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#1430 算数の計算で間違いをする子どもたち【算数科】

算数の計算の単元で、ペーパーテストを行った。

ペーパーテストは、子どもの学力の一側面しか測ることができない。

しかし、ペーパーテストぐらいの基礎的な問題も解けないようでは、問題解決はできないし、資質・能力の育成にもつながらない。

思考力・判断力・表現力などのコンピテンシーを育成することは重要だが、最低限、ペーパーテストぐらいの知識・技能も習得させなければならないのである。

それにもかかわらず、算数の計算単元におけるペーパーテストの出来が悪かった。

今日は、その原因を分析していきたい。

1 速くたくさん解くことを重視させすぎた

計算の単元において、いかに速く、いかに多くの問題を解けるかを重視させすぎてしまった。

算数のような問題解決では、スピードも大切かもしれないが、何よりも「正解を導くこと」が重要となる。

筆算のアルゴリズムを覚え、その流れに沿って、丁寧に計算をすることが求められる。

その際、ノートに下敷きを敷いたり、線を引く際に定規を使ったりさせる。

このように、丁寧に確実に計算をさせることが重要なのだ。

いかに速く、いかに多くの問題を解けるかよりも、「筆算のアルゴリズム」「計算のきまり」などの概念を獲得することが必要だ。

そのような汎用的な概念を獲得できれば、枝葉の具体的な問題をどんどん解いていくことができる。

逆を言えば、汎用的な概念を獲得できていないにもかかわらず、練習問題をどんどん解かせても無意味なのである。

繰り返し問題を解き「計算を身体で覚える」ということも大切だが、必要なことは「概念理解」である。

それが応用可能性を高めてくれるのだ。

2 答えを導いた後に「振り返る習慣」をつけさせることができなかった

算数の学習は、「計算をして、ただ答えを導くこと」が全てではない。

算数の学習は、生活場面の問題解決に役立てることが重要となる。

つまり、「生活場面→算数の世界→生活場面」という流れが必要となる。

文章問題がその典型だ。

したがって、自分の出した算数的な答えは、生活場面的に見て「常識的かどうか」を振り返る必要があるわけだ。

わり算における「あまり」がとんでもない数字なのに、それに違和感を感じないようではダメなのだ。

「生活場面的に考えて、こんなにあまるのはおかしい!」という感覚が大切なのである。

よって、自分の出した算数的な答えを、生活場面的に考えて適切かどうかを振り返る習慣を身に付けさせることが求められる。

また、文章問題だけではなく、筆算の問題でも「検算」をすることが重要となる。

「自分の出した答えはこれで正しいのか」を確かめるため、検算をするのである。

このように、「自分の答えが正しいかどうか」を検算により振り返る習慣を身に付けることも必要となる。

3 家庭学習を「作業型」にさせてしまった

宿題いわゆる家庭学習において、大量の計算問題を解くプリントを出していた。

このような量が多い宿題を出してしまうと、子どもはそれを作業化してしまう。

なぜなら、「問題が多くて面倒なので速く終わらせたい」と思ってしまうからだ。

このような宿題を受け取った子どもは、考えずに作業のように問題を解くようになる。

ひどい場合には、答えを写すようになる。

そして自己採点しても、間違いを訂正しないこともあり得る。

これでは、単なる「時間の無駄」である。

このような家庭学習をしている子どもたちが、ペーパーテストで点数をとれるわけがないのだ。

そこで必要になるのが、「計画」「テスト」「分析」「練習」というサイクルを回す「けテぶれ」である。

このような「考える」「意味のある」家庭学習を重視する必要があるのだ。

4 ペーパーテストを見越した単元のデザインができなかった

算数の教科書どおりの単元デザインでは、ペーパーテストの問題に対応できない。

それは、ペーパーテストに「教科書にない問題」が出るからである。

子どもたちは、授業で学んでいない問題を簡単に解くことができないのである。

それは、「知識の領域固有性」に関係している。

知識をそう簡単に転移・応用・活用することはできないのだ。

このような「授業とテストの乖離現象」は、「教科書会社」や「テスト会社」が悪いわけではない。

それを把握できなかった教師の責任である。

よって、教師は単元に入る前に、ペーパーテストの問題を一通り確認し、教科書で扱わない問題を見越して、単元デザインをすることが必要なのだ。

このように、出口である「パフォーマンス課題」とともに「ペーパーテスト」も見越した単元デザインをすることで、子どもの思考力・判断力・表現力も知識・技能も育成させていけるのである。

ペーパーテストぐらいの最低限の知識・技能ぐらいは、全員の子どもたちに習得させなければならないのだ。

そのために単元デザインを工夫していくのである。


ここまで、算数の計算単元におけるペーパーテストで、どのように点数をとらせていくかを整理した。

コンピテンシーベースの教育は大切だが、その前に最低限の知識・技能は身に付けさせなければいけない。

そのために、ペーパーテストぐらいは平均80点以上とらせることを目指していきたい。

では。

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