見出し画像

マーケター思考vsデザイナー思考|日経クロストレンドEXPO 2019

レポートを読もうとしてくださる方に

●このメモはなんなのか?
表題のセミナーの聴講メモです。

第一線で活躍するマーケター・音部さんと、UXデザイナー・田川さんが、「その場で出されたお題」について、その場で考え即興でプレゼンするというもの。

わたしのマーケ分野の習熟度や練度の不足から、ただの発言メモにしかなってないところが多分にあります。すみません!

他にも聞き間違い、聞き漏らし、たくさんありますが...(何より発表内容のホワイトボードの撮影禁止がキツかった...)

誰かの参考になれば幸いです。わたし自身、数カ月後にもっとマーケに詳しくなってメモを読み返すぞ!!!!

このセミナーを通しての学び

・2人のアプローチの違い
 ー マーケター・音部さんは目標をまずブレークダウン(目標思考)
 ー デザイナー・田川さんは人の心にフォーカス(人間思考)
 ー音部さんは構造化と価値の定義という手法が軸。対して田川さんはユーザーの経験の設計が軸。両方の強みを意識したい

・細かい手法論ではなく、ブランドや商品について考えぬくことが重要!

▼所感
・マーケとデザインそれぞれのアプローチを身につけると人材として価値が上がる
・トラノコ使ってみたい。

詳しい内容は下記を参照されたし。

その前に...ごめんなさい

なお、前述のとおり、会場ルール(撮影禁止)に基づき、背景資料以外の発表スライドのデータはありません。

そんなルール気づかずにパシャパシャ撮影してメモはロクにとらない輩はいましたけど...うらめしや〜〜〜!

そして会場でガガッとかきあげたメモをちょっと加筆修正してるだけなので、読みにくくてすみません!なんせ鮮度が大事だと思い...

セミナー内容メモ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
2019.10.09.
日経クロストレンドEXPO 2019
セミナー:マーケティングの鉄人「マーケター思考 vs デザイナー思考」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

●概要:

実際の企業の課題を「その場」出題し、2人それぞれが解決していく。

・マーケター代表:クー・マーケティング・カンパニー・音部さん
・デザイナー代表:Takram・田川さん
・パネラー:プリファード・ネットワークス・富永さん

●ねらい

マーケターとデザイナーでアプローチの違いを知る

●本日のお題:分散投資アプリ「トラノコ」ユーザーを5年後に1000万人にするには?

◯補足:「トラノコ」って?
・「おつりとポイントでコツコツ資産形成5円から無理なく簡単に分散投資」https://toranoko.com
・2017年にスタート
・5円〜1円単位で投資ができるアプリ
・提携ポイントサービスを投資の資金にもできる
・元クックパッドの人が作ったそう
・トラノコが生まれた背景:20〜40代の70%以上が投資未経験
 ー マイナス金利だから貯金しても全然得しない
 ー 日本のタンス貯金は50兆円といわれている

まずはファシリテーターの富永さんの進行の下、トラノコさんにおふたりが質問したり、会場の聴講者に質問する時間がありました(以下)

●トラノコさんへの質問コーナー

Q. 田川さん:ユーザーは何経由での獲得が多いですか?(上位3位)
 ー A. マスマーケティングはしてない
    ー webマーケ(FB > Tw > アフィリエイト > バナー広告)

Q. 音部さん:「満足度90%」というのは何を指してますか?
 ー A. アンケートによって算出したもの。
    ー よくあるコメント:「投資をはじめられた」「コツコツ続けられた」
    ー ユーザーのターンオーバーはかなり少ない(公表してない)

Q. 音部さん:どれくらいのユーザーがデイリーでアクティブですか?
 ー A. ユーザーの半分ほどがウィークリーでアクティブ

Q. 田川さん:どこがプロコンですか?
 ー A. プロは投資額。いわゆる積立って月額定額制とかが大半だった。初期投資も5円からでOK!トラノコはユーザーが金額を決められる
 ー 田川さん:コンズはどこですか?
  ー A. 未経験層。アタックしたい

Q. 音部さん:どれくらい投資しているんですか?どれくらい儲かる?
 ー A. 5000〜6000円くらい。メインのクレカや電子マネーの端数を投資にまわしている。平均だと年間6万円くらい

 ー A. 投資は自己責任なのでもうけという言い方はできない。年率5%で毎月1万円貯めれば20歳の人は65歳の頃には複利を併せて2000万円くらいいくと思う(5%のままなら)

●トラノコ以外のサービスのユーザー@会場に質問

Q. 田川さん:不満とかないですか?
 ー A. 期待値は数%つけばいいと思っていた。今は損してる。初期投資10万円が痛い。

 ー A. 長期積立をしてるが、なんで損してるのかわからない。

●投資未経験者@会場に質問

Q. 音部さん:トラノコ使ってみたいと思った人は、実家のおかあさんにこのサービスをなんて説明しますか?
 ー A. スマホに詳しくない母に。少額からはじめてみたら?というかも
 ー A. うちも親はスマホに詳しくない。LINEがやっと。友達に紹介するなら、投資はハードルが高いと思うけど5円から簡単にできるよ〜、かな?
 ー A. (友達に)自分もやったことないけど、一緒にやってみようよ、かな?

ここからいよいよシンキングタイム!
音部さん、田川さんそれぞれで、トラノコさんを相手に壁打ちをしながらアイデアを詰めていきます。壇上脇にあるブースにカメラが設置されており、各自が議論をすすめる用のホワイトボードをスクリーンで観覧しました。それを観ながら富永さんが解説していくスタイルで進行していきます。

●お題について考えるタイム

◯富永さんからコメント
・ふつうは競合調査からはじめるんですけど今回は違います。
 ー ふつうは競合の商品に使ってるお金を自社の商品に使ってもらおうという発想になる。
   → だけど今回は使ってもらうのがまず難しい。ただ競合に対抗するだけではだめなのが、今回のお題の特徴。

残念ながら撮影禁止でデータはありませんが、おふたりの完成ホワイトボードから一部抜粋したメモを下記にまとめました。
なお、「解説:」は別室で作業してる音部さん&田川さんに代わって、富永さんがホワイトボードの映像を見ながら解説してる部分です。

◯音部さんの思考の過程(ホワイトボードをベースに解説)・2025年までに1000万ユーザーという前提に基づき...

 ー 現在から将来へのユーザー数推移イメージをまず図示した

・「誰かに話す」ことの確率に注目
 ー 会場での挙手アンケートとインタビューの結果を踏まえ、行動する壁を超えるのには、「誰かに話す」というのを感じたのではないか

・人と人との間に入り込みたい
 ー アプローチ①:「関係をよくする」
   ー 家族と加入してみんなで楽しむ、友達と〜
 ー アプローチ②:ゲーム的なコンペティションを喚起する

 ー 解説:上記を踏まえて関係性を変えるためのベネフィットなどを議論しているのではないか?

・まとめ作業に入ったっぽい
 ー 解説:ブランドバリュープロポジションを設定してる
  ー 対象、ベネフィット、目的

 ー 解説:サービスの「人格」
  ー サービスのトンマナの策定に用いている

・「比較のしくみ」
 ー 解説:「比較するときの決め手となるものは何か」を「人と人の間」というスキームでアプローチしようとしてるのでは?

・「5円から投資できる」「ちゃんとした私になれる」
 ー 解説:ベネフィットの言語化ですね

◯田川さんの思考のプロセス
・「投資したくない」から「投資してみたい」に変えようとしても、投資対効果が低そう!

 ー 通過ポイントを2つの間に増やす!
 ー 投資したくない→投資してみたいを図示した
   ー お客さんの心理的状態を表してる

・ターゲットユーザーにフォーカスした
 ー 1000万人という大ボリュームなので、ガバっと獲得しないといけない。1歳児すら対象にした。
  ー 解説:現状のコアユーザー以外へのアプローチ)

・「IFTTT」的なサービスを発想
 ー 「●●するとXXする」みたいなサービスのこと
  ー 投資の手段が「おつり」って弱いんじゃないかな
  ー 1000万人が投資をするには、「おつり」っていうトリガーをもっと汎用的なものにメタ化するとおもろいのでは?
   ー 解説:投資する前段階をメタ化して、そこを訴求ポイントにしようとしてるのでは?
   ー 解説:「●●すると〜」というのはデジタルが得意なやり方。

・まとめ作業にはいったっぽい
 ー 「エヴァンジェリスト × インセンティブ( × シミュレーター)」
  ー 会場インタビューの「隣の人を巻き込むには?」が参考になった
  ー フルサービスとシミュレーションモードを提供するアイデア
   ー 「シミュレーター」は20年後までをシミュレーションすること

  ー 解説:音部さんがやってることを別の観点からやっている
  ー インセンティブはエヴァンジェリストがトラノコを使わない壁を壊すアイデア
  ー 「何をしたらユーザーの心が動くか」にアプローチしてる

※2人のちがい(富永さん解説)
▼まず何からとりくむか
・音部さんは目標をまずブレークダウン(目標思考)
・田川さんは人の心にフォーカス(人間思考)

そんなこんなで、14:00にて作戦タイム終了(30分くらいでした)
いよいよ短時間で練ったアイデアを発表する時間!まずは音部さんのプレゼンです。特に断りがない限り音部さんの発言を意訳したものとなっています。

●プレゼン:音部さんの企画

・マーケティング
 ー 「まず誰向けか?」
   ー ここでは年齢はどーでもいい。「どんな1000万人」なのかのほうが大事。

・成長カーブを描いてみた(ホワイトボード)
 ー 等比級数で曲線を描いた
 ー 2025年:1000万人←2024:500万人←...
  ー 倍ずつ増えればいい計算
   = 「友達を1人連れてきてくれればいい」
 ー 最も重要なのは、「どうやったらこのユーザーはこのトラノコを友人や家族に話したくなるか?」
   ー リレーションシップマネジメントみたいなもの
    ー ブランドと消費者の間をこれで考えるのはイケてない
      ー ブランドと個人的な関係を築きたくたい消費者はあんまりいない
   ー このサービスを解することで人間関係に介入することを考えた方が良い

・具体的なスキーム
 ー 一緒にやる
   ー 紹介者とされたひとの共通の目標設定をする機能とそれを達成度合いをトラッキングする機能

 ー 「コンペティション」という発想もよい
   ー 友達と競い合う

・上記のスキームを基にどういうブランドをつくればいいのか?
 ー 「ホロタイプ」をつくった
   ー 目的「投資を民主化する」
   ー ターゲット「投資未経験者」
   ー ベネフィット「自分でジアム管理できているちゃんとした大人」「家族と具体的な目的共有・達成できた!」
    ー 「儲かる」にはしてない!

   ー そのためには機能「少額からできる/目標設定/ライバルとの比較のしくみ」をつくればよい

   ー サービスのトンマナ(ブランドに人格を付与する)
    ー 人格「やさしくてハードル低くてうながしを手伝う保育園の先生」
     →よって罰則を厳しく与えるようなことはやらないサービスになるだろう

続いては田川さんのプレゼンです。特に断りがない限り田川さんの発言を意訳したものとなっています。

●プレゼン:田川さんの企画

田川さん「自分はプロダクトからつくるアプローチ」

①ターゲットユーザーを増やす
 ー ペルソナどこにおこうかな
   ー 小学3年生くらいにおくと、サービスの言葉遣いも易しくなるかな

②目的・手段
 ー トリガーの多様化による「息するように投資する」
  ー 手段はおつりってむずかしいんじゃない?という肌感があるので
  ー 「●●すると投資が起こる」というトリガーを設定
   ー トリガーをさまざまんしたいのでマイクロサービス化しとこう!
    ー ファネルとなるサービスを作ってく
     ー 例:寝坊すると1000円みたいなサービスをつくって、それをいろんなユーザーがつくる

③UX上のボトルネック
 ー 投資してない人をする人にするの、マジでハイカロリーだと思う
  ー マイナンバーとか書類のやりとりがマジで大変
   ー これが友達を誘うことの大きな壁になると思った

  ー してないひと→するひとへの通過点を増やそう

  ー シミュレーションサービス化
    ー ダミーデータで投資を学ぶようなサービスにして、そのユーザーにマーケティングしていくといいのでは ー キャッシュレス化によって「おつり」という概念がなくなるリスク
  ー 概念として寿命があるので、もっとライトなものに。

●会場から質問タイム

Q. ふたりのようにその場で考えてプレゼンってどうやったらできるようになりますか?
 ー A. 田川さん:この1ヶ月の中で一番がんばった。フルパワーでやった。
 ー A. 音部さん:この30分で体重減った気がする。でもふたりともフレームワークを持ってるので、とりにいく情報を絞ってる。
   ー 仮説を取捨選択して、それにあった質問をしていた
   ー 富永さんからの補足:「フレームワークを持て」って話ではない。2人とも若い頃から「デザインとは/マーケとは何か」を考え抜いた結果、フレームワークを持ったということ。

(会場内にドッと笑いが起きたが、わたしも質問者と同じ気持ち...)

●トラノコさんからコメント

Q. 立場のちがうお二人がお互いについてどう思ったか知りたい
 ー A. 田川さん:音部さんの作戦に乗っかってプロダクト作りたいと思った。
   ー 自分の弱みとして「ユーザーをどういう目的からどのくらい囲い込むか」みたいな発想は弱いので。

 ー A. 音部さん:それぞれの得意な領域を活かしたい。どこで何を使うのか?という全体像を持つのは大事。

・トラノコは金融機関だが、ふつうは「口座数」で話をするところを「ユーザー」として捉えているので、お二人が「ユーザー」と言ってるのがうれしい

●ファシリテーター・富永さんの総括

・マーケターとデザイナーの思考の比較をしてみて
 ー 音部さんは構造化と価値の定義という手法が軸。対して田川さんはユーザーの経験の設計が軸。
  ー この違いよりも、同質性に注目したい
   ー お互いの強みを使ってサービスを考えていた部分

・気楽に見えたけど、すごいパワーがいるイベントだと思う。
 ー これで3回目。
 ー 1回目がかっこよすぎて、2回目に自分もやってみたけど、ほんとに大変だった。

(いやほんとに練度がすごかったです...)

このあとおふたりのちょっとした歓談でセミナーは終了。お三方・トラノコさんありがとうございました!

読みにくいメモですみません!聴講された方のふりかえりのお役に立てたら幸いです。

『日経クロストレンドEXPO 2019』あと2日間、参加してきます!

わたしをサポートしたつもりになって、自分を甘やかしてください。