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回復の道程

これまで大学院に入って何度となくしんどいと感じることはあった。修士のときには、修士のときのしんどさが。コースワーク(授業)と、論文を書き上げるのを1年でやるということや、はじめての留学で、生活をセットアップするのに、ほんまに苦労した。でも修士のときは、友だち(同級生)がいたのは大きかった。金曜になれば"It's Friday!"と陽気に、アフタヌーンティをしようと誘ってくれて、よくカフェにいっていた友人の存在にどれほどまで支えられたか。(※ちなみにここでいうアフタヌーンティは、3段構えのゴージャスなヤツとかではなくて、普通に午後に500円くらいのお茶するだけでも十分文字通りの"アフタヌーンティ"となる)

博士に入ってからも、仕事との両立がきつすぎて、何度もくじけてきた。そのたびに、色んな人に相談にのってもらったり、最終的にはフルタイムコース(3〜4年が修業年度)からパートタイムコース(6年が修業年度)に切り替えることを英断した。

今回は9月〜11月という法人の年度の切り替わりの時期でもあり、理事会や決算はもちろんのこと、講演・研修・講座も目白押しだった繁忙期を経ての渡英。イギリスにくるぎりぎりまで、めいっぱい人と共に過ごし、働いていた。イギリスに戻ってきてから、いきなり一人になり、誰ともほとんど話すこともなく、ひたすら研究というモードになったとき、私の身体も心もまったくもって言うことを聞いてくれなくなった。

時差ボケはとうに終わっているはずやのに、いくら寝ても眠い。集中力はどこまでもなく、合間合間に入る日本とのオンラインミーティングや仕事の案件にものすごくイライラして、そんな自分に悲しく、悔しく、情けなくなる。

勉強がしたい。研究を進めたい。せっかくイギリスにいる時間をめいっぱい活用したい。

でも思うようにいかない・・・と、2週間近く過ごした。

誰にも打ち明けられないでいたけれど、さすがにこのままではまずいと、リヴオンの仲間に相談をしたところ一緒に「どうしたら、てるみんが元気になれるか」について、7つの現状打開策を考えてくれた。

1)環境を変えて、みんなが勉強している空間、図書館にいって勉強をする

2)ご褒美を設定する、ちょっと贅沢できる何か

3)リヴオンの他の仲間と話してみる

4)買い物でストレス発散

5)やらない、と決めて過ごすことにして、外に出てみる

6)香り アロマ お風呂タイム

7)他の人に相談

このほとんどのことをトライした。特に7が突破口になり、相談した友人にすすめられて、グラフィック・ファシリテーションをつかって現状を見える化、整理し、それをもとに、研究の相談にものってもらった。あまりの罪悪感から連絡をとるのが億劫になっていたスーパーバイザーの先生にも連絡をとることができた。大きな一歩。

そして、ちょっとずつ、フェードインしていくことができた。

研究の中で工夫したのは

「基礎に立ち返ってみよう」

をスローガンに

「わからない単語があったら調べる、用法まで丁寧に」

こういうことをしなくても読み飛ばしたり、類推したりして、スムーズに読みすすめることはあるが、今回は、抽象度の高いものを読まなければいけなかったため、そのやり方がうまく機能せず、ストレスやつまづきに感じやすくなっていた。なので、出てきたわからない単語は片っ端から調べていった。それから

「使いやすそうなフレーズの記録、リスト化」

をいつも以上に行った。今回は2ヶ月も日本で過ごしたあとにイギリスに戻ってきたので、特に英語から離れている時間が長かった。(ほんまは日本でも英語から離れたくないが)そういう中で、今の自分には圧倒的inputが足りないという感覚がある。なので、とにかく、新たな表現を獲得していくことに意欲的になったら研究もすこしやる気になってきた。

そして、やっとスムーズに読めるようになってきた次の段階、研究が楽しくなってくるポイントがあった。

私にとって、今回は「ライフストーリー・インタビュー」について具体的に知ることだった。与えられていた次のスーパービジョンまでの課題が"methodology"(研究方法論)だったため、その中でこれから自分が使おうとしている手法、ライフストーリー・インタビューのことを調べだしたら俄然やる気になってきたのだ。それは、わたしの研究においては、ひとりひとりの親をなくした若者の人生を聞く、聴く、訊くということ。そこから、彼・彼女たちが、死別を経て、一体どんな社会的、経済的な影響を受けたのか見出していく。そのリアリティを感じたときに、自分が研究をしたいという想いの根っことつながったのだろうと思う。

そして幸いなことに12/1 Fromeという、今回滞在しているとても素敵な街でマーケットがあり、友人が来てくれて、ほぼ半日丸々遊んだらすっごく自分の中の力を感じることができて、それまでに比べて、ぐんぐんと?研究を進めることができた。

そして今回わかったのは、 BBCのラジオを聞いていて、極度の疲労状態、燃え尽きが自分にあったということ。exhaustion というキーワードは自分自身を理解するのに助けになった。

念仏のように「セルフケア」といっているし、日々気をつけているけれど、それでも、やっぱり本当に自分自身をケアするというのは難しいこと。

今回の学びはほんまに大きかった。 


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