徒然なるまま 0830

すべては遠い世界のできごと、それ以外に何か?

Greek Colonization Archaic Period
by Wikipedia
(Public Domain)

 ゴルバチョフ(最初で最後のソヴィエト連邦大統領)が亡くなった。第二次世界大戦後のアメリカVsソ連という対立構造(東西冷戦)の緩和を主導したメンバーのひとりである、CCCP最後の指導者。
 ゴルビーの愛称グラスノチ(公開)やペレストロイカ(再構築)というトレンド・ワード。ベルリンの壁の崩壊(1989年11月)という象徴的なでき事も重なり、まるでソ連が自由主義化していくようなイメージがあった。

 その後、8月クーデターを経て1991年ソヴィエト連邦は崩壊。ゴルバチョフは「社会主義国家・ソヴィエト」という幻影を歴史の記憶の中に沈め、そのあとに多数の民族国家が林立することになる。

 社会主義、あるいは共産主義というイデオロギーは、人類にはあまりに遠い存在だった。それは、これから先も変わらないだろう。

 いま、世界はもと来た道へと戻り始めている。
 (※そう思わないか?)

 少なくともヨーロッパにおいて「冷戦構造」は失われていない。その象徴がウクライナだ。
 2004年のオレンジ革命に端を発し、2014年のユーロマイダン革命によって致命的となったロシアとの対立。地政学上の争いに見えるけど、モトをたどればロシア革命後のウクライナ・コサックの民族独立が、ボルシェビキ(ロシア赤軍)によって潰されたことにあるのではないかと思う。
 ……そう、違いは対立の主役が「イデオロギー」から「民族」に姿を変えていること。

 それがなぜ争いのイニシアチブを取るのか?

 例えば、「ルワンダ虐殺」と呼ばれるフツとツチの争い。例えば、エスニック・クレンジングという言葉を生んだボスニア紛争。例えば、ミャンマーにおけるロヒンギャ弾圧。さかのぼればナチスによるホロコースト、ユダヤ民族のディアスポラの歴史など、人類史をたどれば数限りなく出てくる。

 それが人類史そのものと言えるほどだ。

 相手を排除する以外に解決はない、それくらい深く激しくそして強いもの…「民族」という存在。歴史上の事例を見ていると、「人類に普遍の感情」のように感じるけど、民族の多様性を経験できないボクたちには、永遠に理解できないことだろう。

 排除しか生まない感情を知らずに済むことは幸運だと思うけど、それでも考えるときがある。「民族」…いったい何なんだろうね?と。

 そして、排除以外に解決がないのであれば、ウクライナに平和は訪れないのではないか、と。


#ニュースレター  #エッセイ #モノローグ #日記 #民族

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