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年収3万円台の漫画家が青色申告を出した話①

1.勢いだけで開業する


開業届を出した


去年の2月。
私は漫画家として開業した。

”漫画をちゃんとした仕事にしたい。
でも甘えで仕事を取らなくなりそうだから
背水の陣で開業届を出してしまおう”

そんな勢いだけの開業である。
ざっくり調べたら青色がいいって聞いたので、よくわかんないけど青色で出すことにした。

しかも一番お得なのは65万控除が付くと聞いたので、そりゃお得な方がいいよねという勢いだけでそれを選ぶ。

とことん勢いしかない。
無知と勢い。恐ろしい。

~地域の税務署へ~

私「開業届と青色申告申請書出したいです」

職員さん「あれとこれをこうしてああして(親切)」

~10分程度で開業終了~

私(…開業自体は簡単に出来てしまうのだなぁ)


張り切って営業活動する


晴れて私は、一応「職業:漫画家」となった。
開業届上は。
漫画で収入などほぼほぼ得られていないのにだ。

言ったもの勝ちである。

さて、漫画で収入を得ねばと色々情報を得る。

漫画の収入は、

・自分で描きたい漫画を描いて賞とかを取って商業誌連載したり、SNSのフォロワーを増やしてコラムなどの連載に繋げていく

・企業の広告漫画とかを描いて制作費をもらう

・自分で漫画を描いて自分でそれを電子製本とかコミティアとかで売る

・アシスタントをする


そのあたりがメインなのかな?
私の住んでる土地はコミティアなんてないし、コミティアの為に都会に出る事も小さな子がいる現状ではままならないので3つ目の選択肢はほぼない。

そもそも人酔いする私には多分コミティアは無理だろうなぁ…。

アシスタントはネットで出来る簡易なものをいくつかやった。
ただ安定した収入とは言えなかった。

漫画賞を取って連載権を取るというのはかなりハードルの高いものである。
就職活動の相当難易度高い版。

企業の広告漫画が、単発で稼ぎやすいという印象はあった。

自分の現状では、広告漫画で日銭を稼ぎつつ、漫画賞に出して地道に活動するのがいいのかなと思った。

でもどうやって仕事を取るかがわからない。
こんな状況で創業してしまう自分は本当に勢いだけで生きていると思う。

一応地元の企業いくつかには営業活動もしてみた。
でも「漫画がそんなに宣伝になるんですかぁ?」という反応だし、そんな反応をする人に対して1ページ単価を提示できるはずもなかった。

お仕事の展開方法について相談を受けられるところに活動の仕方を相談しに行ってみたら「まずは無料で”描かせて下さい!”って広告漫画を描いて、それを実績として売り込む」事を勧められた。

でもそうやって「無料」の仕事をしてしまう事は私の中で憚られた。

「あそこには無料で描いたんでしょ、うちでもそれで頼むよ」
「あんたの実績になるんだからいいじゃん」

という言い分の人が沸く事が容易に想像できたからだ。
実際そう言われた漫画家仲間が身近にいたこともその想いを強くさせた。

漫画って1P描くのにスゴイ労力使ってるので、自分から言うならまだしも相手からタダにしろと言われるのはとんでもなくバカバカしいことである。

タダで描くならそれなりの理由があればというので、1本漫画賞に応募するために描いた。
賞金を得られればそれが原稿料というイメージだ。

とあるシェフのお話に心を揺さぶられて、無料でいいから応援させてください!描かせて下さい!となって描いた作品である。

無料で描くならそれぐらいの気持ちにならんと描けない…。
アンタの実績になるんだから描けとか上から目線だったらまず間違いなく描けない…。

もちろん漫画賞の結果は入賞なしということで、無報酬の漫画だった。
ただ、この方が同時にやっていたクラファンが凄く伸びた。
Twitterの漫画がそこそこ拡散された結果「Twitterから来ました」という支援者が多数現れたのだ。

20万円の目標金額はあっと言う間に突破、最終的には70万をこえた。

結果、このシェフにはとても感謝されたし、私の漫画をシェフの仲間に勧めてくれる結果にも繋がったのである。

ただ。
そうやって勧めてくれる人が出て、実績となってもやっぱり「あなたに漫画を描いてもらいたい」と言う人は現れなかった。

積極的に無料で受けて実績を積むというやり方は骨折り損になりかねずリスキーだなと、私は思う。

全然収入が得られない現実


そんなわけで広告漫画が取れない。

ココナラなどのサイト登録もしてみようかと思ったが、価格破壊が起こっている。

絵が綺麗なのにページ単価がべらぼうに安い。
そんな人であふれている。
そりゃそう言う人は人気が出る。

下手くそで実績もないのにページ単価は高くしたい自分がここに何かを出して売れるはずが無いと思った。

でも前に、4コマ漫画を継続して描く仕事を請けた事があって…
何時間もかけて四コマ描いてとても低い報酬を請けることがとても悲しかったのだ。時給換算したら、時給100円にも満たなかった。
自分を削ってやる仕事は、続けていけないと思った。

値上げ交渉をしたら、その時点で切られた。

ろくな収入もないのに偉そうだけど、やっぱり最低限度の基準は決めて仕事として受けた方がいいと今でも思っている。

ただ今あの仕事を請けたら、もっと早く作画出来るから時給換算したらもう少しお得かもしれん。あの時の私の作画はかなり遅かった。

**

SNSでフォロワーを増やすと、フォロワー多い人に広告案件が舞い込む事もあると聞いた。なので、フォロワーを増やす研究をして、色んな漫画を投稿してみたりもした。でもそれも成果がなかなか出ない。

とにかく描き続ければ何かに引っかかるかもしれないと、心が動いた本のことを漫画に描いて相手に売り込む事もやってみた。
これも無料広告漫画の一環ではある。
相手から感謝はされるものの、その相手からの仕事にはつながらなかった。

ただ、そこから1件だけひとつの仕事が来た。
これが私の、昨年度最初で最後の広告漫画。

漫画賞に作品を出す事もあちこち挑戦はした。
いくつか入賞はしたけれど賞金は得られない程度に…ということで、実績は出来たがお金にならない作品を量産する形になった。

ただ、描きたいと思ったものを描いたので、楽しかったし良い経験になったと思う。モヤモヤしながら無料広告漫画を描くよりは多分良かった。


とりあえず真面目に家計簿的なのをつける


創業したことを話した相手に、100均で買える簡単な家計簿に、とりあえず日付と金額と何にお金を使ったかだけ気まぐれにメモしておく事を勧められた。

家計全てのものではなく、事業に関連してそうなものだけだからそこまで面倒ではなかった。

こんなんで役に立つのかな?と思っていたけど、何だかんだ役には立った。


小さな家計簿に「〇月〇日、ここでこれを買った」というメモをしておくだけでも十分というご意見は間違っていなかったのである。

ただ、これは飲食店とか雑貨販売だと細かく書くことになるからとんでもなく大変そうだと思う…

そして年末が近づく


家計簿的なものは書いたけど、それを一体どうしたらいいのか。

とりあえずこの本を読み込んで勉強する。
大河内先生が出来ると言うならきっと出来る、私には出来る。

用語のバリエーション豊か過ぎん?
一つ覚えたら一つ忘れていくよ?
子ども産んで性能落ちた40代の脳みそなめんなよ?


さっぱりわからなかったので会計ソフトを触ってみる


漫画になっていてわかりやすい本を読んでも、やっぱりよくわからない。
やはり自分でやってみないことには始まらないであろう。

会計ソフトでやれば全部複式簿記もやってくれるとのこと。

「簿記に詳しくない人ならfreeeがわかりやすそう」という意見を聞く。
そんな理由だけでfreeeを触ってみる。
無料でいじれる部分もあったので、ちょこちょことやってみた。
やはりよくわからん。

確定申告の書類を出すためにはソフトへの課金が必要らしい。

収入もないのに書類作成のために課金するってバカバカしいから極力無料の範疇で頑張りたいなあとこの時は思っていた。

でも最終的には月額で課金したよ。

結果的に私はfreeeを選んだけど、大河内先生はやよい推しだし、マネーフォワードがいいと言う人もいる。

そこまでみんなそれぞれをオススメするなら、多分もう、どれもいいんだと思う!

一応、全てを終えた私の体感としては、freeeはとても親切だったなぁという印象。他のソフト使ってないから他との比較は出来ないけどね。

ちょっと前置き長くなりすぎた。

その②の

そもそも収入が低い自分は確定申告しなくて良いのでは?

…という話に続きます。

漫画で描いたらいいんだろうなこれ。
でも色々ありすぎて、かなりのページ数になりそう…。


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