滅びゆく世界のバトン

今日、ラジオを聞いていて謎に涙が出る事態が起きた。
この日で4000回という昼のラジオに隣の局のメインパーソナリティから花が届き、そのあと、80歳のリスナーからの頑張ろうぜ(という趣旨)のメールが読まれたところだった。とくに泣くべく展開でもないのだが、ラジオという滅びゆく(…といったら言い過ぎかもしれないが)決して成長産業とは思えない媒体が懸命にバトンを繋ごうとしている瞬間を聞いてグッときてしまった。
今日「書店ゼロ、市町村の26%に」というニュースがTLに流れて来た。
紙の本はラジオのことを言ってる場合ではなく滅びゆくジャンルだ。

バトンを繋ぐなんてカッコのいい言い回しができる状況ではないが、それでも本を作っている。来年の発売号も発表できた。
長く仕事をやっていると、かつて同じところで仕事をしていた人が、もうこの世界から離れたよ、と聞くことも多い。同時にそれでもまだ頑張っている人も少なくない。そして時々、そんな頑張っている人から、ちょうど隣の局から花が届くように「頑張ろうぜ」と声がかかる。
頑張れる場があることをパワーに代えて、本日も本作りに取り掛かる。
ちなみに、そのラジオでは、サッカーのPK戦の代わりに黒ひげ危機一髪のほうが盛り上がるのではないか、あっちむいてホイでもいい、と話していた。
あってもなくてもいい話題。こちらも「ものを捨てられるか捨てられないか」という原稿を書いていた。その一文がなくなったからといって生活に困ることはないものを作っているのだが、それでもやっぱり、そのバトンは繋ぎたいなと思ってしまう。

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