見出し画像

落語「宮戸川」落語Vtuberけぇてんの魅力に迫る

この記事を見て下さって、ありがとうございます!!
Twitch&YouTubeで配信しております
羽栖亭琉宇(ぱすてい るう)でございます!

【羽来亭琉宇のTwitter】


3月1日(金)
22時 落語Vtuberけぇてんの【宮戸川】


この記事は先週にnoteで私の方からも告知をさせて頂きました。
【落語Vtuberけぇてんの魅力に迫る】という内容の記事です。

けぇてんさんは私と同じくYouTubeの方で
落語を配信していらっしゃるVtuberです。

けぇてんさんが宮戸川をやる事になった経緯

2月24日(土)22時より
けぇてんさんと2人会をやらせて頂きました

【前回の記事】

その際に「けぇてん兄さんの宮戸川が聴きたい」
と、僕がお願い致しましてやって頂きました。

その際、僕は前編しかやらなかったのですが、
兄さんは前編後編両方やるという事でやって頂きました。

5分前に出来上がった台本

なのですが、
配信当日、僕が100人記念配信をやっている際ですよ。

けぇてんの兄さんが配信に参りまして

「​​台本終わらないよおおお( ;∀;)」

・・・・正気か・・・・?

(この時点で21時29分である)

台本が終わらない…?当日に??
これは大丈夫なのか、、と正直焦りましたが
心の中で僕は思っておりました。

兄さんは絶対に、終わらせてくれる。

だって兄さんは自分でやるって言った事は
今まで絶対にやってきた人だから、僕は信じてる。
そう思っていました。

・・・・・()
兄さん…っっ!?!?

配信予定は22時からだったのですが24時からとなりました

配信が始まり開口一番に申しましたのが

「台本5分前に終わった」

兄さんーーーーーーーーー?!!?!?!?!??
ちょっとそろそろ心配になってきたぞおいwwww

落語が始まる前に、
「絶対にもうやりたくない…」
「なんで後半やるって決めたの私、やだー;;」
「ファーストテイクに近いんだよな…」

と、ぐちぐちぐちぐち10分ぐらい言う訳ですよ
ですが、次第に兄さんは言うわけですよ。

「今いる同接3人は地獄行きです。」

「ここにいる3人の方は幸運な方だと思う」
「絶対逃げるなよ」

配信越しなのに
頬にぴしゃりと何かが触れる、
一瞬で空気が変わった気がしました。

あれだ、アリ・アスターだ。

ミッドサマーでもボーでもあったんですけど
車に乗っていてカメラが真反対になるシーンがあるのですが

「ここからは境界線」

というカメラワークがある。
こっからはエンタメでありフィクションだと。

だから何が起こっても仕方がないよね…?
という威圧だ。

それを言葉だけで感じました。

脊髄に語り掛けてくる。
見たいけど見たくない。
触れたいけど触れたくない。
好奇心と恐怖。

だがそれが起こるとちゃんと判っていれば、
何が起こっても覚悟ができるというもの。
そして僕は後半何があるかを知っている。
それゆえか比較的、冷静に演目を観る事ができました。

本人も内なるアリ・アスターと会話したみたいですし

前半の宮戸川

前半の宮戸川は半七とお花が家から閉め出され
叔父さんの家に行き1夜を共にするまでが流れ。

柳家喬太郎師匠の宮戸川では父と母とのやりとりがありますが
兄さんは完全にそこを省いて
「ふたりだけ」にスポットを当てています。
前半最後の叔父と叔母のなれそめの会話も完全に省いていて。
二人の物語を演出している。

半七が花にこんなに綺麗な人という所が少し照れくさい
むずがゆい感じにしていたりして
両思いなのかなと思わせるようにしていて
肥後の熊本ではなく網走としているのも面白い

こうした方が面白い今の人には判りやすいと言う
兄さんの改編やくすぐりが
とても上手だと、いつも思っています。

なにより全体的にテンポが速い。
最近の若い方の配信や動画が好む速さを研究している。

雷鳴の二人の一夜のシーンも兄さんはエロ力が強かったですね。
かすれるような悶えるような一縷の声が
体の抗えぬ何かを押しとどめようとしてるようで
静かに語る様もそれを想像させてよかったです。
最後に雷鳴が見えた気さえした。

後半の宮戸川

後半は半七と花が店を持って浅草寺に行ったきり帰ってこず
2年の歳月が経ち3回忌が訪れ
半七が乘った舟でたまたま出会った男、亀という男に
花を男3人で犯して殺し宮戸川に捨てた告白をされる
半七は亀に復讐をした所で目が覚める
全ては夢オチという話である。

僕は喬太郎師匠のを主に聴いていたもので
途中の亀の独白のシーンは
アレンジが強いなぁと思いながら聴いておりました。
ただそのアレンジがまた別の解釈を持たせていて面白いなぁと思った。

臓器で世界を考えた江戸時代

サゲは
小僧が起こしに来て「夢は小僧の使い」と
五臓をかけての地口落ち(ダジャレ)です。
江戸時代は夢は五臓の疲れから出るものだと思われていたそうで。
部位は肝臓・心臓・脾臓(ひぞう)・肺臓・腎臓の5つです。

たとえば「短命」という落語がありますが
3人の旦那が亡くなるのも
江戸時代では精液は腎水と言われ
腎虚=腎臓を悪くしたと考えられていたようで。
(江戸時代の栄養事情とか考えるとそうなのかもしれないですけどね)

そんな3回もやってたら亀らもおっちんじゃいそうですけどね

罪悪感

なぜ半七はこのような夢を見たのだろうかというのを
僕はずっと考えていました。
いやね夢って深層心理って言うじゃないですか
喬太郎師匠の話を聞いても悪い夢でしたーって感じで終わる
こう頭でピタッとしなかったんですよね

兄さんの口から亀が
「旦那が商いに精出して新造ほっぽりだして」
「あんないい女側において抱いてやらねぇで」

って言ってるのを見て。あぁ、と腑に落ちたんですよね。

実際に半七は花にそういう罪悪感があるんじゃないかと

親父に勘当されて小さいながらに店を出して
花を不幸にさせまいと思って汗水流して働いた
でも二人に子供がいる描写はない

江戸の時代は14~16くらいまでに嫁に行くのが理想。
15~17で初産が多い。
でも、ちゃんと責任を取らないと、という
真面目な半七がいたんじゃないかなと僕は思ったんですね。

現代の人でも〇〇するまでは〇〇できないというのが典型ですよね。
この戦いが終わったら結婚するとか(先に結婚しろ
お金を稼いだら遊びに行く、とか
仕事が終わったら彼女に連絡とろう、とか

大体そういうのって遅すぎるんですよね。
年とっちゃったり、彼女がどこかいなくなったりと
そういうの無意識でわかっていての自分への
警告なんじゃないかなと思いました。

落語は何を得るか

落語って何かを得たり勉強出来たり
心に何かを残すものが多いと思うんですね。

楽しさだったり、知識だったり、切なさだったり
それが落語の楽しみだと僕は思っています。

ではこの宮戸川は一体何が得れるだろうと考えた所

「美しく始まった事もほんの些細な事で崩れ落ちる」
「いつかという未来ではなく今を生きる事」

そんな教訓を感じるのです。
もっとも、江戸の時代の方々のが刹那に生きていたとは思いますがね。
今の現代の人も、遠くの未来ではなく
足1歩分の先ぐらいを噛みしめてもいいのではないかと
思いました。

改めて観る兄さんの演技

改めて兄さんの演技はどうだったかというと

狂気と悦と罪せられる恐れの亀の独白が後半の見どころですが。

もうイタコですよね。

そこに兄さんいないんですもん。
落語やる時の人間は全部、自分だと前に言っていたけど。
これは自分というより何かの投影なのかなと。

と、いいますか配信5分前に出来上がった台本…?
恐ろしいですね。

連れのロボさんと聴いていたんですけど
ロボさんは涙ぐんでる訳です。
あの理系が。
映像作品40分も見れないし本も見れない人が。
完全にけぇてんさんにアテられちゃって。
震えてる訳ですよ。
「とんでもない奴に関わっちまった…」って

僕が感じたのは
けぇてんというVの器に喋らせてる何かがいて
たまにちょろちょろ器からはみ出てるのを感じる。
名状しがたき何かがいた。

聴きながら描いてたイメージこれよ↓

ロボさんに見せたら「ひっ…」って後ろに下がったの面白かった。

沢山描いたけどこれが唯一原型とどめてたなぁと

ってぐらいにもうぐるぐるの黒い塊に見えた。

地獄行き。

地獄へ行くという闇の船の上でけぇてんは
煌煌した瞳でゆらゆらぐるぐると闊歩していた。

これから僕はどうするか

まぁやるっきゃないでしょうねぇと笑いまして。
ロボから「つええな・・・」と言われる。

この宮戸川を聴いて僕は
不思議と絶望もなく恐れもなく、満面の笑顔。
あぁ素敵、だと。

前回の三枚起請はね
ほぼほぼ1か月、けぇてんという人間を
色々なゲームしたり一緒に映画を観たりしてきたわけですよ。
一度も落語の配信をしなかった、が、
一滴もそんな匂いせずあんな牙隠してやがった事が
悔しくて悔しくて悔しくて悔しくて
甘っちょろい事したのが恥ずかしくて
やるならあそこで殺すぐらいやらないといけなかった。
魂をかけないといけなかった。

これくらいはしてくれんだろうという
安心感と、表現が難しい感情で燃える。

けぇてんはどの型にも入れる水だとするならば
羽栖亭琉宇は火で燃やし尽くさないといけない。

僕の一番得意なもので僕の持ち味で戦う

と、言うわけで

次回予告

3月9日(土)22時より!

落語配信で「桃太郎」をやらせて頂きます。


それと先ほどのけぇてんの兄さんとタイアップ企画!

深堀して楽しむ落語文化!!ということで
初回は「時そば」の解説をさせて頂きます!!

こちらは3月8日(金)22時より!!

これからもガンガン落語を楽しんで
盛り上げていけたらと思っておりますので
応援頂けたら嬉しいです!!!

もしよろしければ
僕のチャンネルと兄さんの
チャンネル登録&高評価をお願いいたします!

羽栖亭琉宇【YouTube】

落語Vtuberけぇてん【YouTube】

ここまで読んで頂きありがとうございました!!
次回は「桃太郎」の感想記事でお会いしましょう!👍

おすすめの記事


この記事が参加している募集

#振り返りnote

84,703件

フォローしてくれたら喜びます。サポートしてくれたらもっと喜びます!