力は入れるものでなく出すもの

「力は入れるものではなく出すもの」

これ、10年くらい前に合気道を嗜む友人が言った言葉なのですが、至言だと思います。楽器についての極意だと思うのですが、恐らくは全ての道具を使う行為に当てはまると思えるのです。例えば楽器を持つとい言う行為について考えると、ヴァイオリンは右手で弓、左手で音程をコントロールするので、顎で支えるだけです。ギターやサックスもストラップで楽器を提げて手はやはりフィンガリングに特化しています。握ったら力んでしまって速いフレーズなんてできっこありません。金管楽器も片手で支えてもう片方の手でバルブやスライドをコントロールするものですが、特にトランペットは楽器を握ってしまいがちだしフィンガーフックで楽器を唇に押し付けることも簡単にできてしまいます。そこで生じるのは「力み」です。力が「入って」しまって響きを止めてしまいます。トランペットの話に限定すると、有名なエチュードでハーバート.クラークのものがありますが、あれのテクニカルスタディは「最小限の音量でワンブレスで可能な限り長くリピートする」と言うものです。つまりそこで求められるのは「力まないこと」です。キャット.アンダーソンのいわゆるSilent "G"も発想としては同じです。ところが日本では、最近こそ減ってきたものの、昔は「気合と根性」で吹く、などとよく言われたものです。誤解も甚だしいです。バットやゴルフクラブのスイング、格闘技の打撃、全て力まずに行うものです。楽器も同じなのではありますまいか?

May force be with you

なのです。

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