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カシワハナダイ

 私が普段から潜っている三保真崎には、40年前はサクラダイとキンギョハナダイの2種しかいません(確認できません)でした。ところが、20年ほどまえからアカオビハナダイを見かけるようになり、今ではその数はキンギョハナダイを凌ぎ、デフォルトのサクラダイに迫る勢いです。

ケラマハナダイの性転換中

 そして、10年ほど前からケラマハナダイを目撃するようになり、今ではオス化する個体がでてきて、繁殖をするようになりました。加えて、これまで数年に1匹程度しか確認をしてこなかったカシワハナダイが2022年には5個体(これは私の目視観察の範疇なので、実際はもっと個体数がいると思います)を観察して、ケラマハナダイの増殖を彷彿させるような状況です。

中心がカシワハナダイ、加えてケラマハナダイ

 この現象と並行するように、同じハタ科のアカハタ、スジアラなどの個体数が増え、これまで見たことがなかったチャイロマルハタ、ヤミハタ、ホウキハタ、ユカタハタ、カンモンハタを複数個体観察するようになりました。

カンモンハタの幼魚

それまでは、オオモンハタ、マハタ、キジハタ、アオハタ、稀にクエが在来種として生息していました。相変わらず、オオモンハタが優勢なのはかわりませんが、マハタよりもアカハタの方が多く、キジハタやアオハタの数は劣勢になっているように感じます。
 私が三保でダイビングを始めたころには、考えもしなかった光景が広がっています。その当時から比べれば、透明度も良くなり、南の海の色鮮やかなな魚たちが群遊して「夢のような世界」なのかも知れません。しかしながら、この状況がいつまでも続くとは思いません。1つは海流の変化によって過去に戻ったような生物分布になる「もとの生物生息環境」の選択肢と一方ではこの状況が突き進み、サンゴの移入が促進されることによって、亜熱帯域の生物が基盤ごと推移してくる状況です。後者のようになった時に、果たして私はそれを「夢のような世界」と言っているのでしょうか。

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