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何にでも粉チーズをかける男に出会った話(創作コメディ)

友人同士のA,B,Cは店でケーキを購入し、三人で食べようとしていた。

A 「…お前なんでチーズケーキに粉チーズ振ってるの!?」

B 「何でって…チーズ料理に粉チーズ振って何が悪いの?」

A 「チーズ料理…?」

B 「チーズケーキはチーズ料理だろ?小麦粉や砂糖にチーズを混ぜて焼いた料理」

A 「そういわれればチーズ料理…なのか…?」

B 「チーズ料理に決まってるだろ」

A 「チーズ料理って何だろう。」

(BがAのショートケーキも粉チーズをかけ始めた)

A 「ちょっと待て、それはさすがに看過できない。」

B 「どんな味になるのか試したいんだよ。」

A 「だったら自分のにかけろよ。ショートケーキに粉チーズって気でも狂ったか?」

B 「料理は挑戦と失敗だよ。試されてない組み合わせこそ試す価値がある。」

A 「だったら自分のにかけろ。」

B 「リスクが大きすぎる。」

C 「Bは相変わらずチャレンジ精神がすごいな。この前なんて粉チーズでチーズフォンデュしてたからね。」

A 「ちょっと理解できない。」

B 「機械に粉チーズが詰まって壊れた。」

A 「馬鹿なの?」

C 「最終的に器に入れた粉チーズに具材をつける形式に落ち着いたよね。」

B 「串カツみたいで楽しかった。」

A 「普通に粉チーズかけろよ。」

B 「でもねー。いまだに求める味にたどり着けないんだよ。」

A 「いったい何を求めてるの?お前が粉チーズかけたショートケーキ、めっちゃ不味いんだが。」

B 「昔インドの屋台で食べたあの味…」

A 「インドの味はチーズじゃないと思うぞ。」

B 「インドのイタリア料理屋台で食べた麻婆豆腐が美味しくてな…」

A 「確かにそれは再現が難しいかも…」

B 「赤ワインの豊潤な香りと、チーズの濃厚な味が絶妙だった。」

A 「麻婆豆腐だよね?」

C 「この前粉チーズを固めて食べた時、この味が一番近いって言ってたよね。」

B 「あれはうまかった。」

A 「それは…普通にチーズを食べたほうがいいのでは?」

B 「あれ以来、料理には粉チーズを試してみることにしている。」

A 「とにかく、自分のだけで試せよ。」

(BがAのショートケーキを食べる)

B 「これだ、この味だ!!」

C 「そうか!そうなのかB!」

A 「これめっちゃ不味かったんだけど…」

B 「ワインとオリーブオイルの濃厚な香り…そしてほのかなナツメグの風味…」

A 「別なものを食べてない?」

C 「よかったなあB」

B 「これでもう思い残すことはない。」

店長「お客さん。店内でケーキに粉チーズかけて食べるのはやめてもらっていいですかね。」

B 「店長。あなたのショートケーキは素晴らしい!俺と一緒に世界で売り出しましょう!」

A 「いや、やるわけないでしょう。」

店長「見てわかるように自分の店があるので…ですが、インドで出店できるなら考えましょう。」

A 「インドってどんな国なの?」

C 「話は聞かせてもらった。私が出資しましょう。」

A 「Cお前、何者…?」

その後、店長とBの二人はインドでショートケーキに粉チーズをかけた料理を売り始めた。ビジネスは成功したが、気が付くと会社にBと店長の名前はなく、Cが代表取締役として君臨していたという…

~終~


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