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3月に3つのnote記事を有料で投稿しました。ご購入いただいた皆さん、どうもありがとうございます。有料記事を出した「思い」をお話しさせてください。


監査法人で30年強、うち17年をパートナーとして勤めた「てりたま」です。
このnoteを開いていただき、ありがとうございます。

「検査受け方講座」は好評をいただき、前編、中編、後編それぞれ100名以上の方々が購入、さらに3つセットのマガジンも50名以上の方々にお買い上げいただきました。
この場を借りて御礼申し上げます。どうもありがとうございました。

いつもの無料記事をお読みいただいたり、「スキ」をいただけることもとてもうれしいのですが、対価を支払い、場合によってはクレジットカードを登録するなど手間をかけて購入いただいたことに感謝しています。
お役立ていただければうれしく思います。

今回は、有料記事への思いをお話しします。



なぜ有料にするのか

「検査受け方講座」を有料にした直接の理由は、記事の中でも書いているように「気兼ねなく書きたいから」です。
無料であればだれにでも見られるわけですから、誤解されたり、悪意をもって切り抜かれたりするリスクが高くなります。
有料といっても払えない金額ではないと思うのですが、ディスる目的で読むにはハードルになります。

ただ、内容に関わらず有料記事への思いがもともとありました。

独立したときの思い

2022年11月に監査法人を退職し、独立しました。
周囲の独立した人たちを見ると、非常にバラエティーに富んだ仕事をしていることに驚きました。
会計士の人たちに限っても、小規模監査、税務、FAS業務、会計アドバイザリーなど。

考えてみると、どの仕事も「時間 X 単価」で見積ります。
「時間」は一人事務所である以上限りがあります。「単価」にも相場があり、両者をかけ算すると年収の上限が見えてきます。

独立会計士にとっては、企業の監査役・監査等委員・監査委員や、非営利団体の監事もよくある仕事です。
これは「時間 X 単価」では決まりませんが、関与できる数には限度があります。

会計士ができることで、うまくいけば青天井で収入が得られる夢のある仕事はないかと考えました。
ブログなどオンラインの文字コンテンツはなじみのあるメディアで、noteは有料記事を買ったこともあって身近でした。そこで、noteをはじめることを思い立ちました。

そのあと1年半がんばり、225個の記事を書いてきましたが(これが226個目です)、noteの有料化はごくごく一部で、後輩たちに夢を与えるには程遠い状態です。
しかし、会計士の新しい可能性を切り開く挑戦はまだまだ続けたいと思っています。

価値のあるものには対価がある

士業であれば、サービスに見合う請求ができず、イヤな思いをしたことがだれでもあると思います。
そもそも日本語で「サービス」というと、「サービスしておきます」というように「無料」の意味合いもあります。

私だって利用者としては無料の方がありがたいし、有料になると少額でもハードルになります。
しかし、価値があるのであれば、対価がなければ持続可能とは言えません。

また、提供する側としても、品質が低くても無料であれば言い訳ができます。
自分の提供する価値に自信を持ち、堂々と適正と考える価格をつけることが、プロフェッショナルとして健全な姿だと思います。

マーケティングの勉強

30年以上も仕事をしてきて、17年もパートナーをやっておいて恥ずかしいのですが、監査法人時代にはマーケティングをほとんど考えていませんでした。
私も営業活動はやっていましたし、販売戦略を練ったこともありましたが、結局は大手監査法人のブランドに頼っていたように思います。

独立会計士として「公認会計士」「大手監査法人出身」というブランドが多少はありますが、それだけで仕事がどんどん来る状況にはなりません。
そこで、マーケティングの勉強が必要になります。

noteの有料記事を発行する場合、例えばマーケティングの4PのうちPlace(流通)を除く3つを考えることになります。

  • Product(商品):どの読者に対して、どのような記事を提供するか

  • Price(価格):どのような価格で提供するか

  • Promotion(販売促進):Xなどを使ってどのように販促するか

初心者ながら、販売というものは、まず仮説があり、仮説に基づいて行動し、結果を見て仮説を修正する、の繰り返しだと思います。
noteであればこれら3つのPについて比較的短期間に仮説・検証を経験できると感じています。


有料記事にすることのメリット

個人的な思いとは別に、有料にするメリットが執筆者、読者の双方にあると考えています。

執筆者にとってのメリット

もともと「検査受け方講座」はいつものとおり無料記事として書きはじめました。
何度も「ここまで書いていいのか」と手が止まり、有料にすることを思い立ちます。

そこから、記事への向き合い方が変わりました。

無料だからって手を抜いているつもりはありません。
「つまらない」「役に立たない」「何を言いたいのか分からない」「こんなこと言うのはおかしい」と思われるのではないかと、常に心配しながら書いています。

しかし、有料となるとそのレベルが何段階も上がります。
お金を払って購入して、思ったような内容でなかったときの失望感は、無料の比ではありません。
クレームを受けたくないという気持ちはありますが、それよりも期待して購入いただいた読者を失望させたくない、という気持ちが強く働きます。
そして、いつも以上に慎重に内容を検討し、推敲にも時間をかけて投稿しています。

この緊張感が、記事の品質を高めていると思います。

読者にとってのメリット

読者にとっては、無料記事より濃い内容の記事を読める以上のメリットがあります。
それは、有料記事はしっかりと読もうとすることです。

無料であれば、いつか読もうと思ってそのまま忘れてしまったり、読んでいる間に中断が入るとそこから読まなくなってしまったりすることがあると思います。
有料であれば、最後まで読もうという気持ちが強くなるのではないでしょうか。

また、少々分かりづらい個所があっても一生懸命意味を読み取ろうとします。
全体的に期待した内容ではないとしても、何か得られることがないかと読んでいただけることがあるかもしれません。

結果として、有料の方が記事を読むことで得られるものが多く、よほどの高額でない限り支払った対価を上回る価値が獲得できると思います。


おわりに

最後に、補足を2点して終わります。

まず、無料記事をとっとと止めたいと思っているわけではありません。
これまでほとんどの記事を無料で提供してきましたが、その結果すばらしい方々と出会うことができ、その輪は今も広がり続けています。
その意味で、無料記事は単なるボランティアではなく、無形の対価を提供してくれたと感じています。

また、監査業務に携わっていなかったり、特に検査に興味がなくても、応援と思って購入いただいた方々もいらっしゃったと認識しています。
記事の購入に加えて、サポートとして投げ銭のようにお支払いいただいた方々もいらっしゃいます。
記事を購入いただいた方々には等しく感謝しているのですが、このような方々の存在もとても励みになっています。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。
この投稿へのご意見を下のコメント欄またはX/Twitter(@teritamadozo)でいただけると幸いです。
これからもおつきあいのほど、よろしくお願いいたします。

てりたま

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