チームを根本から変えた2人の選手は? 後半戦で復活したゴール前への課題 エルゴラ浦和担当、沖永雄一郎さんと今季の浦和を振り返る(中編)

<全3回中の2回>

前編から引き継いだ中編では、中断明けのシーズン後半戦について振り返ります。ハーフシーズンの時点では異例と言える大幅なメンバー構成の変更があったシーズンでしたが、単なる補強の枠にとどまらずにチームを変えたと言えるほどの選手もいました。そして、「ゼロトップ」とも呼ばれた前線の構成についても意見を交わします。

前編はこちら

沖永雄一郎(エル・ゴラッソ浦和担当)
山口県出身。2019年10月よりアイキャンフライしてフリーランスという名の無職となるが、気が付けばサッカー新聞『エル・ゴラッソ』の浦和担当に。
https://twitter.com/RMJ_muga

轡田哲朗(フリーランス)
埼玉県出身。浦和生まれの浦和育ちでイタリア在住経験も。9つの国から11人を寄せ集め、公用語がないチームで臨んだ草サッカーのピッチで「サッカーに国境はない」と身をもって体験したことも。出版社勤務の後フリーに。https://twitter.com/tetsu11k

本来なら徐々にやるはずだった血の入れ替えが一気に進んだ

轡田:ちょうど江坂の名前が出ましたけど、こんな感じでシーズン前半戦を戦いきろうかという時に一気に強化部門が動きましたよね。柏レイソルから江坂、マルセイユを退団していた酒井宏樹に、昨季は欧州チャンピオンズリーグ(CL)にも出ていたショルツ。そして、ドイツから北欧に渡った木下康介と、水戸ホーリーホックからは平野佑一が入りました。

沖永:個別の事例で違いはありますが、夏の出入りの大枠としてはリカさんのサッカーに必要なタイプか、そのレベルに達しているかで選別が進んだのだと思います。選手のIN、OUTは相対的だったりそうでなかったりで判断が難しいですが、今夏はINがまずあったのかなと。会見で西野努テクニカル・ダイレクター(TD)も言っていたように、長期交渉の末に酒井の入団が決まり、そして江坂が「急きょ」市場に出てきた。ここは強化部が見事な対応をしましたが、ある意味予定外の獲得でもありました。

轡田:一方で、杉本、武藤雄樹、武田、藤原、伊藤涼太郎がこのタイミングでチームを離れるわけです。そして、興梠慎三に関しては札幌行きにかなり近づいたという話もありましたし、浦和もまた違う選手の獲得を狙っていたと聞きます。それを受けるとINとOUTでそれぞれ1つずつ未遂になりましたが、シーズン中としては相当な入れ替わりだと言えるでしょう。この動きをどう見ていました?

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