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白饅頭日誌:5月26日「めんどくささとありがたさのパッケージ」

 先日の記事が大きな反響だったので、これに関連してもう少し話を続けよう。

 店員に「個人を認識(indentify)」されることを極度に嫌う人がいる。人恋しいわけじゃなくてリラックスしたいのだから、自分のことをidentifyしている他人のまなざしがつねにあるような場所でゆっくりしたくはない――と、気持ちはわからないではない。だが「いつもありがとうございます」とか「はじめてのお客様ですよね」程度だ。もう二度と行きたくないと表明するほどに不快感を爆発させなくてもよいだろう。

 先日のマガジンでも述べたことだが、この社会はとにかく「コミュニケーションの不快閾値」が毎日のように下がっている。不適切な接触やふるまいは、公私の別なく厳しく糾弾され、徹底的に排除されようとしている。このまま社会の「コミュニケーション・コスト」を高めていけば、それによって、他人からは不快なかかわりを求められることは減り、一方で人恋しいときには他人と心地よく関われる、そんな社会がやってくる――と、世間の人びとは思っているのかもしれない。だがけっして、そんな都合のよいことにはならない。

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