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二手に分かれる / 半透明の青い球体

夢を見た。

友人とドライブをしていた。私は助手席に座り友人の車でどこかに出かけていた。景色はまるでアメリカ映画に出てきそうな、だだっ広い大草原の真ん中の道を、私達の車だけが走っていた。しばらく走っていると道が二手に分かれていた。友人はブレーキを踏み、車をゆっくりと停めた。そして悩ましげな顔をして私に言う。「どっちに行ったら良いのか分からないから、これ以上は進めないよ。」と。

私にも分からなかった。

ーーーーーー

場面が変わり、また別の夢。

複数の知人達といる。そのうちの一人が、私の相方に対しての不満を私に打ち明ける。そんな事があったのか...と、知人の話を聞いて知る。その後、私は相方と合流する。私は知人が不満を抱えている事を相方に忠告するが、相方は気にも止めない様子だった。(まぁ、いいか...)とその話をやめ、相方と夜の帰り道を歩いて家路に向かう。空を見上げると星空が見えた。「今夜は星がよく見えて綺麗だねぇ。」私が言う。相方も空を見上げた。

2人でしばらく夜空を見上げながら歩いていると、遠方に宇宙から見た地球の様な、青く輝く半透明な球体が下方向から現れた。「え?え?何あれ!?」と私は驚く。辺り一面が次第に、ぱーっと明るく照らされ街を包み込んでいった。それは太陽の様な眩い明るさではなく、なんというか幻想的な青く神々しい光だった。「わぁ!綺麗〜!!」と感動しているのも束の間、その青々と光る大きな球体は、柔らかなゼリーの様に形を変えてどんどん膨れ上がっていった。それは、映画「もののけ姫」の中の1シーン。シシ神様がデイダラボッチに変身する様に、半透明で青い光を放ちながらその地球の様な球体は大きく、更に大きく膨れ上がっていった。私は突如球体が現れて驚いたものの、なんて幻想的で綺麗なんだろうと呑気に感動していた。しかし、その球体が有り得ない程に膨れ上がる度に、いつのまにか私の感情は段々と恐怖に変わっていった。「なんか...やばくない?凄い大きくなってるよね?」そう相方にポツリと呟くと、相方は蒼ざめた顔をして「早くっ!逃げるぞ!!」と、私の手を取り走り出した。私達は、その得体の知れない美しく光り輝く半透明の青い球体から、離れる為に一生懸命に走った。走った。走った。走りまくった。

しかし、その大きく膨れ上がったゼリーの様な球体は、私達のもう後方まで来ていた。後方にあった街は、既に球体にのみ込まれてなくなっていた。私は、多分この球体にのみ込まれたら死ぬんだろうなぁと漠然と思った。もちろん怖かった。けど、こんなに美しい半透明の地球の様な青い球体にのみ込まれて死ぬのなら、それはそれで良い様にも思えてきていた。走るのが疲れてきて、私は相方に「もう走っても逃げ切れないよ。もう諦めて受け入れようよ。」と告げた。相方は「はぁ!?何言ってんの!?そんな事言ってないで、早く!走るよ!」と焦った顔で私に言い、また走り続けた。

もし、あの球体にのみ込まれたら、痛みを感じるのかなぁ。痛いのは嫌だな。熱いのかな?柔らかいのかな?どんな感じなんだろう?これは、もう人類の終わりなの?それならそれで受け入れるから、どうか痛みだけは失くしてほしいよ。などと、走りながら私は、頭の中で1人考えていた。

球体が放つ光によって、走っている私達の影が前方に長く伸びた。それを見て後ろを振り返ると、もう私の背中に球体が触れそうな距離まで来ていた。私は相方の手を振り離し、足を止めた。「もう、無理だよ。私はこれを受け入れるよ。」と告げ、その半透明で青々と美しく光輝く球体に、もたれかかる様に身を委ねた。相方は手を離した私を振り返って見た。私の身体はその球体の中に柔らかく埋もれていき、ゆっくりと青く溶けていった。痛みは感じなかった。熱くも冷たくもない。ただ、身を委ねる時には、少し勇気がいった。そして少しの怖さもあった。けど、もう抗えない様な、諦めなきゃいけない様な、受け入れなきゃいけない様な気持ちになり、大きな青く光輝く球体に身を委ねた。そして、私は消えてその球体と一体化した。

なぜだか「有難う」という気持ちだけが強く残った。

そして、目が覚めた。



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