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開業後 (2) 黒字になった

そんなこんなでようやくお客さん第1号。その後もゆっくりとではあるが、少しずつお客さんの数は増えていった。

だけれど、開業してしばらくはとにかく真っ赤だった。そりゃ当然なのは理解はしていた。現実は厳しい。お客さんが増えたと言っても売り上げは少ないし、店舗を運営することで発生するいわゆる「固定費」は重く、赤の月が続いていた。

焦っていた。お客さんがゼロでもしばらくは大丈夫なようにと赤字補填分の予算はあったけれど、どんどん目減りする通帳の額…。焦る。

お客さんのために何か買おうとしても、さらに減らす事が怖くて思い切った決断ができない。知ってもらうために広告宣伝にお金をかけようともしたけれど、新聞広告という今考えてみると無駄な出費をしたりしたこともあり、同じ過ちは繰り返すまいと、とにかく何をするにもなかなかその一歩を踏み出すことができない。

そこでもっぱらやっていた宣伝は、3つ折りのチラシをポストに自身で投函すること。

リュックに刷ったチラシを入れ、「今日はこの辺り」と地域を決めて毎日のように自転車で色々な地域をグルグルと周っては投函していた。幸か不幸か、空き時間はたんまりある。ここの周りは坂が多く、汗だくになりながら何時間もかけて投函していた。おかげで鎌倉・藤沢・湘南エリアの地理には短期間で多少詳しくなった。

しかし残念ながら、そうやって汗だくになりながら配ったチラシの効果はほとんどなかった。ただ開業後数ヶ月経って少しずつではあるが「ホームページを見て」や「前を通って気になってました」という感じでご入会いただくお客さまが増えてきた。

そして2016年10月、開業して半年。それまで真っ赤だった数字に3,000円の黒字が出た。この3,000円の黒字。本当に嬉しかった。

この時は調子に乗った。何故お客さんが増えたのか、正直今でもわかっていない。チラシや広告の効果はほぼ皆無だったし、あえて言うとしたら、開業してしばらく経ったことで、多少は認知された…ってことくらいしか思い浮かばない。

それまでは口にするものと言えば1ダースで100円以下の冷凍餃子をおかずにしてご飯、そしてただ酔えるだけで買っていたストロング系の飲み物だった。どんどん痩せ細っていくが、酔わないとやってられん!今振り返ると本当ひどいな。。苦笑

ただ黒字が出たことで調子に乗って、この時初めて地域のお店に飲みに行ったりした。それくらい調子に乗った。

ただその年の12月。売り上げはほとんど変わらないのに、そして経費もそんなに増えていないはず(物を買ったりしていない)なのに12月に二桁の赤字になった。何故だ!?

政府金融公庫からの短期借入金の元本の返済が始まったからだ。

開業して半年は、開業するにあたって政府金融公庫から借りたお金の返済は利子分だけだった。ただ半年過ぎると元本の返済が始まるのだ。そしてそれが始まったのが12月。その増えた返済分がそのまま毎月二桁単位で赤字となって積み重なっていく。

黒字になったのはわずか2016年の10月・11月の2ヶ月。しかも黒字と言ってもどちらも数千円単位の黒字。

12月は再び赤に。しかも黒と違って数千円なんかじゃない。かなり大きな赤字に。

そして年は明けて2017年1月。

年明けで新しいことを始める人が多いかも!と期待していたが、思ったよりも伸びない。ヤバイ。。どうしたら良いか、分からない。自分が提供しているサービスに価値を見いだしてもらえない。いや、そもそも価値なんてないのかもしれない。。再び自信がなくなっていく。

どうやったら運動の良さ、自身のサービスの良さを伝えることができるのだろう。悩んでいても答えは出ない。ただ悩んだ。

正直この頃の記憶はあまりない。とにかく毎日、、とりあえず今来てくれているお客さんを一生懸命指導し続けるしかなかった。

そしてある日、カレンダーがご予約で埋まっていることに気がついた。

その時期に何が起きたのかは分からない。何を変えた訳でもない。ただこの時期、急に新規のお客さんが増えた。そしてその2017年2月を境に今まで一度も赤字になったことはない。


よく「その時期に何をしたんですか?何をして黒字になったのですか?」と聞かれる事がある。

そういう時には真摯に答える。

「本当に分からない。お客さんのこと考えて、一生懸命やってたら気がついたらお客さんが増えてた。ってか今でもお客さん増やしたいから、それを分かっていたらそれやってるし!なんでだろうなぁ。誰か教えて欲しいわ。笑」


その姿勢はあれから4年以上経った今でも変わらない。

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