17年越しの・・・

(結果を待っていてくださったみなさまには)お待たせをいたしました!

デ デ ン! 

免許とれましたーーーーーーー!

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実はこの「免許を取る」という一見、世の中ではわりと当たり前のようにある経験ですが、わたしにとっては、とてもとても、特別なものでした。

というのも、私は母を亡くしたのが19歳、大学入学直前でした。亡くなるまでの半年、多くの人が免許をとる18歳の頃は浪人中で、母のうつ病から「死にたい」という声を毎日のように聞く生活をどう生き抜いていくかで必死でした。大学に入ってからみんなが合宿免許などにいくのを横目にみながら、「自分はバイト代をすべて学費と生活費に注ぎ込まなければいけないから、どうせ無理なんだ・・・」と悲しく感じていました。

大人になってからも、幾度も「免許もってないの?」と聞かれます。もちろん、その質問をする人には悪気はないし、傷つける気がないのは百も承知なのですが、私は密かに毎回傷つき続けていました。それは、私にとって親の喪失とセットのグリーフだからでした。親がいなくならなければ、もっと「普通」に免許とかをとれた大学生活だったのに…‥などとつい思ってしまっていたのです。

東京の都心に暮らしている限り、免許の必要性はあまり感じていませんでしたが、渡英してきた中で、やっぱり車でイギリスをめぐりたい、という願いがわたしの心にふつふつと湧いてきました。そして身近な人が運転する車に乗る機会も多くなったためか、一念発起をして、免許を取ることに決めました。それが去年の秋口のことです。しかもその時お腹の中に6ヶ月になる小さないのちがあり、大きな覚悟で「今しかない」と思って飛び込みました。

場所は武蔵境教習所に行ったのですが、それはわたしがかつて母と兄と過ごした街だったことと、兄が免許をとったところということからで選びました。自宅からは電車で1時間。それでも、冬の朝な夕なに、通いつづけました。臨月に仮免を合格し、産気づいた当日の日中もオンラインで学科を受け(武蔵境教習所は都内で初めてオンラインでの学科受講を導入)、産んで3ヶ月で復帰、第二段階を一ヶ月でとり、つい先日無事に免許を取得しました。

ちなみにMT(マニュアル)車にしました。イギリスはオートマよりマニュアル車が多く、レンタカーでも倍くらいの料金がオートマ車にはかかります。女性でマニュアルでとるというのは、めずらしいのか、わりと「なんで?」と聞かれることも多く、時には「AT限定にしておいて、あとで解除もできるよ」と教官に言われたこともあります(マニュアルはやはり操作が複雑ゆえ、楽にとったら?という意味で)。でもそこは一度決めたことをやり抜きたいので、マニュアル車で頑張りました。

卒検では、母と兄と3人で暮らした家の近所を走り、わたしは一番目だったのですが、二番目の男の子のコースは、母が母子家庭になって何度も一緒に通った武蔵野市役所の前を通りました。「あぁ、母が生きて一緒にいたんだ」と思うと後部座席で泣いてしまいました(笑)。マスクでみんな気づいてないとは思いますが。そのコースにあった五日市街道の街路樹も大きな木が並んでいて、わたしがイギリスの大きな木の街路樹が好きなのは、ここから来ているのかもしれないと思い出しました。

悔しいと感じ、どこかで「わたしもとれればいいのに」と無意識に抱いていた17年越しの想い。ずっとあったグリーフが融解するような、チャレンジでした。

ここまで支えてくださった皆様、応援くださった皆様、見届けてくださった皆様、ありがとうございました。

最後に......せっかく免許をとったので、マニュアル車に乗りたい!という毎日です。もしも、どなたか「マニュアル車、譲るよ〜」とか、お近くで「マニュアルのレンタカーあるよ〜」といった情報あれば、お寄せいただけるとありがたいです。(ホンダ東京中央があるとか耳にしたことがありますが...)

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