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マーケティングは文脈作りだ、という話

「へっぽこマーケターの日々」第30回(前回は2/27更新)。

近ごろ、コルクではマーケティングの一環として、「作品に触れる文脈作り」についての議論が活発になってきている。ざっくり言えば、作品の価値と、世の中の興味関心をマッチングさせる機会を作ること。

たとえば、1/6の仕事はじめの日に、フォロワーへのエールをツイートしたときは、『宇宙兄弟』の困難な仕事にも前向きに取り組む主人公・ムッタを絡め、爆発的な拡がりを生んだ。このツイートも「作品に触れる文脈作り」だったのだ。

作品の価値とのマッチングが重要なのは、企業としての信念

バズりたいだけなら、時事性のあるテーマにどんどん絡んでいけばいい。しかし、「作品の価値」とのマッチングを考えると、絡み方にかなり工夫が必要となる。

これはコルクの経営戦略よりも上位概念である、経営理念とビジョンに起因する。

そもそもコルクは、「物語の力で、一人一人の世界を変える」というミッション(≒経営理念。経営に対する普遍的な信念や価値観)を持っている。

そんな経営理念を支えるものとして存在する、コルクのビジョン(企業としてのあるべき姿として維持する姿勢)は、

Create…時代性のある、本質的な物語を生み出し続ける
Connect…ファンとクリエイターが直接繋がる社会をつくる
Realize…物語に宿っている、世の中を変える力を顕在化する

の3つとされている。

普段、同僚との議論では、「一人一人の世界を変える」とは、「物語によって、行動や考え、ひいては人生が変わる」ことだと自分は解釈している。

さらにその議論を通じて、出会い方が重要なのではないか、という方向性が見えてきた。これは、物語に接する機会が多いコルクのメンバーならではの(※)、帰納的な考え方だろう。

※コルクには週に2回映画館に映画を観に行ったり、年間1000冊マンガを読んだりするなど、各々でコンテンツに浸る生活を送っている。

そもそも情報爆発化社会である現代では、身近な人の話に消費を左右されるという。コンテンツも同じで、SNSで話題になった作品に実際に触れた経験は、SNSをやっていれば少なくないだろう。

つまり、「誰かに語りたくなる体験」を起こすには、「心に引っかかる出会い(文脈)」が必要なのだろう。

体験を語ってもらうことがマーケティングになる

※マーケティングとは、売れるまでのプロセス全般のこと

しかし、そう考えているのは我々だけではない

近ごろ話題になったフレームワーク「DRESS」の「STORY(物語化)」というステップや、ナラティブ、UGCなども、みな「生活者が体験について語る」ことを重視している。

つまり「語りたくなるような体験」いう切り口がマーケティングにおいて存在感を増しているということだ。

“世界”が変わる体験をおすそわけしたい

コルクという会社に集まった我々は、つまるところ「マンガ/小説/映画などのコンテンツによって人生が変わった、影響を受けた」人間の集まりだ。

たとえばわたしはつらいとき、物語に逃げ込み、匿ってもらっていた。と同時に、物語の中に身を潜めつつも、また現実で生きるための術をマンガから得ていた。もちろん、なんのけなしにライトに楽しんだ作品もあるが、助けられたことが多々ある。

そんな、それぞれが物語との関わりを持ってきたのがコルクのメンバーだ。もちろん、ヤマシタトモコの『違国日記』に出てくる弁護士のように、物語を必要としない人もいるだろう(何が言いたいかというと、あくまでわたしたちは物語を偶然必要とした側に過ぎない。優劣の話ではないのだ)。

実際に、今日も社内の何人かで「自分の人生を変えた作品」という切り口で自分の話をしてもらったが、聴いた側がその作品にとても興味が沸くようなエピソードばかりだった。

「一人一人の世界を変える」ということを一人でも多くの人におすそわけする。これがコルクのマーケティングのベースになったらいいと思う。

経営戦略の理解が求められる立場=マーケターとして、これはよいアプローチだと思う。社内での対話も徐々に進んでおり、今後この話が社内でどんどん身近になるようにしたい。

また、自分たちがどう物語によって世界が変わったのか、これもどこかで社外の人に知ってもらう機会が作れたらなと思う。

物語で、世界はきっと変わるのだ。

参考

[新版]グロービスMBA経営戦略

わたしをサポートしたつもりになって、自分を甘やかしてください。