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監査現場は何に怒っているか?【監査ガチ勢向け】

Twitterで「ムダな文書化」についてご意見を募ったところ、パンドラの箱を開けてしまったようです…


てりたまです。
監査法人で30年強、うち17年をパートナーとして勤めました。

Twitter上で文書化について不満の声をよく見るため、具体的に何を問題と考えておられるのか、ご意見を募りました。
ご協力いただいた方々、どうもありがとうございます。

今回は、そこでいただいたご意見の顔ぶれをご紹介します。

東の横綱 仕訳テスト

皆さんのツボに入ってしまったようで、仕訳テストへの不満が出るわ出るわ… 緊急性が高いと判断し、別途記事にまとめました。

いただいたご意見だけ再掲すると、次のとおりです。

  • 工数以上の成果が生まれない

  • 例示項目を適用しない場合の言い訳がたいへん

  • 例示されているから意味がなくても実施しろと言われる

西の横綱 チェックリスト

チェックリストへの恨みも仕訳テストに負けず劣らず強いようでした。
次のような内容です。

  • チェックリストが多すぎ、個々のチェックリストのチェック項目が多すぎる

  • 各項目について、どこまで対応すればよいのか分からない

  • 他のチームが受けた指摘がチェックリストとして水平展開され、明らかに関係ないのに文書化が求められる

大関 KAM

監査上の主要な事項(KAM)は、監査報告書の読者に膨大な工数をかけるだけの価値を提供しているのか、と制度そのものへの疑問の声が複数あがりました。

関脇 会計上の見積り

監基報540による会計上の見積りの監査についてのご意見も多く見られました。具体的には…

  • 基準があいまいでどこまでの文書化が必要か分からない

  • 会社の文書化が不十分なところを肩代わりするための負担が大きい

  • 経営者による見積りの偏向についてどんな検討が期待されているのか

小結 言い訳調書

「文書化の強化」はえてして「山盛りの言い訳」につながります。例えば、リスクを識別しないときに、識別して手続を実施した方が楽だったのではないかと感じるくらいの言い訳の文書化。
それならまだよいのですが、正しい処理か怪しいときの言い訳調書も…

平幕 その他

すいません、番付が面倒になってきました。
そのほかのご意見をざっと挙げます。

  • 不正シナリオ

  • ITGCの不備に関する文書化

  • 分析的実証手続の推定値の精度

  • 新しい調書様式を使用するための手間

  • 虚偽表示に関連する内部統制の不備の検討

  • GCの検討(会社の初期検討が十分でない場合)

  • 法人全体で共通して使用するツールの信頼性の検証

  • 収益認識における不正リスクの無理な識別と特検リスク対応手続

分類に悩んだ結果、短いもの順に並べました。

おわりに

文書化の問題に限らず、幅広いご意見をいただきました。拾い切れていないものもあり、申し訳ありません。
ご意見に加えて、ツイートで軽く意見交換させていただいたこともたいへん有意義でした。
早速、仕訳テストをテーマに書きましたが、このほかについても今後の記事の参考にさせていただきます。

パンドラの箱は最後に希望が残った、と言いますので、皆さまも希望を抱きつつ監査にあたられていることをお祈りしています。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。
この投稿へのご意見を下のコメント欄またはTwitter(@teritamadozo)でいただけると幸いです。
これからもおつきあいのほど、よろしくお願いいたします。

てりたま

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