長へ

こんな風に自分たちで組織づくりをやっているのか、とMVCセッション受けたその日のうちにICHIGAN委員会のSlackチャンネルに参加意思を表明しました。
私が入社した21年7月は、ちょうどICHIGAN委員会の初代委員長として、笹口さんが就任されたタイミングでもあります。

ICHIGAN委員会の良さは、誰かに組織づくりを任せるのではなく、社員一人ひとりが問題意識を持ち、それを解決していくことに当事者意識を持って取り組める土台であることだと思っています。

ICHIGAN委員会初代委員長の笹口さんのnoteより

まさしくキャディのいいなとおもった点で、「やりたい」とおもったときに「よし、やろう!」と後押ししてくれる空気感があったと思います。入社当時は150名を超えたぐらいでしたが、「新奇歓迎」の心理的安全性の高い雰囲気がありました。入社したときは、本当に何も意識せず当たり前に「自分の所属する組織を自分たちで良くしていこう」という風に考えていて、それはアメリカでの経験があったからだと、いまになって思います。

入社して9ヶ月経過した頃、ICHIGAN委員会の委員長のバトンを引き継ぐタイミングが来ます。紆余曲折を経て、私が2022年4月から2代目のICHIGAN委員長として就任することになりました。就任挨拶をSlack上で実施したのですが、いまもその思いに変わりはありません。

ビジネスモデルを成立させるための両輪として必要なのがきっとカルチャーなんだという考えに至り、このタイミングで委員長選挙があったのも縁なので、自分なりにできることをやり切ろうと思って立候補しました。
・・・(中略)
まさにいまこのタイミングはカルチャーそのものも全社で見直して、全社で作り上げていくphaseです。(超ムズイ)

2022年3月 就任挨拶抜粋

(3)カルチャー施策

ここまで長々と説明してきましたが、ようやくキャディの「カルチャー」について述べます。

新しく入ったメンバーのマインドセットをすり合わせが必要であるという課題感からHR主導で「マインドセット研修」を開催するようになります。(22年6月~)
実にこの研修をのべ5時間以上掛けて実施されたのですが、22年7月以降はMVCセッションと同じように運用をICHIGAN委員会にて受け持つことになりました。

毎月20~30人入社していく中で、改善のPDCAを回して、事業がちゃんと推進されるようにしなければなりません。そんな中、これらのPDCAを回すの手伝ってほしいと社内聞いたところ、複数名が光の速さで手を挙げてくれました。委員長の無茶振り&雑なインプットでもちゃんとポータルを作って情報集約してくれるメンバーには感謝しています。(忙しい中でも当たり前にサポートしてくれる雰囲気はありがたい)

マインドセット研修をIchigan委員会で受け持つことになったとき

マインドセット研修をやってみた結果、講師のペルソナを定義して任命制して運用していこうとなったり、参加者の声を受けてワークの時間を増やしたりと、急速にコンテンツの改善を回していきます。最新では入社2ヶ月目(配属後1ヶ月経過したタイミング)に実施するのが効果的であろうという仮説から、開催時期を変えたりしています。

なにがあるべき状態かから逆算して考えて打つべき施策を考える、というのもキャディのカルチャーかなと思います。いままでやっていたからなんとなく継続する、というような曖昧な考え方がありません。

一部のトップマネジメントだけが組織に向き合っているのではなく、メンバーも含めて、「組織課題について考え続けないといけないという共通認識を社員が持っている」もキャディにあると思います。限られたリソースの中でも組織のためになにかをしたい、というボトムアップ的な活動が組織に根付いている、とも言えます。

「良い組織がなにか」というのを当たり前に議論して、それを推進していくメンバーの存在が組織にたくさんいることは明確に強みだと考えます。ただし、500人を超えて、グローバルに拡大していく中で、いままで同じようなICHIGAN委員会のボトムアップだけの活動では限界が来ているように(正直)感じていました。

3.これからのキャディに必要なカルチャーとは

(1)ICHIGAN委員会のアップデート

話は逸れますが、グローバルに成長を続けるなかで、組織の壁、そしてグローバルの壁を超えていく、ということを目的に22年10月にCADDi GLOBAL ICHIGAN Dayというイベントを実施しました。(これらの企画・運営もすべて有志で実施)

開催目的は以下の3つ。
①社歴・国籍関係なく、キャディを”居場所”にする
②事業・カルチャー・人への心理的ハードルを超える
③他部署への理解を深め、会社全体の推進力を向上

事業課題と組織課題をグループ分けして議論、そして最終日に全体発表を実施したのですが、その中でICHIGAN委員会の組織のアップデートが発表されました。

「一人ひとりからの声を大事にする」「全員が船を作る側であり続ける」というカルチャーを体現するためにGLOBAL ICHIGAN COMMITEEという名称となり、全世界的にカルチャー作りを目指していく新しい仕組みです。そして何より、カルチャーを大切にするというトップマネジメントからの表明でした。

CADDi Global Ichigan Day資料より

(2)グローバルのカルチャーをこれからどうするか

GLOBAL ICHIGAN COMMITTEEを作っていく、と宣言したはいいものの、実際のところ活動はこれからです。

グローバルで、組織も部署も広がっていく中でどのように組織課題に向き合っていくか、どのようなカルチャーを作っていくか、答えはありません。

単一拠点であれば、推奨する行動やマインドセットが組織の中でちゃんと共通認識が取れていることと、それらをちゃんとトップマネジメントが評価し、Encourageする仕組みがある、という点で良かったはず。ただし、いまやタイ拠点やベトナム拠点など急速に拡大していくなかで、情報流通設計を初めとしたグローバルの課題は山積みです。
※情報流通設計については経営企画の中島さんがまとめてくださっていますので是非↓


これからのキャディに必要なカルチャーとは、という問いに対する私なりの答えをいうと、「組織課題を考えて、解決していこうという行動を増やし、組織全体の熱量を上げていく」ことに尽きるかなと思います。

自分は新しいメンバーだから、とか年齢が若いから、マネジメントではないから、とかではなく、とにかく圧倒的なエネルギーで組織を牽引する、ことです。"Raise the Energy Bar"という表現でキャディ社内では認知されていますが、当たり前にこれらの行動ができるような雰囲気があり、そしてそれがちゃんと評価されることが重要です。言い換えると、そうでない行動は「評価されない」ということも大切となります。

人数が500人超えるのはただの通過点であり、1000人、2000人を超えたときに一人ひとりがいまよりもはるかに高い熱量を持って事業と組織に向き合っていかないといけません。まさしく2021年12月(去年)の初代委員長の笹口さんのnoteのコメントの通りです。

組織が大きくなれば、必然的にカルチャーづくりをリードする人も増えていかなければいけません。そしていつまでもリーダーに任せきりではなく、みんなで当事者として同じように悩み、考えていく必要があります。

ICHIGAN委員会初代委員長の笹口さんのnoteより

おわりに

キャディに入ってからの1年5ヶ月、委員長になってからの8ヶ月はいまだ経験したことのない組織と事業の拡大で、新たな成長機会をもらえていると感じています。と同時に、キャディの目指すべきGoalの高さが見えてくるにつれ、自分自身も変わっていかなければならないとも強く感じています。

課題は事業も組織も山積み。でもそれらを一つ一つ乗り越えた先に、未来のモノづくり産業を変えられる何かがある。

私自身は入社したときに「モノづくり産業を変えられるかもしれない」という思いを持っていましたが、いまは「モノづくり産業を自分自身で変えていきたい」という風に変わってきました。そのモチベーションの源泉は自分の家族や、いままでモノづくり産業で私と関わってきてくれた人たちの未来のためになにかしたい、というある種、信念のような人生観のようなものです。

これからのキャディに必要なカルチャーとして、圧倒的なエネルギーで組織を牽引する、と書きましたが、これもまた個人でやるには限界があります。つまり、一丸となって一緒に山を登ってくれる仲間が必要です。

組織をみんなで作っていく、しかもそれがグローバルに拡大していく。そんなダイナミクスを感じながら一緒にRaise the Energy barをしてくれる人を募集しています。熱い思いがある人は是非一緒に働きましょう!

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ビジネス・コーポレート:オープンポジション/カジュアル面談(キャディ株式会社)

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