こんな本を読みました【2024.11-12】
今年最後の読書記録です。
★『推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない 自分の言葉でつくるオタク文章術』三宅香帆
同じような意味の言葉をときどき目にする。これまでの誰の言葉より心に響くのは、三宅香帆さんが「あなたの感想を聞かせて!」と、最初から最後まで念じながら、この本を書かれたからなんじゃないかと思う。思ったこと・感じたことを素直に書いていいんだな、表現していいんだなって、勇気をもらえる。
わたしは言語化がヘタクソ。だから、この言葉になんだかほっとした。言語化できないのは文才がないからじゃない。それほどまでに感動したからなんだ!
文章力を上げたい!って人は、言語化できないとダメなのかもしれない。けども、わたしには感動できる心があるとわかって、そっちの方が嬉しかった。
うまい言葉が見つからなくても、思ったことを書けばいい。それを繰り返しているうちに、きっと少しは言語化がうまくなるはずだから。
★『ミシンと金魚』永井みみ
第45回すばる文学賞受賞作。初読みの作家さんです。
主人公は、認知症を患った安田カケイ。最近のことはすぐに忘れてしまうが、過去のことはよーく覚えている。
わたしは認知症になったことがないので、そのような方々が何を思い、どんな思考回路をもって行動しているのか、知る由もない。けれど不思議なことに、この小説からはめちゃくちゃリアリティを感じる。認知症の方の頭の中ではカケイさんと同じように過去を振り返ったり、目の前のできごとを俯瞰的に見たりしているんじゃないか?
カケイさんの一人語りによって明らかになってゆく人生は、他人からは幸せに見えないかもしれない。けども、いいこと探しの達人のようなカケイさんのフィルターを通すと、何が起きようとも人生捨てたもんじゃないなって思える。
読後感はちょっと重くて、哀しくて。本の世界からしばらく動けなくなりました。
★『自転しながら公転する』山本文緒
正直に言うと、主人公・都のことがいけすかない。が、それはおそらく自分自身を鏡のように映しているからなんだろうなと思う。
結婚相手の学歴や職業なんか関係ない。遠く離れた場所からはそう思えるけど、いざ自分がその立場になったら、都のようにうじうじと考えてしまうだろうな。母の介護から逃げようとしているところも、過去の自分を見ているようで反吐が出る。
山本文緒さんも初読み。ところどころにドキッとするような表現がある。けど、それは何百ページもある中の1ページくらいなもんで、その一文を際立たせるために、何千何万という文字数を使って物語を説明していくのかと思ったら、作家というのはほんまにほんまにすごい職業やなと思う。
主人公のことは好きになれなかったけど、山本文緒さんの文章は美しくて鋭くて、好きでした。
以上、3冊をご紹介しました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
今年は思うように読書ができなくて、残念だったなー。来年はもう少し読書時間を増やしたい!
2025年も素敵な本に出会えることを願って。
ではでは、また!
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