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夢幻星#8

今日は真珠さんとの2回目の撮影をする日だ。

いつも通り黒シャツを羽織り、撮影機材を持って部屋を出た。
今日の撮影場所は広島市内。
今日撮る動画の構成はまだ完璧ではないが、ぼんやりと頭の中で考えている。
んまぁ、真珠さんは妙に動画映えする容姿だから何を撮ってもそれなりの動画になるだろう。

そんなことを考えながら市内へと車を走らせる。

待ち合わせ場所に着くとまだ真珠さんの姿はない。
スマホを開き真珠さんに
「今着いたんで、来たら連絡くださーい」
そうLINEした。

まだ予定時間まで10分程度あるので、スマホで適当に時間を潰しながら待つことにした。

13時51分。
この時間帯の市内はやけに人が多い。
こんなに人が多ければちゃんと見つけてもらえることができるのだろうか?
なにせ僕たちはまだ一回しか会っていない。
服装の特徴でも伝えておくべきなのかなぁ、
そんなことを考えているとLINEの通知音がなった。
もちろん相手は真珠さんからだ。
「すみません。ちょっと遅れそうなんで近くのカフェででも待っててください」

俺は了解!と返信し、近くのカフェで待つことにした。

それから15分程度待った時だろうか、見慣れた姿がカフェへと入店してきた。
間違いなく真珠さんだ。
あたりをキョロキョロしている彼女を見ていると、目があった。

真珠さんは俺を見つけると笑顔で手を振って、コーヒーを持ちながら俺が座っている正面に腰掛けた。

「遅れちゃってすみません」
真珠さんはそう言いながらコーヒーにミルクを入れている。

「いや、いいっすよ全然。時間は余裕があるんで」
俺はそう言ってコーヒーを一口飲んだ。

んー相変わらずかわいい。なんか前と髪型が変わっている気がする。気のせいだろうか?
こういう細かいところに気がつく男はモテると聞いたことがあるな、
「真珠さん髪型変えました?」
手に持っていたコーヒーを机の上に置きながら聞いてみた。

「え?」
真珠さんはキョトンとした顔でこちらを見ている。
いやいやミスった!完全にミスった!
いきなり髪型変えましたか?なんてキモすぎだろ俺。タモリかよ俺。
あー絶対キモいって思われたー。。

「そうなんですよ〜。ここに来る前に美容院行ってて、よく気がつきましたね!似合ってます?」

真珠さんはそう言って自分の髪を照れ臭そうに触っている。

「あっ、あーやっぱり!」
マジか!やっぱり気のせいなんかじゃなかった。
「似合ってますよ〜」
そう言って手でgoodサインをした。

「ははっ!ありがとう良かったです」

真珠さんはニコニコ笑顔でコーヒーを一口飲んだ。

俺は真珠さんに釣られるようにコーヒーを一口啜ると、早速今日撮影する動画の大まかな説明をした。

お互いコーヒーを飲み終えたところでカフェを後にした。
外に出てみると相変わらず人が多い。
いくら動画制作が好きと言っても、この大勢の人たちの中でカメラスマホ片手に女性を撮影するというのは少し恥ずかしい。

まぁ撮り始めたら周りの視線なんて気にならなくなるんだけれど。

早速2人で撮影を始めた。

#9へ続く

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