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#1473 授業とテストの前・中・後のメタ認知

今回は、前回に引き続き「メタ認知」についての記事を書いていく。

「メタ認知」については、これまでたくさんの記事で述べてきた。

以下の通りだ。

#309 メタ認知|眼鏡先生 (note.com)

#796 メタ認知を促す|眼鏡先生 (note.com)

#825 単元途中のメタ認知的形成的評価を促す振り返り|眼鏡先生 (note.com)

#835 教師のオフラインメタ認知とオンラインメタ認知|眼鏡先生 (note.com)

#919 メタ認知的活動と自己調整学習|眼鏡先生 (note.com)


今回は、授業における前・中・後のメタ認知、そしてテストにおける前・中・後のメタ認知についてまとめいきたい。

1 授業前のメタ認知

授業前には、「メタ認知モニタリング」として、学習課題の困難度の評価をしたり、課題達成可能性の予想をしたりしていく。

そして、「メタ認知コントロール」として、目標を設定したり、計画を立てたり、方略選択をしたりしていく。

そのためには、「前の授業の振り返り」が肝となる。

前の学習の反省が、今回の学習前のメタ認知に反映されるのである。

このような「授業前のメタ認知」を、自己調整学習における「予見」として機能させることが重要となる。

なので、いきなり授業に入ることは望ましくない。

さらに、上記のような情報を含め、必要な「メタ認知的知識」を指導しておくことも必要となる。

2 授業中のメタ認知

授業中には、「メタ認知モニタリング」として、課題の困難度の再評価をしたり、課題遂行や方略の点検をしたり、予想と実際のズレの感知をしたり、理解度の点検をしたりする。

そして、「メタ認知コントロール」として、目標を修正したり、計画を修正したり、方略を変更したりしていく。

「理解度」が微妙であれば、そのままにしておかず、何らかのアプローチをする必要が出てくる。

「先生がなんとかしてくれる」と思ってはいけない。

「このままではまずい」と思ったら、自己コントロールをし、理解できるように行動していかなければならない。

ここに「学びの責任の自覚化」の要素がある。

教師だけが責任を負うのではなく、学習者である子ども自身も責任を負うのである。

このことは前回の記事で書いたとおりだ。

#1472 メタ認知を促すことで、子どもにも責任をもたせる|眼鏡先生 (note.com)

さらに、上記のような情報を含め、学習に有効な「メタ認知的知識」を指導しておくことも必要となる。

3 授業後のメタ認知

授業後には、「メタ認知モニタリング」として、課題達成度の評価をしたり、成功や失敗の原因判断をしたり、理解度の評価をしたりする。

そして、「メタ認知コントロール」として、目標の再設定をしたり、再計画をしたり、方略の再選択をしたりする。

この授業後のメタ認知が、次の学習に生かされるわけである。

さらに、上記のような情報を含め、必要な「メタ認知的知識」を指導しておくことも必要となる。

4 テスト前のメタ認知

次に、単元末に行われる「テスト」についてのメタ認知である。

テストの前には、「メタ認知モニタリング」として、テストの困難度の予想をしたり、テストの課題達成可能性の予想をしたり、自己の理解度や弱点の把握をしたりしていく。

そして、「メタ認知コントロール」として、家庭学習の目標を設定したり、家庭学習の計画を立てたり、家庭学習の方略選択をしたりしていく。

テストに向けての家庭学習の在り方を予見していくわけである。

「ここは自分の弱点だから復習をしっかりしよう」
「ここは理解できているから、他の部分の復習に時間をかけよう」
など、自分が復習すべきところを把握し、家庭学習の計画に反映させていくのである。

これもまた、上記のような情報を含め、必要な「メタ認知的知識」を指導しておくことも必要となる。

5 テスト中のメタ認知

テスト中は、「メタ認知モニタリング」として、テストの困難度の再評価をしたり、テストの課題遂行や方略の点検をしたり、予想と実際のズレの感知をしたり、時間配分の点検をしたりする。

そして、「メタ認知コントロール」として、ペースや時間配分の修正をしたり、方略を変更したり、必要な既習事項の想起をしたりしていく。

さらに、上記のような情報を含め、テスト中に活用すると有効な「メタ認知的知識」を事前に指導しておくことも必要となる。

6 テスト後のメタ認知

テストの後(返却後)には、「メタ認知モニタリング」として、テストの課題達成度の評価をしたり、成功や失敗の原因判断をしたり、理解度の再評価をしたりする。

そして、「メタ認知コントロール」として、次の単元の学習や家庭学習についての目標の再設定をしたり、再計画をしたり、方略の再選択をしたりする。

テストの成否により、子ども本人がメタ認知を機能させなければならないのだ。

テスト結果を分析し、正解できたところはその成功の理由を見つけ、次回にも生かす。

不正解だったところはその失敗の原因を見つけ、改善できるようにする。

このような省察が、次回以降の単元の学習や家庭学習の在り方に反映されるわけである。

さらに、上記のような情報を含め、必要な「メタ認知的知識」を指導しておくことも必要となる。


以上、「授業とテストの前・中・後のメタ認知」について整理した。

これからの時代の教育では、「学習者中心の学び」が重要となる。

学びのコントロール権が子どもに返される。

そのような時代では、「教師の指導性」と「子ども自身によるメタ認知」が子どもの学びの質を左右し、責任にも影響する。

なぜなら、将来、学びの舵取りをしていくのは「子ども本人」だからである。

その本人が、自己の学習を調整していくことが求められるからである。

そのためには、学習前・学習中・学習後に「メタ認知モニタリング」と「メタ認知コントロール」を機能させ、「メタ認知的知識」を身に付けていかなければならない。

そして、それを指導できるのは、教師だけなのである。

ぜひとも、上記の「メタ認知」の指導を継続的に行っていきたい。

では。

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