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へっぽこマーケターがぶつかっている分析の壁の話

「へっぽこマーケターの日々」第20回(前回は2/8更新)。

今回は、分析担当一年生の自分が分析実務でぶつかっている、

・役に立たない分析結果ができあがる
・最終的には必要のない分析までやってしまう
・分析に無駄が多く、納期までに十分なアウトプットが揃わない

という壁について、『データサイエンティストの秘密ノート 35の失敗事例と克服法』(高橋威知郎、白石卓也、清水景絵)という、2016年に刊行された事例集に依拠しながら考えようと思う。

本書の内容はタイトルの通りだが、これがすごくわかりやすくまとまっている。データ分析歴3年以下の社会人が対象となっており、全編にわたり共感と反省を感じざるを得ない構成だ。

分析の現場仕事のベストプラクティスがわからない

肌感覚で必要だと思って施す工夫も、時と場合によって抜け漏れることが多々ある。実際、なんで前回はうまくいったのに今回はそうでもなかったのだろうということが起きていて悩ましい。

そこで、より安定したパフォーマンスを出すために、分析実務についてより体系的な知見に触れることにした。パフォーマンスが上がれば生産性は向上するし、何より浮いた時間をチャレンジングなことに回せることが個人的なモチベーションだ。

そこで参考にしたのが、冒頭で挙げた『データサイエンティストの秘密ノート 35の失敗事例と克服法』(高橋威知郎、白石卓也、清水景絵)だ。この本を参考に、個人的にいつも困っている分析前の準備フェーズについて改善点や注意点を言語化することにした。

ポイントは、分析前のヒアリングだ。

webサイトをつくるときの要件定義のようなものだ。これもかなりなんとなくやっていたところだったので、はっきり言語化されているのはすごくありがたい。

分析前のヒアリングの勘所

分析目的を共有するためのヒアリング項目は以下の通り。

①分析によって行いたい「意思決定(から導くアクション)」
②データ分析で出力する「分析結果」
③分析結果とアクションの繋がり
(『データサイエンティストの秘密ノート 35の失敗事例と克服法』より引用)

これらは分析の後に実行するアクション=施策の"目的"を明確にしてくれる重要なものとなる。

当たり前をやらずに起きるあるある

きっと、①〜③を見て当たり前じゃないか、と多くの人が言うだろう。

しかし当たり前のことを、自分も含めた多くの人が必ずしもやれていないために往々にしてこんなことが起きているのではないだろうか。

▼①〜③をおざなりにして起こる事態
・役に立たない分析結果ができあがる
・最終的には必要のない分析までやってしまう
・分析に無駄が多く、納期までに十分なアウトプットが揃わない

これは、このnoteの冒頭で触れた通り、今まさに自分がぶつかってる壁でもある。

上記がなぜ起こるかにフォーカスして、依頼者=現場の担当者と分析担当の双方でどんなことに注意すべきか、下記に自分なりの解釈も交えてまとめてみた。

①分析によって行いたい「意思決定(から導くアクション)」
これを予め握っていないと、「SNSの投稿を増すべきか否か」など、分析によって判断したいことが不明確なまま進めることになる。

こうなると分析担当からは、各KPIの相関関係だけが上がってくることになる。このままでは、現場の担当者は何をどれくらい行えばいいのかわからないだろう。

また、そもそもアクションの提案も込みならば、その旨をこの段階で分析担当に伝えるべき、ということでもあるだろう。

②データ分析で出力する「分析結果」
これはつまり、アクションの根拠となる数値が揃うことを意味する。たとえば「チラシを増やすべきか/否か」というアクションを決めるための「チラシの最適な枚数」などがそれにあたる。

これは見方を変えれば、そもそもどんな課題を解決したいかがわかっていることが前提だろう。課題はないけどとりあえず何か分析してほしい、というオーダーでは依頼者と分析担当の間で、そもそも課題の認識にズレが出ても不思議ではない。

個人的にはここがまだ手詰まりしやすい。そもそも課題がふんわりしていることに気づけないことがあるのだ。

とは言え、そもそもお互いの立場や背景知識の違いがさまざまなズレを起こすことは既に多くの人が知っているだろう。ゆえに課題の言語化は、言葉の定義の確認なども含めて丁寧に行う必要があるのではないか。

分析担当である自分の思い込みでなんとなくいろいろ分析をしては、ふんわりした結果しか提供できないのだ。

③分析結果とアクションの繋がり
これが不明確だと、とにかく分析作業が無尽蔵に増えてしまう。多くの時間を割いてさまざまな相関などを出した挙げ句、終わってみれば不要とわかる分析ばかりだったという訳だ。

これを起こさないためにも気をつけたいのは、①と②を明確にした上で、やること/やらないことを言語化・共有することだ。分析プロジェクトの最初から最後まで何度も①と②を確認し合うことは、本書でも推奨されている。

***

②で触れた課題設定に関しては、コルクのような人数が少ない会社においては、明確な課題を言語化するところも分析担当者がサポートする領域になるだろう。

ここもこれまでの経験則を基にやっていたので、KPIツリーなどで抜け漏れなく検討ができるようにしたい。

ヒアリングの必要性はデザイナー・ディレクター時代で肌身に染み付いていたが、やはり雰囲気でやっているところも多くあることがわかった。今後は先人たちの経験に基づいたベストプラクティスを積極的に実践していきたい。

実際にやってみた際の感想やふりかえりは、また少し後で書くつもりだ。

わたしをサポートしたつもりになって、自分を甘やかしてください。