東北完全制覇+α(第十夜)① JR東日本 大船渡線 前面展望(夜間)気仙沼→一ノ関

1990年の夏に気仙沼ー盛間が乗車済みだった大船渡線。皮肉にもその区間が丸ごとBRTとなり鉄道事業も廃止されたので、「いつかは乗らねば大船渡線の残り」は「大船渡まで行かない大船渡線全線」に乗車する形に。その「雪中行軍」を前面展望に収めました。

鉄道の歴史に詳しい方なら、大船渡線は「我田引鉄」の代表例としてご存知のことでしょう。(現在は国道がショートカットしている)最短ルートではなく、摺沢を地盤とする代議士の横やりでこのルートになったという逸話です。とはいえ、人口の多い地域を通ることや、石灰石資源や観光資源(猊鼻渓)を擁するエリアでもあることから、地域エゴゆえの無駄な遠回りとも言い切れないとの見方もあります。その線形から、古くは「鍋弦(なべつる)線」と揶揄されたものの、最近では(BRT化された気仙沼ー盛間を含めて、龍のように見えることから)「ドラゴンレール大船渡線」なる愛称を冠するようになりました。

それにしても、同じように東日本大震災で壊滅的な被害を受けながら、宮古ー釜石間は三陸鉄道への組み込みで生き延びることができたのに、気仙沼ー盛間を鉄路で残せなかったというのは、一度は三陸沿岸各線を乗り通した者として残念でなりません。あちらとは状況が違うのだと言われればそれまでですし、あくまで鉄道好きの郷愁にしかならないのですが。

そんなあれこれを考えながら、キハ100系のデッキに立って、前面展望を撮っておりました。雪がしんしんと降り続く道中でしたが、積もった雪が線路と周囲を明るく映し出してくれて、思いの外観賞に堪えるVになったのではないかと思います。

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