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#574 ほめ方を変える?

人間には「自己一貫性の欲求」と「自己高揚の欲求」がある。

それぞれ説明しよう。

自己一貫性の欲求とは、「このままの自分でいたい」「変わりたくない」という欲求である。

自尊感情の高い人は、ほめられることで、「自尊感情の高い自分」を維持できる。

自尊感情の低い人は、けなされることで、「自尊感情の低い自分」を維持できる。

次に、自己高揚の欲求とは、「自分を高めたい」「よりよくなりたい」という欲求である。

自尊感情の高い人は、ほめられることで、「もっとよくなりたい」と好意的に感じる。

自尊感情の低い人も、ほめられることで、「もっとよくなりたい」と好意的に感じる。

ここで矛盾が生じる。

お分かりだろうか?

自尊感情の高い人は、ほめられることで、自己一貫性と自己高揚の欲求をどちらも満たすことができる。

つまり、自尊感情の高い人に対しては、「とにかくほめればいい」ということになる。

一方、自尊感情の低い人は、ほめられると、自己高揚の欲求は満たされるが、自己一貫性は満たられない。

なぜなら、「ほめられる自分」は「自尊感情の低い自分」と合わないからである。

ここで矛盾が生じてしまうのだ。

では、自尊感情の低い子どもには、どうすればいいのか?

それは、本人の自尊感情の外にある要素に注目し、ほめればいいのである。

本人は「自分はこの要素の自尊感情が低い」と思っている。

その要素を見抜き、それ以外の要素でほめるのだ。

例えば「自分は足が遅い人間である」で思っている子どもに、「足はやいね」と伝えても、自己一貫性の欲求と矛盾してしまうので効果はない。

しかし、そのような子どもに、「やる気があっていいね」と「足のはやさ」以外の要素でほめることで、自己高揚の欲求を満たすことができるのだ。

このようにほめる対象によって、そのほめ方を変えることが大切である。

そのためには、その子どもが「高い自尊感情をもっているか」を把握し、低い場合には「どんな要素の自尊感情が低いのか」を理解することが求められる。

とても高度なテクニックであるが、ぜひ活用できるようにしたい。

では。

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