期待と不安が押し寄せた沖縄キャンプから、成長を感じたシーズン前半戦 エルゴラ浦和担当、沖永雄一郎さんと今季の浦和を振り返る(前編)

<全3回中の1回>

浦和レッズの2021年シーズンが終わりました。19年末に3年計画を打ち出したクラブは、2年目となる今季にリカルド・ロドリゲス監督を招聘し、リーグ戦で6位、ルヴァン杯でベスト4、天皇杯で優勝という結果を残しました。そのシーズンを、沖縄県でのトレーニングキャンプから取材していたサッカー専門新聞エル・ゴラッソの浦和担当、沖永雄一郎さんと共に振り返っていきたいと思います。

まずは前編として、プレシーズンに行われた沖縄県でのトレーニングキャンプから、東京五輪で中断するまでのシーズン前半戦について話していきます。そこでは、チーム全体の戦術理解度だけではなく、選手個々に大きな存在感や成長を見せた選手もいました。

沖永雄一郎(エル・ゴラッソ浦和担当)
山口県出身。2019年10月よりアイキャンフライしてフリーランスという名の無職となるが、気が付けばサッカー新聞『エル・ゴラッソ』の浦和担当に。
https://twitter.com/RMJ_muga

轡田哲朗(フリーランス)
埼玉県出身。浦和生まれの浦和育ちでイタリア在住経験も。9つの国から11人を寄せ集め、公用語がないチームで臨んだ草サッカーのピッチで「サッカーに国境はない」と身をもって体験したことも。出版社勤務の後フリーに。https://twitter.com/tetsu11k

課題は多いものの、ポジティブだった沖縄キャンプ

轡田:沖永さん、よろしくお願いします。早速ですが、今季の浦和レッズ全体を見た時にパッと思いつく言葉はどんなものでしょうか。

沖永:キーワードと感じたのは「成長」ですね。昨年の様子から、もっといろんなことに時間が掛かると思っていましたが、いろいろばらつきはあるもののチームとしても選手個人としても、予想以上に成長を見せたシーズンだったと思います。

轡田:実際に、浦和は3年計画を打ち出した初年度になった昨季、大槻毅監督の指揮下でリーグ戦が10位、ルヴァン杯、天皇杯ともに割と早い段階で敗退しました。そこからリカルド監督にスイッチするわけですが、オフには多くの選手が入れ替わった部分もあります。オフシーズン中に、どんな見通しをしていましたか?

沖永:始動前はすべて想像でしたが、リカルド監督の能力が高いのは間違いないし、補強も比較的地味ながら、いい選手を獲ってきたので上向くだろうなと。ただやっぱり、まずは土台を作るところからだろうと思っていましたので、かなり時間が掛かるんじゃないかなと思っていました。少しずつ少しずつ形になって、リーグ戦をなんとかひと桁順位で終わってくれればなと。カップ戦で勝ち残る想像はできていなかったですね。

轡田:僕も似たようなところはあったんですけど、最も懸念していたのがボールを持つサッカーに転換していく時に多くのチームが起こす不具合でした。大槻監督のチームで最大の課題だった部分を長所にまでしていこうというアプローチだったので、これは相当に労力と時間がいるぞと。実際に、僕と沖永さんはキャンプを全通しましたけど、最初の何日間かは「大丈夫かなあ」という感じでしたよね。

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