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高野聖と魔界

泉鏡花は妖しげな世界観を戦慄に描くのがうまいです。

その代表作に高野聖があります。
若者が旅先で老師の話を聞くわけですが、読者が説話世界に直接結ばれるように話が進んでいくわけです。

若い僧が山越えをしていたわけですが、街道が遠回りだったため、近道をした結果、道に迷ってしまいました。

そんな場所で迷子になってしまったのですから、色々な妖怪は出るわで、様々なおどろおどろしい目に遭ってしまいました。

さらに進んでいくと、ぽつんと小屋がありまして、そこで美女に迎えられたのです。
そして、美女から誘いを受けるのです。

しかし、こんな場所で、そんな美女がいるわけないはずだと、冷静さを取り戻し疑い始めました。
案の定、その美女は魔女でした。
しかも、馬との情事を目撃してしまい、夜が明けるのを待てずに逃げ出しました。

しかし、夜の山ですから、逃げてもそこは魑魅魍魎の世界です。
恐ろしく、心細かったので、魔女の元に戻ろうかと悩んだりしてしまいます。

こんな風に、高野聖では魔界と現実を行き来していくわけですが、恨みなどではなく、作者自身の生についての怯えが魔界であり魔女の描写となっています。
おそらく作者の先祖霊からの脅かしを受けているために、彷徨う様が見事に描写されているのでしょう。

良い文学作品はそれだけのインスピレーションがありますから、見えない世界とのつながりが深い方も多いです。
一つの小説も見えない世界を意識することで視点が変わってくると思います。
新しい視点から現実を見ると案外問題解決もできたりするものです。
自分や周りを変えたいと思う皆さま一緒に頑張りましょう。


これからも良い記事を書いていきます。