清水てとらす

じいちゃんばあちゃんを愛し愛される癒し系ハイパー情緒プランナー|Creative Gu…

清水てとらす

じいちゃんばあちゃんを愛し愛される癒し系ハイパー情緒プランナー|Creative Guild manimani プランナー|中野で酒|スナック|熱海らぶ|HP https://www.bonitojapan.com

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  • エッセイと日記

    思ったことを不定期に更新していきます。

  • どうしたって恋。

    恋愛についてのあれこれです

  • note酒場倶楽部

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    酒好きによる酒好きのための酒マガジン。

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ビニール傘、みたいなふたり

「11月分の雨が今日一日で降るんだって」 スマホを眺めながら消え入りそうな声で彼女が言った。窮屈なシングルベッドで身体を寄せ合い、僕はちょっとだけムダ毛処理の甘い彼女のすねを足裏でさする。少し汗ばんだ身体が布団の中で蒸されて、お互いの体温が近い。 「みたいだねえ」 天気のことはあまり気にしない性分だったので、なんとなく雨が降るのだろうくらいの感覚しかなかった僕だったが、瞼の重さに追いやられ適当に会話をつまんだ。 「雨ってさ、こう、ふと会話を打ち消したり、二人きりにさせた

    • じつは独立していました【退職エントリ】

      ●はじめに すでに最近お会いした人にのみ直接ご報告はしてましたが、まだ知らない方、何となく聞いたけどよく分からんよという方も多いと思うので、あらためてこの場を借りてつらつらとご報告させていただきます。 このたび約6年半勤めた会社を4月末で退職して、5月から独立して新しく会社をはじめています(はじめてるんかい)。 偏屈なもので、SNSでこうして報告しても、正直誰もそんな興味ないよなとか、全然いいねとか付かなくて虚しくなるだけだし嫌だなってすごく思って報告も先延ばしにしてた

      • 足りないふたり

        「ごめん、遅れるから先入ってて〜」 大学の同期マリコに誘われ、府中にある「珈琲屋マロコ」という喫茶店に来ている。太正浪漫あふれる純和風な古民家で、入り口には昔懐かしの赤い郵便ポストが佇んでいる。学生の時分、古民家カフェにハマっていた僕は、この店を知るやいなや、彼女に「府中にマリコと似た名前で最高の喫茶店がある」とやたらと熱く語り入れ、授業終わりに連れて行った記憶がある。 悪気のない遅刻は彼女の特技だ。今も変わらないらしく、なぜだか安心したし、何ならそのつもりでもう先に店に

        • 『ちょっと思い出しただけ』を観る人へ贈る『ナイト・オン・ザ・プラネット』の映画論

          『ちょっと思い出しただけ』が2022年2月11日に劇場公開されました。 そこで作中のインスピレーション元のジム・ジャームッシュ監督作品『ナイト・オン・ザ・プラネット』についてお話をしたいと思います。正直『ナイト・オン・ザ・プラネット』を知らなくても上記映画は十分楽しめますが、ロサンゼルス編だけでも観ておくとなんかちょっと変わってくると思います。あとジャームッシュが残した主題について意識して観ると、少し主人公たちの気持ちに寄り添えるかもしれません。 ※以下は『ナイト・オン・ザ・

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        ビニール傘、みたいなふたり

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          【ご報告】地域クリエイティブのギルドをはじめます

          このたび、地域プロモーションに特化したクリエイティブ・ギルドを結成しました。デザイナー・ライター・カメラマン・ディレクターなどなど、さまざまな職種で活躍しているフリーランスの仲間と、新しい仕事のあり方、自己実現の形にチャレンジします。 2020年くらいからぼんやり考えていましたが、色々と整えるのに時間がかかりました。。まだまだこれからな部分が多いので、2021年から徐々にぶち上げていって、仲間と一緒に好きなことができていく型ができればと思っています。 ギルドってなんなの?

          【ご報告】地域クリエイティブのギルドをはじめます

          永遠なんかないじゃない

          清水という人間、無頓着そうでいて、昔からものすごく身の回りの事象に頓着をする。 人生50年くらいの感覚で生きている。その先は惰性か、意地か、頓着か。人生はもう折り返し。 あのスポーツ選手がもう引退か、とか、あの芸能人がもう40か、とか、最近よくある。長かった気もして、これからするすると抜けていくんだろう。ここ3年くらいがすごく早い。 友人に恵まれてきたという自負だけはある。周りにたくさん笑わせてもらって、勇気っていうと違う気もするけど、別に与えたつもりもなさそうな無償の

          永遠なんかないじゃない

          来歴から考える記憶としての本

           父親が読書が好きであった。そのため物心ついた頃からすでに本棚が身近にあった。幼い頃はわけもわからないまま、自分の手の届く範囲の本を手に取ってみては棚に戻すといったことを繰り返していた。少し年を重ねてからも、その圧倒的な存在感からか、本そのものを読み漁ることはなく、題名や表紙など、印象的なものを手に取り、心地よい手触り、黴びのにおい、染みのあるもの、黄ばんでいるものなどインターフェイスを感じ、眺めるだけであった。また本の中身をみることはなかったが、どういった題名、背表紙の本が

          来歴から考える記憶としての本

          月島ワンダーランド

          いい街には、いいたばこ屋と銭湯がある。 次点で、鮪が旨い。 これは街歩きを生業とする自分の勝手な持論だ。そしてそれを確信させてくれた街こそが、本日紹介する、月島だ。 ◆◆◆ 先日、高校からの腐れ縁の友人と飲んでいた。僕が写真を撮るきっかけとなった友人だ。 そこでは、やっぱり街撮りが最高なのだとか、ゆえにRICOH GRを買いたいのだとか、好きな写真家がいて、このインスタでは珍しく多分85mmくらいでスナップ撮ってるのよねとか、あれこれ話し合った。彼と写真の話をするのは

          月島ワンダーランド

          ペコちゃんキャンディの正しい食べ方

          お菓子が閉まってある棚は高く、小学生の時分、手を伸ばしても届かなかった。キッチンに置かれたパイプ丸椅子を取り出してきては爪先立ちでふくらはぎをぷるぷると震わせながら、閉まってあるお菓子のパッケージたちを危うい目視とともに手触り感覚でひとつひとつ確かめていく。これは柿の種、これはミックスゼリー、これは砂糖が振ってあって甘ったるい喉が渇くやつ。どれもだいたいは親の好みだ。僕ら子どものための、というより親父の酒のつまみか、彼らが幼少期好きだったであろう昔ながらの定番お菓子。そもそも

          ペコちゃんキャンディの正しい食べ方

          「一番後ろ」が好きだ

          背後を取られるのが嫌いだ。なんだか格好良くゴルゴ13のデューク東郷がごとく言ってしまったが、昔からそうだった。いまだって、セミナーや講座、カンファレンスがあったとして、前の席に促されるのは嫌いだ。何食わぬ顔でしれっと抵抗したりもするが、促されたら最後、捕まってしまったと思い、なくなく前の方に座る。分かってる。彼らにも役割がある。前の方からお詰めくださいなんて、自分が運営だったら言ってしまうだろうよ。 とにかく周りを見渡せるような「一番後ろ」はいいのだ。そのためになるべく集ま

          「一番後ろ」が好きだ

          若者のすべて

          行きつけの美容室で髪を切った。 ぼくはここの美容師さんが好きだ。 はじめて訪れたとき、ぼくはパーマ予約をしていたのだが、現状の髪質や痛みを考えて、中期的にアドバイスをくれた。結局パーマはやめましょうということになった。 オーダー通りよしなにやってくれてもいいのだが、こういった圧倒的な顧客目線かつ職人としてのこだわりみたいなものに強く惹かれて、ずっとこの人のもとで髪を切っている。 ただ、美容室で会話をするのが昔から苦手だ。 なんか話しづらい、世間話や興味ないことを上澄みで話

          若者のすべて

          【岩手・八幡平レポート】感性を鋭くするということ。

          岩手県は八幡平に来ています。 昨年、八幡平市の観光ポスターのコンペに参加させていただき、今年はOBとして、現地の企業さんのお困りごとをクリエイティブで解決する、といったことを請け負っており、いろいろな観光地を視察しています。 本日、八幡平は安比高原に訪れました。 安比高原は標高700〜800mの高原で、在来馬が駆ける広大な草原に、レンゲツツジやエゾリンドウなど四季折々の花が咲く、景観の美しいところです。 ちなみに近くにはリクルート創業者の江副さんが開発したリゾート地の、全国

          【岩手・八幡平レポート】感性を鋭くするということ。

          ぼくと写真。

          写真に出会ったのは小学生の頃だ。 幼ながら、手持ち無沙汰に家のタンスを漁っていると、なにやら無骨でかっこいいものを見つけたのを覚えている。それがフィルムカメラだった。 こうした機械的なものに触れるのが楽しかったのか、小気味よい音を楽しみながらパシャパシャとシャッターを切ってみたり、巻き上げレバーのガラガラと手に残る感触が好きで引いてみたり、なにやら異世界に飛び込むかのようなワクワクとともにファインダーを覗いてみたり。フィルムカメラは当時のぼくを魅了するに十分であった。

          ぼくと写真。

          自分史と主観と。

          しばらく物書きはしてなかった。 基本的に書きたいことがないと書かない性分だ。 そもそも自分が面白くない。そんなのを読んでもらっても面白いわけがない。 こういうタイトルが、内容がウケるとか考えること自体がダサい。 それ以外の思想が見えてこないから、読んでて楽しくないし、浅いなって思う。 これは自分が最近まで経験していたことだ。 自分の気持ちが乗らないままやらされたものは、大概クソみたいだった。 稚拙で、テキトーで、やっつけ仕事で、何の賞賛もされない。何ならちょっとトラブルにな

          自分史と主観と。