コンビニ


雪が降っている。
雪の上を歩くと「ギュッギュ」と音がする。
「はぁ」と息を吐くと白くて、まるで凍っているようだ。

道をどんどん進む。歩く場所がない。
今年は雪が多く降るため、歩道も雪も雪で埋まっている。
車通しでもすれ違うのが難しく、とても道が狭くなっていた。
それでも歩く。どんどん進む。目指すは近くのコンビニ。

雪が多く降る地域に住んでいるのに、車を持っていない。
最近まで都会に住み電車で移動していたため、車が必要なかったのだ。
ないものは仕方ない。歩こう。

目的地までは、あと半分くらい。
自転車なら数分でも、歩けば30分くらいかかる。

都会の寒さは風が冷たく感じるが、それとはまた違う。なんというか、雪のツンとした寒さがあるのだ。
毛糸の帽子にマフラー、黒のダウンコート。冬用の黒のブーツを履いているからか、少し汗をかいてきた。

ようやく着いたコンビニに入るため、ダウンコートの雪をはらい、ブーツ通しをぶつけて雪の塊を落とす。

コンビニでは、ホットココアと某少年雑誌を買った。
昨日発売しているのだか、私が住んでいる地域では、発売日の次の日に入荷することになっている。
雪で濡れないように、ビニール袋に入れてリュックにしまう。

滞在時間はほんの数分。
しかし、この雑誌を手に入れた瞬間、もの凄い達成感があった。
まるで冒険の旅に出た勇者か宝箱を発見したかのよう。
大袈裟である。本当は分かっている。いい歳をした大人が、このために雪の中歩いてくるなんて…。

「さて、帰るか」
先程から降り続いている雪が、少し弱くなった。転ぶと行けないので、足元に力を入れて歩く。ポケットに入れたホットココアが、あったかい。
早く続きが読みたいので、少し急足で歩く。
これからが冬本番である。

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