見出し画像

【岩手・八幡平レポート】感性を鋭くするということ。

岩手県は八幡平に来ています。
昨年、八幡平市の観光ポスターのコンペに参加させていただき、今年はOBとして、現地の企業さんのお困りごとをクリエイティブで解決する、といったことを請け負っており、いろいろな観光地を視察しています。

本日、八幡平は安比高原に訪れました。
安比高原は標高700〜800mの高原で、在来馬が駆ける広大な草原に、レンゲツツジやエゾリンドウなど四季折々の花が咲く、景観の美しいところです。
ちなみに近くにはリクルート創業者の江副さんが開発したリゾート地の、全国的に有名なAPPIスキー場があります。ちょっと親近感。

◆◆◆

安比高原にはブナの原生林・二次林があります。安比高原の草原はもともとブナの森だったようです。1000年前の平安時代に森が焼かれ草原になったそう。

この草原に馬を放牧しているのも、藪を食べてもらうことで、草原を美しく保つためということで、お馬さんのお仕事だとか。
お馬さんにも乗りました。初乗馬です。ランちゃんという馬に乗りました。せっかちでガシガシ歩いていくので、刺激的で楽しかったです。想像していたよりも一歩一歩の歩みが身体に伝わります。姿勢や息づかい、ハート。一心同体をキメ込むことで、馬と信頼関係を築く。乗馬って奥が深いです。ハマりそう。
ここの馬はポニーでもなく、暴れん坊将軍に出てくるような凛々しい馬(これって外来種みたいです)でもなく、在来馬といって、古来からの農耕馬らしく、サイズ感と愛らしさが絶妙にちょうどいいのです。

◆◆◆

ここからブナの原生林・二次林をトレッキングしていきます。
安比高原のブナ林は、およそ80年前に炭焼きや木材として使用するために伐採されたそうです。その後育ってきた次世代のブナたち、二次林を形成していきました。
ブナの木は「森のダム」と呼ばれるほど、水分をよく含み、触れてみると、ほどよく湿り気があります(鼻セレブ的な心地よい湿り気)。そのせいで昔は、なかなか木材として使用するのは難しかったそうです。そして一方では、ブナは根をそんなに張らないらしく、一本倒れという形で倒れてしまうとのこと。倒れてできたその隙間に陽が差し込んで、また新しく植物が宿る。そうして生命が循環しているそうです。エモいじゃんか。

◆◆◆

トレッキングをしている中で、もうなんか八幡平行く先々どこもですが、「熊出没注意」なんですよ。複数人で動いているので、一定の安心感はあるのですが、ガイドのあべさん(超絶タイプ)が仰ってたことが印象的でした。

冒険家の星野道夫さんが「危険を感じた方が、感性が鋭くなる」と語っていたように、いまはみんなでいるけど、もしこれで一人でいた時にどう感じるかというのも体験してほしい。

大自然を前に、ある種の諦念だったり、感じる畏怖の念のようなもの、気を張ること、生命を強く感じること、触れ合い、せめぎ合い、時には死を悟り、抗い、生を望む。安泰ではない、そんな中にこそ、感性を研ぎ澄ます本質があるのではないか。感じること、想うことの温室にいてはならない、そう強く思った今日この頃でした。


レモンサワーを消費します。