0と1の間を伝えるおしらせコンテンツ。

7月28日(金)に最終回を迎えた、ほぼ日刊イトイ新聞の「ガラケーや古いスマホでは、ほぼ日が見られなくなる?セキュリティに関する基本的な話」がすごい。

内容は「ほぼ日のページが2018年の夏をめどに、いまよりもセキュリティの高いページに切り替わる」ことにまつわるもので、その副作用としてスマホOSの古いバージョンやガラケーを使っている人はほぼ日の閲覧ができなくなってしまうというおしらせだ。
中身といえば、たったこれだけ。でも、わたしは未だかつて、こんなにやさしいおしらせを見たことがない。

スマホやアプリの機能が日々、新しくなっていくことは決して悪いことではない。物事は使いやすいようにどんどん変わっていくのがいいと思うし、今までは○○だったから○○であり続けなければならない、なんていう考え方はどんどんなくなっていったらいいと考えている。

ただ、アップデートされることが悪いわけではないけれど、突然ガラッと変わってしまうとしまうことにちょっと驚く自分もいる。それが気に入ったサービスなら尚更。えっそこが変わっちゃうの?なんで?大体、公式からの説明を読んでも、怒られないための言葉が並んでいて、それを眺めて仕方ないかと自分を無理やり納得させる。

でも、ほぼ日のセキュリティに関する基本的な話は、その「えっなんで?」にとても丁寧に付き合ってくれている。しかもかなり踏み込んで。

公式としてのほぼ日の見解だけでなく、セキュリティチームのみなさんが「自分の家族にこの問題をどう伝え、どう解決する?」という視点でも読者と向き合ってくれる。だれも、おいていかないぞ。そういう気持ちを感じた。当然、ほぼ日を読み続けるにはOSのアップデート、もしくは端末の買い替えが必要となる。そのメリットとデメリットを、公式の立場と、知り合いにすすめるならという、立場を低くした言葉で語ってくれる。読者と運営の信頼関係を作っていくのが、本当にじょうずだ。読み終わった後、こりゃすごいと声が出た。

なんとなく近所のお蕎麦屋さんのはり紙に近い感じがする。腰が痛いのでお休みします。お盆休みをしっかり取りたいのでお休みします。そんな紙を扉に貼るお店を私は知っている。休むのは悪いことじゃないし、紙を見るたびに、しっかり休んでほしいという気持ちになる。きっとあれは、その張り紙から見える生きた人の感覚が、お店とお客さんの間に信頼関係を作るきっかけになっているんだと思う。0か1じゃない、その隙間を埋めるお蕎麦屋さんの張り紙が、ほぼ日のこのコンテンツなのだと思う。

カドが立たないように、怒られないように。そういうお知らせをやっていくのも大事だけれど、さらに一歩踏み込んで、読者との関係を作っていく、いろんな場所でお手本になるようなコンテンツだと思う。ほぼ日、やっぱりすごい。

この記事が参加している募集

#コンテンツ会議

30,738件

サポートしていただけるとうれしいです。サポートは読みものか、おいしいものに使わせていただきます。