12/13 夜の散歩

 いや、寒いが。


 近所を散歩するとオリオン座は見える程度の夜空があって、ほとんどの道にはまだLEDに帰られていない白色の街灯が立ち並んでいる。山に近い所に住んでいるのだが集合住宅なども多く人の明かりが目立つ。

 散歩をするときはどこか目的地があって歩いている時よりも注意深く周りの景色を見ているような気がする。和風な門の構え、のびる草花、電線についているブイのようなもの……こうしていると自分がどれだけものの名前を知らずに生きているかが分かる。


 ものの名前なんていつ覚えたのだろう。全てを親や学校で教わった記憶はないし、国語辞典を持ち歩きながら街を練り歩いたこともない。けれど生活していく分には困らない分の名前のセットを僕たちはいつの間にか持っている。あるいは、必要な分だけしか持っていないのかもしれない。知らないものの名前の多さは、それだけ生活がシンプルになっていることの表れとも言えそうだ。それがどういう意味を持つのかについては僕はまだ言葉を持っていない。


 夜に散歩をすると色味が分かりにくくなる分、ものの輪郭が気になりだす。僕はどのように凸凹してこの道に存在しているのだろうか。今日の散歩ではランニングしている女性一人とだけすれ違った。寒い。

延命に使わせていただきます