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フィリピンに英語留学したら、社交ダンスがうまくなった話

英語学習者に朗報がある。たとえ英語が話せなくても、社交ダンスさえできれば異国の地でもコミュニケーションはとれる。


これは、果たして朗報なのだろうか?

少し疑問は残るが、僕は確かにフィリピンで社交ダンスを上達させ、現地の人と仲良くなった。


そもそも社交ダンスとズンバがうまくなる英語留学に、どれくらいの人が興味があるのかという疑問も残るが、欧米では社交ダンスは大人の嗜みとして必須科目であるとの話も聞く。(あくまで噂程度)

もちろん、名目上は英語留学である。
ただ、英語より圧倒的に社交ダンスが上達する。
そんな英語留学がフィリピンにある。今回はそんな英語留学のお話です。

(あ、もちろん個人差はあります。
うまくいけば英語も社交ダンスも上達するかもしれません。少なくとも社交ダンスが上達することは、保証します。)



フィリピンのダバオに英語留学した。

世界一周中のオーストラリアで、自分たちの英語力にドラゴンボールのフリーザ戦くらいの圧倒的な絶望感を覚え、予定にはなかったが、急遽1ヶ月の英語留学をフィリピンで決行することにした。

ちなみにダバオに着いた日に、迎えに来てくれた韓国人のスタッフに一番最初に言われたことは

”Can you speak English?”


だったので、これからの英語留学は話せることが大前提の、超上級者向け留学なのかと、誰かに会いたい時の西野カナくらい震えた。


実際はそんなことなくて、ちゃんとレベルにあったカリキュラムだった。
最初の2日間くらいはびくびくしていたものの、始まってみるとなかなか快適な生活で、先生たちもみんなフレンドリーで優しくて、楽しい日々を送ることができた。


そうこうしているうちに、他の留学生と少しずつ仲良くなっていき、とある女性の方と仲良くなった。

ここでは彼女のことをみほさん(仮名)としておこう。

みほさんは、何度もフィリピン留学を経験しているらしく、留学のいろはを様々にご存知で、非常に頼もしい方だった。


みほさんが、飲みに行こうと誘ってくれたので、僕と妻はいそいそと連れ立って出掛けて行った。

連れて行ってもらったところは、留学先から徒歩5分もかからないくらいの広めの居酒屋のような場所だった。
ただ、普通の居酒屋と違うところは、机が端っこの方に寄せられていて、ステージのような場所があったこと。


みほさんから何も聞かされていなかった僕と妻は、「あそこでバンドが演奏でもするんかな〜」と呑気にかまえつつみほさんがが注文してくれたビールを飲みながら過ごしていた。


すると、突然店に音楽がかかり始め、ダンサーみたいな人がやってきて、その居酒屋はダンスホールへと変貌を遂げた。


何人かの男性ダンサーと何人かの女性ダンサーが、即興でお客さんからパートナーを見つけて、社交ダンスが始まる。
店に流れる音楽はだんだんとボリュームをあげて、社交ダンスが熱を帯びる。


しばらくあっけにとられつつ、ビールを飲んでいたが、みほさんが馴染みのダンサーを見つけて踊りに行ったところでようやく我に返った。

つまりここは、お酒を飲みながら社交ダンスをする場所なのだ。あのステージはバンドが演奏する場所でなく、お客さんとダンサーが踊り狂う場所だったのだ。

社交ダンスなんてやったことのない僕は、「お願いだから誰にも気づかれませんように」と100キロ超えの巨体を、できる限り小さく見せようと精一杯だったが、そんな努力(?)もむなしく、女性のダンサーに見つかり手を取られ、そのままステージへと引っ張り出された。


ちなみに、順応能力がスカウターが壊れるほどの異常値を示している妻は、すでに自分からダンサーに声をかけ、フロアで楽しそうに社交ダンスを教えてもらい、ほぼマスターしていた。


僕はビーサンだからとか、短パンだからとか、100キロ超えると社交ダンスは踊ってはいけないことになっているとか、わけのわからないアピールをしつつ、なんとか社交ダンスを断る方向に全エネルギーを注ぎ込んだが、勝ち目はなく、ステージに担ぎ出されてしまった。

そんなわけで、女性ダンサーから社交ダンスのいろはを教わる。
ただ、これが踊ってみると楽しい。ステップを教えてもらいながら、少しだけ踊れるようになってくると、身体中の細胞が喜びを爆発させながらもっと踊れと脳みそに命令を送っていることが実感できる。


「踊る阿呆に、見る阿呆。同じ阿呆なら踊りゃな損損」とはよくいったものである。
人間には、踊りを楽しいと思う遺伝子がもれなく埋め込まれているのだ。


というわけで、社交ダンスの虜になった僕と妻は、ほぼ毎晩、みほさんと一緒にダンスホールへ出かけていった。

その結果、英語留学した1ヶ月で、僕の社交ダンスは上達した。一度死んだ悟空が、生き返ったあとくらいのレベルの上がり方だった。
そして、ダンサーの方や店長とも仲良くなり、英語はできないものの、ダンスで心を通じ合わせることができた。


ちなみに、英語の方もそれなりに頑張って取り組んだので、それなりの上達はみられたが、やはり社交ダンスの方が圧倒的に上達した。


これが、英語留学した結果、社交ダンスが上達し、現地の人と心を通じ合わせるようになった僕の留学体験記である。

誰の参考にもならないが、ここに書き記しておく。英語より社交ダンスの上達が上位目標なので、ぜひ留学先を教えて欲しいという、変な人がいたらいつでもコメントください。


さて、その後世界一周で欧米各地を回ってみたものの、社交ダンスを披露する場面は訪れず、結局日本に帰ってきてからも練習していないため、あの時教えてもらったステップも完全に忘れてしまった。

英語力も同様で、世界一周中はそれなりに使っていたからいいものの、日本に帰ってきてから使わない日々ですっかりレベルダウンした気がする。


もう一度、ダバオに留学に行った方がいいだろうか。英語留学という名のダンス留学に。


サポートしていただいたお金は、旅の資金に回し、世界のどこかであなたのことを勝手に想像してニヤニヤしたりなどします。嫌なときは言ってください。