【詩】炎の色
フィルムの粗い粒子に
焼きつけられた火炎放射器の
夕焼けと同じだいだい色
残酷さと美しさとの間には
いかなる差異も存在しないのだと
教えてくれた色
その驚愕を共有したわれわれの
それぞれの胸の中で
徐々に広がってゆく炎の色の
ほんの僅かな差異
僅かであるがゆえに
埋まらないことに絶望し
無限に深まりゆく溝に
身を投げ続けなければならない残酷
のばせば手に入る快楽に溺れ
己れの魂の炎の色を失えば
そこに残るのはただ 不毛
だいだい色に染まった歩道にのびる
重なることのないふたつの影は
街路樹の下にうち捨てられた
色のない紫陽花のようだ
己れの魂が色褪せぬよう
ほかの炎を遠ざけた残酷な決意を
人は美しいと言うだろうか
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?