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猟師から見た絶望の林業

自分がしている狩猟が林業に入る事を知ったのは去年の事だった
今年から狩猟から得る事が出来る肉を販売する手はずが整った時に
林業の事ってよく知らないな、と思った
今住んでいる所が林業を主にしているにも関わらず
というか、なまじ近い分 小耳にする情報がある事で
何となく知った気になっていた事に気付いた。

そこから頭の端っこで気にしていた「林業」
その引っ掛かりが図書館でこの本を見た時に手を伸ばさせた

新泉社 「絶望の林業」 田中淳夫 

今の林業が補助金漬けになっているとは聞いていた
そこの何故の何故の何故まで分かりやすく書いてある。

僕は林業が昔から続く伝統に近い仕事だと思っていた
確かに奈良 吉野は500年前から林業をしていた が
日本各地にある「杉・檜」は戦後の拡大造林で植林された物だったのだ
つまりは
その土地に林業の地盤はなく、管理する方法すら知らないまま
杉檜は育っていったようだ(少数の管理した例は置いといて

さらに、相続で自分が山を持っている、林をどう管理するか知らない
山主が多数生まれ 山の境界線も曖昧になった

木造住宅の減少で価値の下がった原木を効率化で高価な大型林業機械を導入
運用する為に林道、作業道の大型化が必須となる

これらの問題は大体ぜーんぶ補助金a.k.a税金で賄われている。
素人山主に山を教える為に凄い適当な方法を伝える(列状間伐)
しわ寄せはどんどん後ろに来ている。

僕の立場として気になったのは、主伐(皆伐)後の再造林が行われない事
(再造林=もう一度植樹する事)
これが行われないと単に山に木が無くなるだけじゃなく
土壌の流出が進むのだ
野生生物が住めない土地になるのだ

なぜ、再造林されないのか、
山主に利益が分配されないからと本には書いてある
補助金はほとんど素材生産者(伐採・搬出事業者)に下りていて、
山主は単純に木の価格が落ちた雀の涙ほどの残りを受け取っているだけ
伐採できる30年~60年なり育てたのにだ
植樹から伐採の直前までお金と時間をかけた山主であっても

その金額しかならなかったら次の植樹も考えるのも納得できる。

日本の林業は補助金が無いと仕事できない体質になってしまった

これは狩猟の報奨金をエサに猟師を増やしているのによく似ている
報奨金が無くなったとき猟を続ける猟師は何人いるのか
僕はまだ報奨金を貰った事が無い
今期から貰える立場になり、この猟期の終わりにまとまった報奨金を貰う事に成るはずだ、もちろん今の捕獲頭数で30万円近い金額になる
嬉しいのは間違いない
どうしたら持続できるかにそのお金を使えるように考えて行きたい。

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