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人には話せないそれぞれの金銭事情を身にしみて知れる「三千円の使いかた」

「金銭事情」は友人同士で話すのは、タブーな感じがある。

旅行や外食でもなんとなく「高い」と思いながらも、「この時ばかりは気にしてはならぬ」と笑顔で応じる。クーポンを提示するのも「ケチケチしている」と思われそうで気が引ける。

そんなこんなで日常にふと際立つのが、自分自身のお金がない惨めさ。僻み。そして、ケチくさいことへの嫌悪感。

決して、裕福な家庭で育ったわけではない。無理をして大学に行かせてもらった。今は、仕事を辞めて、転職活動中の身である。「お金への不安」がいつも付きまとうが、そんな話白けてしまって、友人に話せるわけがない。

前置きが長くなったが、そこで出会ったのが「三千円の使いかた」という本。20代独身の妹、子持ちの姉、母、祖母と三世代に渡る女性の視点で、「お金に対する不安や悩み」・そして「お金に対する向き合い方」が物語として描かれいる。

なんだか読んでて安心してしまった。それぞれの主人公が、老後資金や将来のことを考え、日常がリアルに描かれている。「お金の話」はあまり話しづらいけれど、こうやってそれぞれの事情を抱えながら、お金と向き合っていることが物語を通して感じる。隣の芝生は青い。周りが裕福そうで恵まれて見えてしまうこと、時には僻んだりすることはあるかもしれないが、それぞれにはそれぞれの事情を抱えていることを自分に言い聞かせたい。

この本では、節約や貯蓄方法も教えてくれる。物語のなかで『8×12は魔法の数字』を執筆している節約セミナー黒船スーコさんのセリフが意外とスキ。

毎月八万ずつ、それにボーナス時に二万ずつ貯めます。そうすると、あら不思議。一年に百万円が貯まっちゃうの!そして一年に百万ずつ貯められれば、三十代のあなたは六十歳の定年までに三千万、二十代のあなたなら四千万貯まります。さらにそれを3%の複利で運用すれば税抜きで約四千九百万と約七千七百四十万になります。もう老後は心配なし!

お金や節約は目的ではなく、人が幸せになるもの。お金を気にしながらも、使うべきところは使って、幸せを掴み取りたい。とう感じたほっこりする一冊。


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