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てりたまが新人スタッフだったときの監査現場の環境【監査ガチ勢向け】

🎵PCもねえ、スマホもねえ、インターネットは何者だ🎵


監査法人で30年強、うち17年をパートナーとして勤めた「てりたま」です。
このnoteを開いていただき、ありがとうございます。

ここのところ出版する本のことばかり発信していますが……

そろそろ違うことも書こうと思います。

私が新人だった35年前に、どんな環境で監査をしていたか、ということです。今では当たり前になっている「この3つ」がなかった、というお話をします。



PCがなかった

今では、監査人がPCを開けない日なんてあるんでしょうか。
リモート勤務はもちろん、監査現場や事務所で集まって仕事していても、大半の時間はPCを見ていますよね。

調書は手書き

PCがないと、調書は手書きすることになります。
白紙の調書用紙に鉛筆かペンで書いていきます。

根を詰めて調書を作ると指が痛くなり、ときどき手を振ってごまかしながら書き続けました。
受験生のときと変わりません。

クライアントの資料もすべて紙

監査証拠になるもの(または監査手続で利用するもの)はすべて紙です。データや表を電子媒体で入手、ということはできませんでした。

コピー機で大量のコピーをとることも当時のスタッフ、特に新人の仕事。
先輩から「これ、コピーお願い」と指示が来て、その都度コピー機に走ります。コピー機が混んでいると、クライアントの方にまじって列に並ぶこともありました。

そもそもクライアントにもPCなんてありません。
コンピュータと言えばメインフレームかオフコンで、その端末が経理に一つか二つあり、部署で共用していました。
朝の始業時に起動すると一日中立ち上げっぱなしなので、誰が入力したか分かりません。
当時、部外者が不正な入力をするリスクについて聞いてみると、「関係ない人が触っていたら、周りの人がすぐ気づく」とのことでした。

監査チームメンバーが作ったプログラムをクライアントのメインフレームやオフコンで走らせてもらい、集計チェックやサンプリングをすることはありました。

はじめてのPC

私が新人のころはラップトップパソコンというPCが出始め、「先進的」といわれる監査チームは1台導入していました。
そのPCを何に使っていたかと言うと「表の作成」です。

今の監査調書も表形式のものが多く、だからこそエクセルを多用しています。
紙調書の場合、前期調書を物理的にコピーして切り貼りするか、白紙の調書用紙に書き写すか。前期調書の右端に用紙を足して当期の数字を入れるパターンもあり、A4(またはB4)に収まるように何度も折りたたんで蛇腹のようになった調書もありました。

ラップトップパソコンで前期と当期の数値が入った表を作ったら、すぐに印刷。
リファレンス、コメント、結論の記入も、作成者および査閲者のサインも、手書きで行います。


スマホがなかった

私が新人のころにはスマホがないばかりか、ガラケーすらありません。
メールもチャットもないので、離れた場所にいる人に連絡するには、電話しかありません。
それも、往査先であればクライアントの監査部屋にある内線電話です。

一日往査先にいると、「○○さん(マネジャーやパートナー)、そちらに行ってますか?」という電話が事務所にいる秘書やほかの監査チームから頻繁にかかってきます。
よく行方不明になる困った人もいました。

クライアントの電話(&電話料金)を使って、事務所だけでなく別のクライアントにも平気で電話していました。
クライアントからは、「○○さん(マネジャー)は、うちに来たらいつも電話してるよね」と嫌味を言われることもありました。もっとも、別の場所にいるときには、嫌味を言っているそのクライアントに電話しているわけなんですが。


インターネットがなかった

一般の我々がインターネットを使うようになるのは、1995年にWindows 95が発売され、普及してからです。
インターネットがない当時、何か分からないことがあってもネットを検索するようなことはできません。

調べたいことがあるときには、事務所の図書室か大型の書店が頼り。
あるいは、事務所の詳しい人に聞くしかありませんでした。ただ、聞くにもメールがないので、電話で追いかけまわすか、夜に事務所に戻り、たまたまそこにいた人の中で一番詳しそうな人に聞くしかありません。


おわりに

これまでにも昔話は何度かしています。
直近では2024年3月にも似たようなテーマで書いています。

このときはラップトップコンピュータについてもう少し詳しく書いているほか、「有報に連結が含まれていなかった」ということにしか触れていません。
今回は違う切り口で書いてみました。

当時と比べると、今はずいぶん効率化できていると思うのですが……
やはり手続の量が圧倒的に増えたので、まだまだ楽にならないんでしょうね。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。
この投稿へのご意見を下のコメント欄またはX/Twitter(@teritamadozo)でいただけると幸いです。
これからもおつきあいのほど、よろしくお願いいたします。

てりたま

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