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【俳句】蟻3句

赤子抱き蟻の憩へる草陰や

ものぐさの友とみなされ迷ひ蟻

蟷螂を探す靴おと蟻の果


 公園で見つけた蟻の列。白や薄茶の赤子を抱え(正しくは咥えて)、たくさんの蟻が15メートルほど離れた巣へ移動している。クロヤマアリの引っ越しかサムライアリの奴隷狩りのどちらかだろう。巣から出た直後、赤子を抱きながら反対方向へ移動した1匹は、草に隠れて40分ほど動かなかった。あ、これはもしや迷子ではなくてサボっているのではないのか……仕事をしているとカモフラージュするために赤子を連れて出たのではないか……サボり癖のある者の思考回路の犠牲者となった迷子蟻。どうなるか見届けたかったが、一瞬にしてカマキリを探す子ども兵隊たちの足にやられた。彼女の名誉のために言っておくと、最後まで赤子を離すことはなかった。



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