アラフィフ育児 ケース2「読んであげられない」 〜老眼に優しくない子どもの世界の中心で誰か老眼鏡とってください! とさけぶ話〜
45歳で第一子を授かった。47歳で第二子が誕生した。
そして今、池田テツヒロ、50歳。
目がかすみ、耳が遠くなり、人の名前がすぐに出なくなり、夜中にトイレに起きるし、お酒を飲むと疲れる始末。
上のムスメは5歳。下の娘は3歳。
ムスメが成長すると私が老いる。当然も当然の話。だけどああ、お願いだから、父をもっと労って、ムスメ達よ!
眼が悪くなった。
スマホの見過ぎもあるかもしれない。
執筆の仕事が増えたこともあるのかもしれない。
ただ、確実に言えるのが、老い、だ。そう、老眼がやってきたのだ。
育児をしていて思う。
ちっちゃい文字を読まなきゃならない機会が増えた。
たとえばガチャガチャ。
あの組み立て説明書がまあ、ちっちゃい。
そりゃそうだ。あれだけちっちゃいカプセルに入っているのだ。手のひらサイズのマシーンやキャラクターを作る為の説明書が、IKEAの組立説明書サイズであるわけがない。なので裸眼では大概、読めない。
ちなみにうちの娘の好みはちょっと渋めで、今まで買ったガチャガチャと言えば……
タイムスのパーキングの看板
福引きマシーン
ジュースの自動販売機
民芸品のレプリカ(海洋堂)
ミニチュアサイズの段ボール
玄関チャイム
スナックのテーブル、椅子、アイスペールセット
「これのどこにときめいた?」というガチャガチャを「作って!」と言われて、小さなパーツやシールを、老眼鏡をかけて組み立てなきゃならんのだ。しかも、デパートのラーメン屋とかで!(家で作ったほうがいいのはわかるが、外食を楽しむ為にガチャガチャで遊んでてもらう作戦なのだから仕方がない)作業しているその姿たるや、必死だ。かっこいい父親像とはかけ離れているが、仕方がない。
そもそも世間で言うかっこいい父親像はガチャガチャを買ったりしないのだろう。彼らの動線にはガチャガチャが存在しないのかもしれない。
ふん、かっこいいじゃねえか!
ガチャガチャの組み立てが終わると、今度は米粒程度の大きさのシールをそれに貼っていく。誇張じゃない。ほんとに米粒程度なのだ。
床に落としたらもうインポッシブル! 見つけられる気がしない。
あと、あれね、ハッ〇ーセットのおまけ絵本。
あれ、とってもいい。内容もいいし、サイズも、外出のお供に最高。
だけど、いかんせん字が小さい。
いや、いいの。大きくしろとは言ってないの。あのサイズがいいの。子どもにとっても、親にとっても最高なの!
だけどアラフィフには……老眼鏡が必要!
そもそもKindleで漫画を読んでいる時だって、ピンチアウトしたくなる俺だもの、あのサイズは老眼鏡なしには読みづらいのだ。
しかも絵本って、
「お父様、読んで」
「うむ。お母さん、紅茶を淹れてくれんか?」
「ちょうどお茶の時間にしようと思っていたところよ」
ソファーでゆったり親子の団らん。
って、そんなシチュエーションでは絶対に読まないのだ。そんな余裕は絵物語なのだ。
いつも急。大概余裕はない。そもそも育児に余裕があったことなんてない!
「おにごっこしよう!」
「えー、今、仕事してるんだけど」
「かぞえて!」
「えー」
「はやく!」
「いーち、にーい、さー」
「やっぱり絵本読んで!」
「なんだ、急に!?」
とこんな感じなのだ。
しかもその日が締め切りだったりするのだ。キッツー!!!
要求が急だから、老眼鏡はもっていない。
眉をしかめた、締め切り間近の、鬼の形相の、アラフィフが絵本を必死に読んでいる。
その姿は、安寿と厨子王ばりの恐怖絵巻物語だ!(よくわからない)
ちなみにこの時、妻はどうしているかというと、下のムスメが寝室の窓によじ登り、そこからベッドにダイブするのを、「スマホでとって!」と命令されているので、当然その場を離れることはできないのだ。
そう、姉妹だからって、同じ遊びをするとは限らない!
だから夫婦ふたりに、余裕はない!
あと、寝る前に読む絵本。
電気を薄暗くして「おやすみー」って言った後にムスメに「読んで」とせがまれて、しかたなく寝転びながら絵本を読むんだけど、まあー、暗くて読めない。結局部屋、明るくするもんね。
そうするとムスメたち眠気が飛ぶから、えんえんと絵本を読むハメになる。
フババ絵本読み地獄っ!
ちなみに絵本を寝て読むと、寝落ちして絵本が顔に振ってくるから危険。ハードカバーだから、角が思いのほか堅いのである。
ご注意ください。
それとゲーム!
最近のゲームは大画面仕様になっているので、文字がちっさい。
上のムスメがゲームしてて、ひらがな読めるくせに「パパ読んで」って言ってくる。面倒なんだろーね、文字読むの。読めるのに、読みたくない。って、子どもか!(あ、子どもだ)
でもまあ、まだ微妙に読めないカタカナだったり、漢字があったりもするから結局読んであげる羽目になるのだが、これがまー、ちっちゃくて、読めねーの。
「えーっと、なんだこれ、ああ、たびだち、ね、えーっと……次が……」
なんてやってると、せっかちなムスメはボタンを押して次の画面に進んでしまう。
「ああ! まだ読み終わってない!」
「ごめーん」
読んで欲しいって言ったのに、理不尽すぎる。
もしかして、五十にして天命を知るってこの事?
いいや、違う!
ゲーム画面のひらがなを必死に読むのが天命であるはずない。
これ、単なる苦行ですからーっ! 残念っ! 老眼、ギリーッ!(なぜ、いきなりギター侍?)
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