愛が溢れる1 短編小説

こんにちは。
まずは自己紹介からしなくちゃいけないね。
僕はF。2040年の未来から来た。
何故やってきたのかとかも話したいところだけど、それをすると鬼滅の刃の最終巻までくらいかかるからまた別の機会にで。
君たちからしたら少し未来で僕が学生の時に体験した恐ろしい話しをしようかと思う。
安心してくれおばけの話とかではない。
未来から来たなんて信じられない?信じなくて結構。
ただのお話としてこういう事があるのかもしれない。くらいで聞いて頂ければ良い。

高校3年生の秋、つまり10月。
学生はバーチャルロールプレイングテストを必ず受けなけらばならない事が数年前から政府の意向で決まった。
2033年頃から意識だけをバーチャル世界に飛ばす仮想空間での現実化が進んだ。
この仮想空間はdosayと呼ばれ、全ての五感が現実と変わらず体験出来る。
もちろんおいしいご飯を食べた満足感や、怪我をすれば痛い。
まぁ怪我は薬を飲めばどんなものだって一瞬で治るけど。
自分専用のアバターを作り、現実とは違う人生が歩めるという訳だ。
魔法だって使える。

ゲーム業界はこぞってdosay内にゲームを作り、あっという間に世界中の人間がdosayに没頭した。
脳に直接リンクをするから精神的負担が大きい為、発売当時から20歳以上しか買えなかった。
つまり子供のうちは出来ないわけだ。

そこでこの日本では高校卒業の年にdosayを体験してその世界をしっかり学ぼうというバーチャルロルプレイングテストが一ヶ月行われる。全国一斉にだ。
朝の8時半から昼の12時半まで、お昼ご飯を食べたのち13時半から16時半までその世界に入り浸るわけだ。
入れるのはdosay全域ではなくその中にあるもっとも一般的で誰もが登録しているアイフレというロールプレイングゲームだけ。ちなみに休日も家からログインすることは可能だ。
アバターを作成し、名前を決め、職業を決める。

僕は魔王騎士団に入った。
5割が勇者側、1割が中立エルフ、4割が魔王サイドといった具合だろう。

素晴らしい光景だった。
まるで映画の世界のようだ。そりゃ誰もが没頭してしまうのも頷ける。
みんなも後15年もしたら体験出来るからお楽しみにだ。


学生は午前中はレベルを上げたり防具や武器を揃えたり自由時間。
午後からは模擬戦をやったりしていく。
アバターを現実に近いものにしている人もいれば、僕みたいに全く誰なのか分からないものにしている人もいる。
もちろん名前もだ。僕の名前は分からないものだが、どういう訳か本名でやっている奴らも沢山いた。

本名のやつらは互いに徒党を組んでプレイしている。
だいたい勇者側だ。
僕ら魔王サイドは誰が誰かは分からない。だけど喋り方やら動きでなんとなく分かってしまうのが面白い。
僕はなるだけ自分だとは分からないように振る舞った。つもりではいた。
どうやら僕はこのゲームが得意のようだった。
ガンガンレベルを上げ、多分どの生徒よりも強くなっていた。
中に監視で来ている先生よりも強くなっていたかもしれない。

ゲーム上で死んでしまえば、また1からのレベルになる。
最後の最終全面戦争までに僕としてはなんとしても人数の多い勇者側をレベル1に戻す為の討伐を沢山しておきたかった。

なので自由時間でもなんでも見つけ次第倒しまくっていった。
GとHは何度も何度も向かってきては倒していた。
彼らは学校内でのつまり人気者の二人。
僕はただの成績優秀で家がお金持ちなだけのいわゆるモブキャラだ。学校では。

しかしこのアイフレ内では相当に知られている存在となっている。
名前はサムライ。
休日もレベル上げ。
そして倒されていった奴らはまたレベル1からなので差は圧倒的に開いていくばかりで笑いが止まらない。
多分この時僕は調子に乗っていた。

二週間後僕は魔王騎士団長という称号を得た。
自分のダンジョンを作り、部下も何人か作った。副官は女ダークエルフ。
彼女が誰なのかは分からない。
自分から副官にしてくれと先日願い出て来たわけだ。
もちろん断る訳がない。レベルは低そうだが部下は多いに越したことはない。
「サムライ様、また今日もGとHが来ました。今日は仲間を10人連れてきています。いかがいたしましょう?」

「なっはっは。所詮レベルの低い雑魚どもを木散らしてくれよう」
この時の僕は完全に魔王騎士団長になりきっていた。

そして戦いが始まった。

続く。

第一話のあとがき

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まずは愛があふれる
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多分3話くらいになるかと思いますが次回をお待ち下さい。
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